35 / 161
第29話 宮廷ごっこ②
しおりを挟む
「では、ご用意いたします。ナターシャ様はそのまま…お待ちください」
「手伝わなくても、大丈夫でしょうか?」
「ええ、大丈夫でございます」
胸に手を置きぺこりと頭を下げるリークの姿は、なんだか後宮にいた家臣のように見える。
(大分様になってきてる様な)
私はリークに言われた通りにリビングで待つ事にした。その間もしとしとと、雨がしたたり落ちていく音が聞こえてくる。
(そこまで本降りでも無いな)
ここで私は雨が降っていた時の後宮での暮らしを思い出した。
「ナターシャ様、今日は雨でございますね」
こういう時、侍女は残念がる者もいれば、普段と変わらぬ者もいた。また体に不調をきたしている者もいたか。
雨が降っている日は特に何もなければ気にせず自由に過ごせた。しかし宮廷行事があって、かつ屋外に出る日は最悪である。ドレスも髪も全て濡れるし、体も冷える。
(雨に打たれながら行事を行うのはきつかった)
それに嵐が来ると、場所によっては強風と雨が矢のように建物の中へと入って来る事がある。時々侍女や宦官がずぶぬれになっている時があった。
「どうした。ずぶぬれでは無いか」
「はい、急に嵐が…申し訳ありませぬナターシャ様」
「着替えて来い。風邪をひくぞ」
と言うような事もあったな。
そうこうしているうちにリークがサンドイッチとスープをテーブルに用意し始める。いつもよりも高級感漂う食器を使っている事で、更に宮廷らしくなったような。
「お待たせしました。昼食の準備が完了いたしました」
「ありがとうございます。では頂きましょう」
「はい」
サンドイッチは卵サンドと、鹿の干し肉を煮たモノを挟んだサンドイッチとハムサンドの3種類である。そこに野菜スープを添えて。
(うん、どれも美味しそうだ)
「手伝わなくても、大丈夫でしょうか?」
「ええ、大丈夫でございます」
胸に手を置きぺこりと頭を下げるリークの姿は、なんだか後宮にいた家臣のように見える。
(大分様になってきてる様な)
私はリークに言われた通りにリビングで待つ事にした。その間もしとしとと、雨がしたたり落ちていく音が聞こえてくる。
(そこまで本降りでも無いな)
ここで私は雨が降っていた時の後宮での暮らしを思い出した。
「ナターシャ様、今日は雨でございますね」
こういう時、侍女は残念がる者もいれば、普段と変わらぬ者もいた。また体に不調をきたしている者もいたか。
雨が降っている日は特に何もなければ気にせず自由に過ごせた。しかし宮廷行事があって、かつ屋外に出る日は最悪である。ドレスも髪も全て濡れるし、体も冷える。
(雨に打たれながら行事を行うのはきつかった)
それに嵐が来ると、場所によっては強風と雨が矢のように建物の中へと入って来る事がある。時々侍女や宦官がずぶぬれになっている時があった。
「どうした。ずぶぬれでは無いか」
「はい、急に嵐が…申し訳ありませぬナターシャ様」
「着替えて来い。風邪をひくぞ」
と言うような事もあったな。
そうこうしているうちにリークがサンドイッチとスープをテーブルに用意し始める。いつもよりも高級感漂う食器を使っている事で、更に宮廷らしくなったような。
「お待たせしました。昼食の準備が完了いたしました」
「ありがとうございます。では頂きましょう」
「はい」
サンドイッチは卵サンドと、鹿の干し肉を煮たモノを挟んだサンドイッチとハムサンドの3種類である。そこに野菜スープを添えて。
(うん、どれも美味しそうだ)
11
あなたにおすすめの小説
母を亡くした公爵令嬢は、虐げられないが、今日も願いが叶わない
春風由実
恋愛
「何故お前が生きた?」
それは怪我をして長く眠っていたエルリカが、目覚めた直後に父親である公爵から掛けられた言葉だった。
「お前こそが、女神の元に行くべきだった!」
父親から強い口調で詰られたエルリカ。
普通の令嬢は、ここで泣くか、その後立ち直れなくなるという。
けれどエルリカは違った。
「あなたこそ、何をのうのうと元気にしているのですか?」
そうしてこの日父娘は、それぞれに絶縁を宣言した。
以来、母方の祖父母に引き取られ、侯爵領で過ごしてきたエルリカ。
ところが公爵は、いつまでもエルリカを除籍する手続きを実行しなかった。
おかげで名ばかりの公爵令嬢のまま、エルリカが王都へと戻る日がやって来てしまう──。
【完結】公爵家の秘密の愛娘
