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2話 元魔王、冒険者ギルドに行く
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いまだ勝利の余韻冷めやらぬアルザスの街の中央広場。
元魔王ラバスは、一人思索にふけっていた。
よし、とりあえず、あのエセ魔王の手下はやっつけた。
次は、わしが、この街を占領して……
あれっ!?
さすがに、わしと悪魔大神官(作者注;ローザ)だけやと、この街占領した後、維持難しいんちゃうやろか?
せやったら、まずは配下集めが優先か……
「髑髏のローザよ、我等の悲願、覚えておるな?」
「もちろんでございます、まおうさま。大魔王エンリルを打倒して、世界を……(救わないと!)」
「さよう、魔王をかたる痴れ者を滅ぼし、我等が世界を……(征服しないと!)」
「まおうさま!!」
元魔王ラバスが最後まで言い終わる前に、感極まったローザが跪いた。
魔王を倒し、世界を救おうって……。
改めて宣言なさって下さった!
イタいお人だけど、やっぱり、勇者様。
私が、そのお手伝いできるのは運命、そう、運命だわ!
一方、元魔王ラバスは、歓喜に打ち震えるローザの様子に若干引いていた。
悪魔大神官(作者注;ローザ)の忠誠度、謎にMAX突き抜けてそうやけど、何ぞあったんやろか?
まあええわ、とにかく配下集めや。
「ゴホン。髑髏のローザよ、面を上げよ」
「はい! まおうさま」
「そなたも今や我が魔王軍四天王の一角。配下を集めるのに、なんぞ妙案はあるか?」
配下?
パーティーメンバーの事ね。
それなら……
「まおうさま、冒険者ギルドへご案内しますね」
アルザスの冒険者ギルドは、広場から目と鼻の先にあった。
しょぼくれた受付台に、ぼさぼさ髪の眠そうなエルフが一人座っている。
「まおうさま、冒険者登録はおすみですか?」
「ボウケンシャトウロク? なんだ、それは?」
元魔王ラバスは、元魔王である。
故に、冒険者登録など行ったことは無い。
「この街で仲間、もとい、配下を集めるには、冒険者登録しないとダメなんです」
「なるほど」
ここは、人間の街。
配下集めにも、魔族とはまた違った風習があるっちゅう事やろ。
わしは、魔王。
上に立つ存在。
この街での細々とした諸事は、悪魔大神官(作者注;ローザ)に任せるか……
「髑髏のローザよ、万事そなたに任せようぞ」
元魔王ラバスは、ローザに連れられて、受付台に向かった。
「すみません、この方の冒険者登録、お願いしたいんですが」
「ふわぁ~~。じゃあ、そこの水晶玉触って」
受付のエルフが、眠そうに台上の水晶玉を指さした。
元魔王ラバスは、言われるがまま、水晶玉に手を触れた。
チュドーン
水晶玉は、受付台ごと吹き飛んだ。
「なっ? ななななななにやってんの!?」
受付のエルフが飛び起きた。
ちなみに、彼女のぼさぼさ寝ぐせヘアは、今やちりちりファッショナブルなアフロヘアへと変貌を遂げていた。
「何が起こったのじゃ?」
「何が起こった、じゃないわよ! 鑑定の水晶玉、消し飛んだじゃない! あれ、高いのよ?」
「触っただけで爆発するとは……さては、エセ魔王、腹いせに、ブービートラップ残していきおったか?」
元魔王ラバスは、他にも罠が無いか確認するために、魔力を展開した。
濃密で凶悪な魔力が、辺りに満ちて来る。
受付のエルフが、悲鳴を上げた。
「な、何してんの!?」
「落ち着いてください、まおうさま」
「まおう?」
「エルフよ、我が名に恐怖せよ。我こそは、真の魔王ラバス!」
「……」
受付のエルフが、ローザに顔を寄せて囁いた。
「え~と、何、この人?」
「すみません、お察し下さい」
ローザは、【お察し下さい】のスキルを発動した!
