美術部俺達

緋色刹那

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第四話「美術部だってマラソンしたいっ!」

7,新たな波乱の予感

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「……」
 本加納は成宮が描いた恩田の絵の前で立ち尽くしていた。
 他の客が迷惑そうにしているのも構わず、絵の前から動こうとしない。
「恩田くん……」
 本加納はうっとりとした顔で、恩田の後ろ姿をしっかり目に焼きつけると、絵の下に貼られたプレートに目を落とした。
 プレートには「疾走」という題名と、成宮の名前が書かれていた。
「……」
 成宮の名前を目にした途端、本加納の表情は一変した。
 視線でプレートを凍らさんとばかりに、鋭く睨みつける。
「成宮……よくも私に黙って、恩田くんとッ……!」
 当人達の知らぬ間に、本加納は恨みを募らせた。

     ◯●◯●◯

 一向に絵の前から動かない本加納の背後で、本加納と同じ制服を着た女子の集団が成宮の絵を眺めていた。
「あれが美術部の方の絵なんですね! すごくお上手です!」
「なんか、思ってたよりまともね」
「うん。美術部とは思えないよね」
 二十人ほどの集団で、かなり目立っている。
 周囲の客達は物珍しそうに彼女達に視線をやるが、集団のリーダーらしき背の高い女子に睨みつけられると、何も言わずにそそくさと立ち去っていった。
 そこへ彼女達の仲間らしき女子高生がスキップしながら戻ってきた。動きやすいよう、制服を着崩している。髪には何本ものカラフルなヘアピンが留めてあった。
 彼女は背の高い女子のもとへたどり着くと、残念そうに言った。
「おーしろの絵、やっぱりなかったよぉ。ざーんねーん」
「だから言ったでしょう? 彼は受賞してないって」
「でもぅ、もしかしたらってこともあるかもじゃん? 補欠合格みたいに」
「あり得ないわ。あったとしても、絶対に彼が選ばれることなんてない」
 だって、と背の高い女子は目を細め、冷笑した。
「彼……は、女子のイラストしか描けないんですもの。だから、私達に入れなかったのよ」

(第五話へ続く)
 
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