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第19話 到着
馬車の座席はやはり貴族が座るような座席よりも、質感が硬く柔らかさがほとんど感じられない。馬車の揺れ自体は想定よりも楽に感じられたがいかんせん座席の硬さのせいで、腰から尾てい骨にかけての辺りがだんだんと痛くなってくる。
「いたた……」
あまりにも痛いので、私は思わず前かがみの状態で立ち上がって、腰をさするしかなくなる。それに、湿気がこもって暑さもひどく感じる。窓を全て開けているので痛みよりかは十分ましであるが。
「ジャスミンさん、大丈夫です?」
「すみません、腰が痛くて……」
ハイダに心配されながらも、ユングミル城に到着したのは昼過ぎの事だった。トランクを持って馬車から降りると涼しい空気が私達を出迎えてくれた。
「わあ……!」
白い入道雲にさわやかな深い青色をした青空のコントラストが美しく映える。風も涼やかで、北部らしい気候だ。
ユングミル城は庭園と共にあの頃と変わらないまま、存在感を放っているのが見える。
「こちらへどうぞ」
ユングミル城のメイドが私達を出迎え、城内にある薬師の部屋まで案内してくれた。ハイダの後ろをついていくような格好で、私は両手でトランクを持って辺りを見渡しつつ歩く。
城内は少し暗いものの、涼しくて私達の靴音だけが響いているくらい静かな場所だ。
(静かだなあ)
私とハイダはそれぞれ、城内にある専用の部屋に通された。宮廷と同じく1人部屋が与えられた。1人部屋ではあるが部屋自体はゲストルームのそれなので、宮廷での自室よりも格段に広い。ベッド含め調度品は宮廷のものよりも古めかしくて、屋敷にあったものを思い出してしまう。
私は早速トランクの中から服や日用品といった荷物を取り出してクローゼットや棚の中にしまうと、メイドに促されて昼食を頂く事にする。
それにしても、アダン様達王族はいつ到着なさるのだろうか。今回ユングミル城に来るのはアダン様と国王陛下と王妃アネーラの3名。王太后様は宮廷に留まると聞いている。
(もしかして、到着は夜くらいになりそうか?)
昼食は軽くサンドイッチを頂いた。ハムとチーズが挟まったシンプルなものだが、塩気が効いていてとても美味しかった。昼食後、私はハイダと共に、城内にある医薬庫にて薬草や薬の在庫のチェックを城勤めのメイドと執事と共に行う。
「この薬草と、この薬。併せて5種の在庫が少なくなっていますね」
「計算ありがとうございます。ジャスミンさん」
「ここから薬屋までどのくらいかかりますか?」
そう私がメイドに質問すると、馬車で10分程かかる街にある薬屋が一番近いと答えた。
(うへえ、また馬車かあ……)
「いたた……」
あまりにも痛いので、私は思わず前かがみの状態で立ち上がって、腰をさするしかなくなる。それに、湿気がこもって暑さもひどく感じる。窓を全て開けているので痛みよりかは十分ましであるが。
「ジャスミンさん、大丈夫です?」
「すみません、腰が痛くて……」
ハイダに心配されながらも、ユングミル城に到着したのは昼過ぎの事だった。トランクを持って馬車から降りると涼しい空気が私達を出迎えてくれた。
「わあ……!」
白い入道雲にさわやかな深い青色をした青空のコントラストが美しく映える。風も涼やかで、北部らしい気候だ。
ユングミル城は庭園と共にあの頃と変わらないまま、存在感を放っているのが見える。
「こちらへどうぞ」
ユングミル城のメイドが私達を出迎え、城内にある薬師の部屋まで案内してくれた。ハイダの後ろをついていくような格好で、私は両手でトランクを持って辺りを見渡しつつ歩く。
城内は少し暗いものの、涼しくて私達の靴音だけが響いているくらい静かな場所だ。
(静かだなあ)
私とハイダはそれぞれ、城内にある専用の部屋に通された。宮廷と同じく1人部屋が与えられた。1人部屋ではあるが部屋自体はゲストルームのそれなので、宮廷での自室よりも格段に広い。ベッド含め調度品は宮廷のものよりも古めかしくて、屋敷にあったものを思い出してしまう。
私は早速トランクの中から服や日用品といった荷物を取り出してクローゼットや棚の中にしまうと、メイドに促されて昼食を頂く事にする。
それにしても、アダン様達王族はいつ到着なさるのだろうか。今回ユングミル城に来るのはアダン様と国王陛下と王妃アネーラの3名。王太后様は宮廷に留まると聞いている。
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(うへえ、また馬車かあ……)
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