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。
過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。
そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。
「パパ……私はあなたの娘です」
名乗り出るアンジェラ。
◇
アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。
この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。
初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。
母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞
🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞
🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇♀️
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
悪役令嬢に転生したと気付いたら、咄嗟に婚約者の記憶を失くしたフリをしてしまった。
ねーさん
恋愛
あ、私、悪役令嬢だ。
クリスティナは婚約者であるアレクシス王子に近付くフローラを階段から落とそうとして、誤って自分が落ちてしまう。
気を失ったクリスティナの頭に前世で読んだ小説のストーリーが甦る。自分がその小説の悪役令嬢に転生したと気付いたクリスティナは、目が覚めた時「貴方は誰?」と咄嗟に記憶を失くしたフリをしてしまって──…
【完結】私を捨てた皆様、どうぞその選択を後悔なさってください 〜婚約破棄された令嬢の、遅すぎる謝罪はお断りです〜
くろねこ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エリシアは、ある日突然、身に覚えのない罪で断罪され婚約破棄を言い渡される。
味方だと思っていた家族も友人も、誰一人として彼女を庇わなかった。
――けれど、彼らは知らなかった。
彼女こそが国を支えていた“本当の功労者”だったことを。
すべてを失ったはずの令嬢が選んだのは、
復讐ではなく「関わらない」という選択。
だがその選択こそが、彼らにとって最も残酷な“ざまぁ”の始まりだった。
【完結】優しいあなたに、さようなら。二人目の婚約者は、私を殺そうとしている冷血公爵様でした
ゆきのひ
恋愛
伯爵令嬢であるディアの婚約者は、整った容姿と優しい性格で評判だった。だが、いつからか彼は、婚約者であるディアを差し置き、最近知り合った男爵令嬢を優先するようになっていく。
彼と男爵令嬢の一線を越えた振る舞いに耐え切れなくなったディアは、婚約破棄を申し出る。
そして婚約破棄が成った後、新たな婚約者として紹介されたのは、魔物を残酷に狩ることで知られる冷血公爵。その名に恐れをなして何人もの令嬢が婚約を断ったと聞いたディアだが、ある理由からその婚約を承諾する。
しかし、公爵にもディアにも秘密があった。
その秘密のせいで、ディアは命の危機を感じることになったのだ……。
※本作は「小説家になろう」さん、カクヨムさんにも投稿しています
※表紙画像はAIで作成したものです
『婚約者を大好きな自分』を演じてきた侯爵令嬢、自立しろと言われたので、好き勝手に生きていくことにしました
皇 翼
恋愛
「リーシャ、君も俺にかまってばかりいないで、自分の趣味でも見つけて自立したらどうだ?正直、こうやって話しかけられるのはその――やめて欲しいんだ……周りの目もあるし、君なら分かるだろう?」
頭を急に鈍器で殴られたような感覚に陥る一言だった。
彼がチラリと見るのは周囲。2学年上の彼の教室の前であったというのが間違いだったのかもしれない。
この一言で彼女の人生は一変した――。
******
※タイトル少し変えました。
・暫く書いていなかったらかなり文体が変わってしまったので、書き直ししています。
・トラブル回避のため、完結まで感想欄は開きません。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる