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第9話 断罪の葬式③
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さすがのマレナも余裕がなくなってきているようだ。
「男爵夫人として当たり前の事を、ユーティアさんはやってきただけですよ……? それなのになぜ私達が悪いだなんて」
「医者が嘘をついているとでも思っているのですか?」
「それを言うならリューゼスト伯爵も怪しいです! 棺桶の蓋を開けないのは、何か隠したいんじゃないのです?」
(ここでそう指摘してくるか……想定内の範囲だが思った以上にマレナという女は厄介だ。こんなのをユーティアさんは相手していたんだな……)
マーチャドは、蓋を開けましょう。と言ってそばで控えていた修道士1名と共に棺桶の蓋に手を伸ばし、そっと蓋を開けた。
「ユーティアさん……」
「マレナ様は、私がエレミー男爵夫人を殺したと仰りたいのですか?」
「ええ、そうです! だっておかしいじゃないですか、いきなり葬儀場の視察へ赴いて、そこで亡くなるだなんて!」
ただでは引かないマレナ。だがそれもマーチャドからすれば想定内のうちだ。
娼婦の遺体は死化粧が施されているが、それはユーティアに出来るだけ似せるようにもしている。マーチャドはというと、ここまで瓜二つな死体なのだから、見破れる訳がないだろうと言う自信と、これで見破れたらどうしようもない。とスリルにも似たものを感じていた。
「損傷はありません。綺麗でしょう?」
「あら、ユーティアさんてこんな顔だったかしら?」
(……気が付いたか?)
「日ごろから男爵夫人の顔を見ていなかったのですか?」
ダメもとでマーチャドが嫌味たっぷりにマレナに指摘する。
「そんな……嫁の顔を見るのが好きな姑だなんていないでしょうに」
どうやらマレナはマーチャドからの煽りに付き合うつもりはないようだ。
「では、エレミー男爵様はいかがお考えですか?」
「僕はママの言う通りだと思います」
(やはりマレナ様の傀儡だ。ここはどうにか切り抜ける!)
「では、そろそろ葬式のお時間が差し迫ってまいりました。この棺桶には遺体を保存する薬が使われておりますので、効果が切れない為にも蓋を閉めさせていただきます。よろしいですね?」
マーチャドが同意を求めると、3人は了承の態度を見せた。心の中でほっと息を吐きながら、蓋を再度厳重に閉め直す。
「という訳で後ほど報告書は国王陛下にお見せいたしますので。では、葬式を開始いたしましょう」
マーチャドのそばに待機していた修道士が、エレミー男爵家の3人に近寄り、反論はございませんね? と圧をかける。
「……反論するにしても、この報告書を国王陛下にお見せするのは決まっている事ですからね。この報告書を書いた医者も、王宮直属の医者ですので。口封じしようとしても無駄です」
「ぐっ……!」
さすがの3人もマーチャドの前に立ちはだかる屈強な修道士達には怖くて対抗できなかったのか、おとなしくはい。と返事する他なかったのだった。
「男爵夫人として当たり前の事を、ユーティアさんはやってきただけですよ……? それなのになぜ私達が悪いだなんて」
「医者が嘘をついているとでも思っているのですか?」
「それを言うならリューゼスト伯爵も怪しいです! 棺桶の蓋を開けないのは、何か隠したいんじゃないのです?」
(ここでそう指摘してくるか……想定内の範囲だが思った以上にマレナという女は厄介だ。こんなのをユーティアさんは相手していたんだな……)
マーチャドは、蓋を開けましょう。と言ってそばで控えていた修道士1名と共に棺桶の蓋に手を伸ばし、そっと蓋を開けた。
「ユーティアさん……」
「マレナ様は、私がエレミー男爵夫人を殺したと仰りたいのですか?」
「ええ、そうです! だっておかしいじゃないですか、いきなり葬儀場の視察へ赴いて、そこで亡くなるだなんて!」
ただでは引かないマレナ。だがそれもマーチャドからすれば想定内のうちだ。
娼婦の遺体は死化粧が施されているが、それはユーティアに出来るだけ似せるようにもしている。マーチャドはというと、ここまで瓜二つな死体なのだから、見破れる訳がないだろうと言う自信と、これで見破れたらどうしようもない。とスリルにも似たものを感じていた。
「損傷はありません。綺麗でしょう?」
「あら、ユーティアさんてこんな顔だったかしら?」
(……気が付いたか?)
「日ごろから男爵夫人の顔を見ていなかったのですか?」
ダメもとでマーチャドが嫌味たっぷりにマレナに指摘する。
「そんな……嫁の顔を見るのが好きな姑だなんていないでしょうに」
どうやらマレナはマーチャドからの煽りに付き合うつもりはないようだ。
「では、エレミー男爵様はいかがお考えですか?」
「僕はママの言う通りだと思います」
(やはりマレナ様の傀儡だ。ここはどうにか切り抜ける!)
「では、そろそろ葬式のお時間が差し迫ってまいりました。この棺桶には遺体を保存する薬が使われておりますので、効果が切れない為にも蓋を閉めさせていただきます。よろしいですね?」
マーチャドが同意を求めると、3人は了承の態度を見せた。心の中でほっと息を吐きながら、蓋を再度厳重に閉め直す。
「という訳で後ほど報告書は国王陛下にお見せいたしますので。では、葬式を開始いたしましょう」
マーチャドのそばに待機していた修道士が、エレミー男爵家の3人に近寄り、反論はございませんね? と圧をかける。
「……反論するにしても、この報告書を国王陛下にお見せするのは決まっている事ですからね。この報告書を書いた医者も、王宮直属の医者ですので。口封じしようとしても無駄です」
「ぐっ……!」
さすがの3人もマーチャドの前に立ちはだかる屈強な修道士達には怖くて対抗できなかったのか、おとなしくはい。と返事する他なかったのだった。
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