さすがは、受付台を守って数十年のエルフ。
直ちに【お察し下さい】を理解した。
「もしかして、新たな勇者様?」
「はい」
「もしかして、さっき、アルザスの街を救ってくれた方?」
「はい!」
「もしかして、そういうイタい人?」
「はい……」
受付のエルフは、深く息をつくと、改めて元魔王ラバスに深々とお辞儀をした。
「まおうさま、知らぬ事とは言え、とんだ御無礼を」
「う、うむ。分かればよい」
な、なんや、このエルフ、急に聞き分け良うなったな。
まあ、わしも魔王。
ここは、寛大な態度で接するか。
受付のエルフが、再び口を開いた。
「お詫びと申しましては何ですが、まおうさまがこの街でご滞在される間、滞在費は、全て当ギルドでご負担させて頂きます」
勇者は、破滅に瀕したこの世界を救う存在。
当然、冒険者ギルドが全額費用負担する事になっていた。
しかし、元魔王ラバスには、そのような事情、知る由も無かった。
「ほう……それは、この街とそなたらギルドが、我に恭順の意を示している、という事で良いのだな?」
「もちろんでございます、まおうさま」
えっ!?
もしかして、この街、わしのもんになったって事やろか?
「よかろう。それでは、そなたらにこの街をまかせる故、二度とエセ魔王ごときに付け入られるでないぞ」
「ありがたきお言葉」
よっしゃ!
街一個ゲット!
頭下げてるエルフから、含み笑いみたいなのが聞こえる気がするけど、気のせいやろ。
配下は、おいおい集めていけばええか。
なんや、順調な滑り出しや。
この調子で、次の街行こかな
冒険者ギルドを出た後、元魔王ラバスは、ローザに問いかけた。
「髑髏のローザよ。そなたの働きで、アルザスの街は我等のものとなった」
「は、はい……えっ(我等のもの)?」
「善は急げと申す。ここから一番近い次の街に我を案内せよ」
ローザは考えた。
勇者様的には、街の解放 = 街が自分のものになった、なんだわ。
ギルドでも、エルフさんとの会話、そんな感じだったし。
次の街って、周り全部大魔王エンリルの占領下だけど……
はっ!? もしかして、勇者様、他の街を解放に向かわれるのね!?
世界を救おうと、時間を惜しまれて……なんと、尊いお志。
気のせいかしら?
後光が差して見えるわ。
夕日を背に佇む元魔王ラバスの姿に、感激の涙が止まらないローザであった。
翌日、元魔王ラバスとローザは、アルザスから最も近い街、イテオロの郊外にいた。
昨日、一旦はイテオロの街にすぐ向かおうとした二人だった。
しかし、街の人々から、準備と情報収集を勧められ、結局、宿に一晩泊っての出立となっていた。
情報では、イテオロの街を治めるのは、大魔王エンリルの四天王、パリカー。
街の人々は、奴隷として、悲惨な状況にあるという。
「さて、どないしよ……」
郊外まで来たものの、元魔王ラバスに妙案は無かった。
「髑髏のローザよ、何か意見はあるか?」
「はい! 私は、まおうさまの行くところ、どこまでもお供いたします!」
ローザは、瞳をキラキラさせながら即答した。
いや、それ意見ちゃうし。
ちゅうか、薄々気付いてたけど、悪魔大神官(作者注;ローザ)、実は、あんまり役に立たんコか?
とは言うても、この世界来て初めての配下兼四天王やしな。
長い目で見ていくか。
気を取り直した元魔王ラバスは、とりあえず、街に向かう事にした。
街の入り口で見張りをしていた魔物達が、近付いて来る二人に気が付いた。
「人間?」
「とりあえず、殺しとこ」
見張り役の魔物達は、直ちに元魔王ラバス達に襲い掛かった。
チュドーン
魔物達は、消し炭になった。
街に入った元魔王ラバスは、その後も立ち塞がる魔物達を瞬殺しながら、街の広場まで到達した。
そして、高らかに宣言した。
「偽りの魔王に仕える者どもよ! 我こそは真の魔王ラバス! 我に恭順せよ!」
そこへ、燃えるような赤い瞳の、一目で魔族と分かる女が現れた。
「あんたかい? あたいの可愛い部下達殺しまくってくれちゃったのは?」
「ほう、お前がここの指揮官か?」
元魔王ラバスは、【看破】のスキルを使用した。
名前:パリカー
種族:魔族
役職:魔王軍四天王序列7位
レベル:999(MAX)
HP:とても多い
MP:無尽蔵
スキル:色々
……
ステイタスが適当過ぎるとか、四天王やのに、序列7位とか、色々突っ込みたいけどまあええわ。
「女、投降するなら、我が配下に加えてやるが、どうじゃ?」
「寝言も大概にしときな、ニンゲ……ン?」
パリカーは、元魔王ラバスを見て、驚いた。
人間にしては、なんと見目麗しい!
