魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫

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幼少期

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初めて彼に会った時、俺は19歳だった。俺は森の入り口付近にある小さな小屋でひとり住んでいた。

というのも18歳になったその日、家から追い出されたのである。
この世界は、俺から言わせれば異世界というやつでよくある中世ヨーロッパをイメージしたようなところだ。
魔法が存在し、魔物がはびこる危険な世界でもある。
ここまで言えばお察しだと思うが、俺は前世を覚えている。というよりも思い出した。特にお決まりの事故にあったり、推しキャラに会ったりなどはしていないのだが…


前世を思い出した時、これは異世界チート来たか?!と心躍らせたものだが鑑定の結果、下されたのは魔力なしという無能のレッテルだけだった。
なんか無駄に煌めかしいところに連れられた俺は、胡散臭そうな男に頭をぺたぺた触られた。
変態か?と思ったのもつかの間、告げられたのは「良く生きてますね」という無情な言葉だった。
おい!初対面だぞ!子供になんてこと言うんだ。

どうやらここは教会のようで、5歳になった子供には魔力を測らせるという義務があるらしい。
教会の偉い男らしいやつにそんな審判を下され、メソメソ泣き返ってきたわけだ。
馬車に乗る俺の隣には母親が乗っていて、先ほどから目を合わせてくれない。来る前は手を引いてくれたのに、今は、手をつなぐどころか座席の端と端に座っている。

俺だって落ち込んでいるというのに。前世で何度も夢見た魔法が使えないなんて、何かの間違いかと思ったね。俺だって、俺だって!箒で空を飛んだり、エクスペクトって言いたかった!!
アバダケ……はダメだな。手のひらから水は?炎は?何をやっても何を唱えてみても俺の手のひらからは何も出てこないし、うんともすんとも言わない。
俺はどうやっても物語の主人公ポジにはなれないらしい。
別に悔しくなんかないんだからねっ!

魔法に関しては早々に諦めた。人間諦めが肝心な時もある。前世で嫌というほど学んだんだ。
ここまではいい。予想外なのはここからだった。


伯爵邸に戻った俺に伯爵家当主である父親は、俺を励ますでもなく慰めもしなかった。

「シルヴァ、お前18になったらこの家を出て行け」

そう冷たく言い放ったのだ。しかも母親のさげすむような視線と兄の馬鹿にするような視線を添えて。
まだ、5歳の俺に。

ありえるか?!
5歳だぞ?かわいい5歳児に家を出て行けなど…
人生ハードモードすぎるだろう。

悲しいかな、この世界は魔法がすべて。力こそパワーな脳筋世界だった。
父親は現魔法大臣。母親はトップクラスの魔法使い。兄はまだ幼いながらに将来有望と謳われる天才。
対して俺は…魔力ゼロの落ちこぼれ確定。

そうして俺の安泰な異世界生活はたった5年も経たず幕を閉じた。
それからの生活はまあまあ最悪だった。家族からはいないものとして扱われ、使用人にまで見下された。満足に世話をされず家庭教師もつかない。俺の家は貴族としてはまずまずな伯爵の位を持っていた。だから、家には使用人が結構な数いるし専属の世話係もつく。まあ、俺にはついていなかったがな。
今思い出しても涙が出そうだ。
前世の記憶を思い出してなかったらとっくに闇落ちしてたぞ。
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