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嫌われの勇者
しおりを挟むさて、この世界に来て初めての村だ……。
な、なんか緊張するなぁ……。
えーい!
突撃! 隣の第一村人発見!
なんか色々混ざっている気がするけど、こまけぇこたぁいいんだよ!!
あ、あのー? も、もしもし……?
「ゆ」
「勇者だっ! 魔王に負けた勇者が、ノコノコとやって来やがったっ!」
「なんですってっ!?」
「野郎っ! よくもおめおめとっ!」
「見ろっ!
お前らが負けたせいで、世界は滅茶苦茶だっ!
もう、おしまいだっ!」
「掴まえろっ!!」
「串刺しにしてやれっ!!」
「いいやっ!! 火焙りだっ!!」
「お、おいっ! まずいぜっ! 逃げるぞっ!!」
「……マルス……!」
「マルスッ! 急いでっ!!」
「そんな……! 皆……! どうして……!?」
「マルスッ!! 早くっ!!」
私達は、ほうほうの体で逃げ出した……。
◆◆◆
「ちっきしょうっ!! あの村の連中っ!
助けてやった恩を忘れやがってっ!!」
「助けてやった……?」
「あの村は、昔から森に住む魔物に、年に一度、生け贄を差し出すよう強制されていた、呪われた村だったのですわ……。」
「……それを……、俺達が退治した……。」
「皆……ここを……第2の故郷だと思って下さいって…。
言ってくれてたのに……。なのに……。」
「マルス……。」
「ううう……。」
所変わって、再び翡翠城の温泉の中。
マルスはポロポロ涙を流している……。
リュインが、ガシガシとマルスの頭を撫でた。
「僕、考えが甘かった……。
魔神に負けたことで、こんなにも……
皆から……手のひらを返すように……嫌われるんだね……。」
「…………。」
「ははは……。
きっと……僕は、世界中の嫌われ者だ……。」
「マルス…。
辛かったら、もう旅を辞めてもよいのですよ…。
わたし達と、此処で穏やかに過ごしましょう…?」
「……ううん! 僕、旅は辞めない!
人々が苦しんでいるんだ。
見過ごして、此処で暮らすなんて……。
ほんとは、そう…したいけど……。
でも…そんなこと…出来ないよ……。」
ズキュウウウン
うわーーーん!
胸が痛いよーーー!
どんだけ良い子なんだよー!
もう決めた!
例え、世界中から嫌われようとも、徹底的に味方になる!
優しくする!!
甘やかす!!!
さて、問題はどうやって村の連中に、マルスの崇高な志を理解してもらうかどうかだけど……。
「あ。」
「……へ?」
泣き止んだマルスが、すっとんきょうな声をあげる。
リュインも、クロウリーも、セレスティンも、此方に視線を向けた。
「……あのさ。
恩を忘れたのなら、思い出させてやればいいじゃない!」
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