元魔王ラバスは、人間に転生させられていた。
その時、担当した女神の趣味で、外見が超絶美形に変更されていた。
その容姿は、パリカーの好みのどストライクであった。
「普通なら、ニンゲンは、奴隷か殺すんだけどね。あんたは、投降すれば、あたいが特別にペットにしてやってもいいよ?」
パリカーは、舌なめずりしている。
「愚かな。我は何者の掣肘も受けぬ。なぜなら我は……」
元魔王ラバスは、パリカーにビシっと指を突き付けた。
「真の魔王ラバス! 世界を統べる者だからだ!」
決まった!
ちょっとわし、カッコええんちゃう?
しかし、パリカーは、相変わらず舌なめずりしているだけ。
なんや、この女。
ちょいキモイな。
「ニンゲンが、魔王を名乗るのか? 面白い。あたいと勝負しな? あんたが勝ったら、投降でも何でもしてやるよ?」
「良かろう。それで、どうやって勝敗を決するのだ? 先に忠告しておいてやるが、我が手加減出来る勝負にしておけ。死ぬぞ?」
「口だけは達者なようだねぇ。じゃあ、あたいの身体に一瞬でも触れたら、あんたの勝ちにしてやるよ!」
パリカーの顔に残忍な笑みが浮かんだ。
魔王軍四天王序列7位のあたいに触れるニンゲンなんて……えっ?
次の瞬間、パリカーは、身動きできなくなっていた。
「ば、馬鹿な!?」
MP無尽蔵の自分を上回る魔力で拘束されている!??
パリカーは、必死に拘束から逃れようとするも、指一本動かせない。
驚愕に目玉が飛び出しそうになっているパリカーに、元魔王ラバスがゆっくりと近付いて来る。
そして、無造作に彼女の頭に手を置いた。
「ふっ。お前の負けだ。投降せよ」
拘束から解放されたパリカーは、その場にへたり込んでしまった。
元魔王ラバスは、一人思索にふけっていた。
よし、とりあえず、あのエセ魔王の手下はやっつけた。
次は、わしが、この街を占領して……
あれっ!?
さすがに、わしと悪魔大神官(作者注;ローザ)だけやと、この街占領した後、維持難しいんちゃうやろか?
せやったら、まずは配下集めが優先か……
「髑髏のローザよ、我等の悲願、覚えておるな?」
「もちろんでございます、まおうさま。大魔王エンリルを打倒して、世界を……(救わないと!)」
「さよう、魔王をかたる痴れ者を滅ぼし、我等が世界を……(征服しないと!)」
「まおうさま!!」
元魔王ラバスが最後まで言い終わる前に、感極まったローザが跪いた。
魔王を倒し、世界を救おうって……。
改めて宣言なさって下さった!
イタいお人だけど、やっぱり、勇者様。
私が、そのお手伝いできるのは運命、そう、運命だわ!
一方、元魔王ラバスは、歓喜に打ち震えるローザの様子に若干引いていた。
悪魔大神官(作者注;ローザ)の忠誠度、謎にMAX突き抜けてそうやけど、何ぞあったんやろか?
まあええわ、とにかく配下集めや。
「ゴホン。髑髏のローザよ、面を上げよ」
「はい! まおうさま」
「そなたも今や我が魔王軍四天王の一角。配下を集めるのに、なんぞ妙案はあるか?」
配下?
