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第42話 一方その頃のアルグレート③
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「ツォルグ……」
「アルグレート様……オトネ様になぜ、あのような……」
ツォルグはアルグレートがかけた術により、立ったまま身体が石のように固まってしまっている。しかし会話は可能なのでアンバランスな状態になっていた。
「すまない、ツォルグ」
アルグレートは急いで術を解除した。ツォルグは両手両足をばたつかせると、息を整える。
「さっきはすまなかった……大丈夫か?」
「私は心配いりません。それよりもオトネ様でございます!」
ツォルグは勢いに任せて大きな声を挙げた。彼の声にアルグレートはビクッと肩を震わせる。
「アルグレート様がオトネ様を大事に思われていらっしゃるのは理解できます。しかし! オトネ様のお気持ちももっと尊重すべきです! あなたには学習能力がないのでございますか!?」
ツォルグからの辛辣な言葉にアルグレートは声が出ない。
ツォルグの怒りは更に続く。
「オトネ様はアルグレート様の為、そして多くの方々の為に動こうとしていらっしゃるのですよ!? あなたの為を考えて、戦地に行くと仰られたのではないですか?」
「ツォルグ……」
「あなたとオトネ様のあれこれをこちらから聞いておりました。これほど私の地獄耳が役立った事はないでしょうね」
アルグレートの術により身動きが出来なかったツォルグだったが聴力を高めたりと規模が小さい魔法は使えたので、アルグレートと乙音のやり取りをこっそり聞いていたのだった。
「聞いていたのか、全て」
「さようでございます」
「俺にはあの方法しかないと思う。これしか、オトネを守る方法は……思いつかない……」
「オトネ様のご意思を無視しても構わないと」
ツォルグが放った言葉が剣となってアルグレートの胸に突き刺さった。
う……。とバツの悪い顔になるアルグレートだが、ツォルグは更に続ける。
「オトネ様を愛していらっしゃるなら、オトネ様のお気持ちを尊重するのは当たり前でしょうに。あなた様の独りよがりはまた、悲劇をもたらしかねませんよ」
「っ……!」
「アルグレート様。オトネ様とお話すべきです。私もご同行いたします。それにオトネ様にも本当に戦地へ行かれるお覚悟がおありかどうか、確かめたいですから」
「ツォルグ……」
アルグレートはピカピカに磨かれた大理石の床へ視線を落とすと、脳裏に乙音の笑顔を思い浮かべる。大規模掃討作戦という事もあり、戦地は苛烈極まりない場所である事は想像に難くない。そのような場所でも乙音は大丈夫なのか。彼女の覚悟も知る必要があるとアルグレートは考えた。
「オトネは……俺や誰かの為に役立ちたい。その気持ちを叶えるのも、また愛か」
「そのとおりでございます」
「……わかった。オトネと話してみる」
「では、ともに参らさせて頂きます。またアルグレート様が暴走されましたら、目も当てられませんから」
わかっている。とアルグレートは気まずそうに頭を掻きながら小さく返した。
「アルグレート様……オトネ様になぜ、あのような……」
ツォルグはアルグレートがかけた術により、立ったまま身体が石のように固まってしまっている。しかし会話は可能なのでアンバランスな状態になっていた。
「すまない、ツォルグ」
アルグレートは急いで術を解除した。ツォルグは両手両足をばたつかせると、息を整える。
「さっきはすまなかった……大丈夫か?」
「私は心配いりません。それよりもオトネ様でございます!」
ツォルグは勢いに任せて大きな声を挙げた。彼の声にアルグレートはビクッと肩を震わせる。
「アルグレート様がオトネ様を大事に思われていらっしゃるのは理解できます。しかし! オトネ様のお気持ちももっと尊重すべきです! あなたには学習能力がないのでございますか!?」
ツォルグからの辛辣な言葉にアルグレートは声が出ない。
ツォルグの怒りは更に続く。
「オトネ様はアルグレート様の為、そして多くの方々の為に動こうとしていらっしゃるのですよ!? あなたの為を考えて、戦地に行くと仰られたのではないですか?」
「ツォルグ……」
「あなたとオトネ様のあれこれをこちらから聞いておりました。これほど私の地獄耳が役立った事はないでしょうね」
アルグレートの術により身動きが出来なかったツォルグだったが聴力を高めたりと規模が小さい魔法は使えたので、アルグレートと乙音のやり取りをこっそり聞いていたのだった。
「聞いていたのか、全て」
「さようでございます」
「俺にはあの方法しかないと思う。これしか、オトネを守る方法は……思いつかない……」
「オトネ様のご意思を無視しても構わないと」
ツォルグが放った言葉が剣となってアルグレートの胸に突き刺さった。
う……。とバツの悪い顔になるアルグレートだが、ツォルグは更に続ける。
「オトネ様を愛していらっしゃるなら、オトネ様のお気持ちを尊重するのは当たり前でしょうに。あなた様の独りよがりはまた、悲劇をもたらしかねませんよ」
「っ……!」
「アルグレート様。オトネ様とお話すべきです。私もご同行いたします。それにオトネ様にも本当に戦地へ行かれるお覚悟がおありかどうか、確かめたいですから」
「ツォルグ……」
アルグレートはピカピカに磨かれた大理石の床へ視線を落とすと、脳裏に乙音の笑顔を思い浮かべる。大規模掃討作戦という事もあり、戦地は苛烈極まりない場所である事は想像に難くない。そのような場所でも乙音は大丈夫なのか。彼女の覚悟も知る必要があるとアルグレートは考えた。
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「そのとおりでございます」
「……わかった。オトネと話してみる」
「では、ともに参らさせて頂きます。またアルグレート様が暴走されましたら、目も当てられませんから」
わかっている。とアルグレートは気まずそうに頭を掻きながら小さく返した。
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