パーティーメンバーの事ね。
それなら……
「まおうさま、冒険者ギルドへご案内しますね」
アルザスの冒険者ギルドは、広場から目と鼻の先にあった。
しょぼくれた受付台に、ぼさぼさ髪の眠そうなエルフが一人座っている。
「まおうさま、冒険者登録はおすみですか?」
「ボウケンシャトウロク? なんだ、それは?」
元魔王ラバスは、元魔王である。
故に、冒険者登録など行ったことは無い。
「この街で仲間、もとい、配下を集めるには、冒険者登録しないとダメなんです」
「なるほど」
ここは、人間の街。
配下集めにも、魔族とはまた違った風習があるっちゅう事やろ。
わしは、魔王。
上に立つ存在。
この街での細々とした諸事は、悪魔大神官(作者注;ローザ)に任せるか……
「髑髏のローザよ、万事そなたに任せようぞ」
元魔王ラバスは、ローザに連れられて、受付台に向かった。
「すみません、この方の冒険者登録、お願いしたいんですが」
「ふわぁ~~。じゃあ、そこの水晶玉触って」
受付のエルフが、眠そうに台上の水晶玉を指さした。
元魔王ラバスは、言われるがまま、水晶玉に手を触れた。
チュドーン
水晶玉は、受付台ごと吹き飛んだ。
「なっ? ななななななにやってんの!?」
受付のエルフが飛び起きた。
ちなみに、彼女のぼさぼさ寝ぐせヘアは、今やちりちりファッショナブルなアフロヘアへと変貌を遂げていた。
「何が起こったのじゃ?」
「何が起こった、じゃないわよ! 鑑定の水晶玉、消し飛んだじゃない! あれ、高いのよ?」
「触っただけで爆発するとは……さては、エセ魔王、腹いせに、ブービートラップ残していきおったか?」
元魔王ラバスは、他にも罠が無いか確認するために、魔力を展開した。
濃密で凶悪な魔力が、辺りに満ちて来る。
受付のエルフが、悲鳴を上げた。
「な、何してんの!?」
「落ち着いてください、まおうさま」
「まおう?」
「エルフよ、我が名に恐怖せよ。我こそは、真の魔王ラバス!」
「……」
受付のエルフが、ローザに顔を寄せて囁いた。
「え~と、何、この人?」
「すみません、お察し下さい」
ローザは、【お察し下さい】のスキルを発動した!
さすがは、受付台を守って数十年のエルフ。
直ちに【お察し下さい】を理解した。
「もしかして、新たな勇者様?」
「はい」
「もしかして、さっき、アルザスの街を救ってくれた方?」
「はい!」
「もしかして、そういうイタい人?」
「はい……」
受付のエルフは、深く息をつくと、改めて元魔王ラバスに深々とお辞儀をした。
「まおうさま、知らぬ事とは言え、とんだ御無礼を」
「う、うむ。分かればよい」
な、なんや、このエルフ、急に聞き分け良うなったな。
まあ、わしも魔王。
ここは、寛大な態度で接するか。
受付のエルフが、再び口を開いた。
「お詫びと申しましては何ですが、まおうさまがこの街でご滞在される間、滞在費は、全て当ギルドでご負担させて頂きます」
勇者は、破滅に瀕したこの世界を救う存在。
当然、冒険者ギルドが全額費用負担する事になっていた。
しかし、元魔王ラバスには、そのような事情、知る由も無かった。
「ほう……それは、この街とそなたらギルドが、我に恭順の意を示している、という事で良いのだな?」
「もちろんでございます、まおうさま」
えっ!?
もしかして、この街、わしのもんになったって事やろか?
「よかろう。それでは、そなたらにこの街をまかせる故、二度とエセ魔王ごときに付け入られるでないぞ」
「ありがたきお言葉」
よっしゃ!
街一個ゲット!
頭下げてるエルフから、含み笑いみたいなのが聞こえる気がするけど、気のせいやろ。
配下は、おいおい集めていけばええか。
なんや、順調な滑り出しや。
この調子で、次の街行こかな
冒険者ギルドを出た後、元魔王ラバスは、ローザに問いかけた。
「髑髏のローザよ。そなたの働きで、アルザスの街は我等のものとなった」
「は、はい……えっ(我等のもの)?」
「善は急げと申す。ここから一番近い次の街に我を案内せよ」
ローザは考えた。
勇者様的には、街の解放 = 街が自分のものになった、なんだわ。
ギルドでも、エルフさんとの会話、そんな感じだったし。
次の街って、周り全部大魔王エンリルの占領下だけど……
はっ!? もしかして、勇者様、他の街を解放に向かわれるのね!?
世界を救おうと、時間を惜しまれて……なんと、尊いお志。
気のせいかしら?
後光が差して見えるわ。
夕日を背に佇む元魔王ラバスの姿に、感激の涙が止まらないローザであった。
翌日、元魔王ラバスとローザは、アルザスから最も近い街、イテオロの郊外にいた。
昨日、一旦はイテオロの街にすぐ向かおうとした二人だった。
しかし、街の人々から、準備と情報収集を勧められ、結局、宿に一晩泊っての出立となっていた。
情報では、イテオロの街を治めるのは、大魔王エンリルの四天王、パリカー。
街の人々は、奴隷として、悲惨な状況にあるという。
「さて、どないしよ……」
郊外まで来たものの、元魔王ラバスに妙案は無かった。
「髑髏のローザよ、何か意見はあるか?」
「はい! 私は、まおうさまの行くところ、どこまでもお供いたします!」
ローザは、瞳をキラキラさせながら即答した。
いや、それ意見ちゃうし。
ちゅうか、薄々気付いてたけど、悪魔大神官(作者注;ローザ)、実は、あんまり役に立たんコか?
とは言うても、この世界来て初めての配下兼四天王やしな。
長い目で見ていくか。
気を取り直した元魔王ラバスは、とりあえず、街に向かう事にした。
街の入り口で見張りをしていた魔物達が、近付いて来る二人に気が付いた。
「人間?」
「とりあえず、殺しとこ」
見張り役の魔物達は、直ちに元魔王ラバス達に襲い掛かった。
チュドーン
魔物達は、消し炭になった。
街に入った元魔王ラバスは、その後も立ち塞がる魔物達を瞬殺しながら、街の広場まで到達した。
そして、高らかに宣言した。
「偽りの魔王に仕える者どもよ! 我こそは真の魔王ラバス! 我に恭順せよ!」
そこへ、燃えるような赤い瞳の、一目で魔族と分かる女が現れた。
「あんたかい? あたいの可愛い部下達殺しまくってくれちゃったのは?」
「ほう、お前がここの指揮官か?」
元魔王ラバスは、【看破】のスキルを使用した。
名前:パリカー
種族:魔族
役職:魔王軍四天王序列7位
レベル:999(MAX)
HP:とても多い
MP:無尽蔵
スキル:色々
……
ステイタスが適当過ぎるとか、四天王やのに、序列7位とか、色々突っ込みたいけどまあええわ。
「女、投降するなら、我が配下に加えてやるが、どうじゃ?」
「寝言も大概にしときな、ニンゲ……ン?」
パリカーは、元魔王ラバスを見て、驚いた。
人間にしては、なんと見目麗しい!
元魔王ラバスは、人間に転生させられていた。
その時、担当した女神の趣味で、外見が超絶美形に変更されていた。
その容姿は、パリカーの好みのどストライクであった。
「普通なら、ニンゲンは、奴隷か殺すんだけどね。あんたは、投降すれば、あたいが特別にペットにしてやってもいいよ?」
パリカーは、舌なめずりしている。
「愚かな。我は何者の掣肘も受けぬ。なぜなら我は……」
元魔王ラバスは、パリカーにビシっと指を突き付けた。
「真の魔王ラバス! 世界を統べる者だからだ!」
決まった!
ちょっとわし、カッコええんちゃう?
しかし、パリカーは、相変わらず舌なめずりしているだけ。
なんや、この女。
ちょいキモイな。
「ニンゲンが、魔王を名乗るのか? 面白い。あたいと勝負しな? あんたが勝ったら、投降でも何でもしてやるよ?」
「良かろう。それで、どうやって勝敗を決するのだ? 先に忠告しておいてやるが、我が手加減出来る勝負にしておけ。死ぬぞ?」
「口だけは達者なようだねぇ。じゃあ、あたいの身体に一瞬でも触れたら、あんたの勝ちにしてやるよ!」
パリカーの顔に残忍な笑みが浮かんだ。
魔王軍四天王序列7位のあたいに触れるニンゲンなんて……えっ?
次の瞬間、パリカーは、身動きできなくなっていた。
「ば、馬鹿な!?」
MP無尽蔵の自分を上回る魔力で拘束されている!??
パリカーは、必死に拘束から逃れようとするも、指一本動かせない。
驚愕に目玉が飛び出しそうになっているパリカーに、元魔王ラバスがゆっくりと近付いて来る。
そして、無造作に彼女の頭に手を置いた。
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シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
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