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巡礼と唸る拳
珍獣捕獲大作戦4
たった数分という短い時間で立場は一気に逆転。
元々この三人娘を見知っている人ならば最早必然と思える結末。
最初から侮っていた目の前でぷるぷると震える王子様には予想出来なかっただろう。
「汚兄様、随分と震えていらっしゃいますね。寒いのですか、身体を拳で温めて差し上げますよ。」
「ち、近寄るな化物共め!私はこの国の第一王子だぞ!」
恐怖はあっても減らず口を叩くことを止めない。国を背負っていく立場と考えればこれぐらい強気なのは好ましい。
でも、怒れる獅子たちの前では無意味に等しい。牽制に剣を構えていても彼女達には小枝みたいなもの。
「まぁまぁ汚兄様ったら妹に対して酷い言い草ですわ。」
「う、うるさい!」
「それに王子だからといって何を行なってもいい道理はございません。大人しく罪を認めて償いなさい。」
「や、やかましか!」
全く聞く耳を持たないお馬鹿さんは抗う姿勢を絶やさない。
無謀にも殺戮者3名に剣を振るう。
もうお兄様ったらせっかく潔く投降してくれましたら拳一発でおしまいにしようと思いましたのに。
ふふん、残念です非常に残念です。
他の二人も仮にも王子様と戦うのは悲しかったのか口角が上がっております。
さあ楽し……こほん哀しい哀しい決着を着けましょう。
汚兄様もいきなり同じ血の通う妹の私に剣を向ける気はないのか、まずはミーナちゃんを対象にしました。
幼い女の子から狙うなんて最低です。
無常にもミーナちゃんの頭目掛けて鋭利な刃が振り下ろされる。
普通の女の子なら悲鳴の一つや二つあげる状況。
でも、ミーナちゃんは笑う。私だって笑う。なぜなら私達のお姉様なら必ず如何なる時でも笑顔で拳を握る。
笑った女の子は小柄な体格を活かし馬鹿の眼前まで潜り込む。
本当はそのまま顔面なり腹なり殴り飛ばしたいはず。
けれどミーナちゃんはとても優しい女の子。
私達にもちゃんと分け前を残すため剣を握る手首をへし折るだけ。
ロコルさんは念の為に溢れ落ちた剣を右足で踏み壊すのを忘れない、しっかり者のお姉さんですね。
あっさりと得物を失い、手首よりお邪魔してる激痛に悶え苦しむ元王子様。
「あぐ、ぐぅ…貴様らこの私にこのような事をじてただで済むと思っておるのが!!」
地べたで情けなく吠える。
「汚兄様こそ勘違いをしておりますわ。私達の愛しきお姉様へ数々の危険な目に遭わせたのです。お姉様きっと何度も怯えて泣いたと思います。そんな行ないをしたお前こそこの程度で済むと本気で思っているの?」
汚兄様は痛みを忘れたのかわなわなと目を見開き私達を見上げる。
私達三人は朗らかに微笑みながら見下ろす。
「ひぃっ!」
これが私のお兄様だった人の最後の悲鳴。
その後は悲鳴やうめき声なので割愛します。
騎士団長ガルムは見た。
ロイド様より国王陛下からご子息であられるフリード殿下を捕縛せよと王命が下り、俺は急ぎ仲間である部下たちを集合させた。
殿下が自分の兵士を使い何度も聖女様の命を狙った。
その事実に俺は驚きもしたがそれと同時に納得もした。
フリード様は聖女様に対して非常に嫌悪を抱いていた。
王城で日頃悪口を仰っていたが実力行使に出るとはなんたる無謀な。
ことごとく失敗に終わったらしい。
試合で十分に知ったアリス様の実力。そこらの兵士程度でとやかく出来る存在ではない。
フリード様はそれを見誤ったのだ、残念で仕方ない。
しかし、仕えていた御方でも捕らえろと命令とあらば従うのみ。
俺は集まった仲間と共に殿下の自室へと向かった。
いつの間にか改築された扉無しのフリード様の部屋に入った俺達、目の前に映る光景に立ち尽くす。
宙吊りにされたフリード様。
それを囲うように小柄な少女達が三人その内一人は我が国のお姫様。
キャッキャウフフと楽しそうに殴打殴打殴打。
集団暴行駄目ゼッタイ。
なのに雰囲気はお花畑で蝶々と戯れる無邪気な子供のよう。
要するに感想としては、怖かった団長だからチビりはしなかったぞ。
三人が口を揃えて「ふふふ、これはお姉様の分これもお姉様の分」とひたすら殴ってるんだ、幾つもの死線をくぐり抜けて来た俺でも怖いよ。
団長が止めてくださいよと仲間達の強引な後押しもあり、俺は頑張って止めに入った。本当に頑張った。
この子達に比べたら俺はそこらで震える子犬みたいなもんだな。
ともかく元殿下は原型が留まらないくらい腫れ上がった仕様になったが無事?確保。
あの自称か弱い女の子達はこのまま仲良くお茶会だって凄いよね。
俺達は紐無しで自ら飛んだと姫様の証言を元に王城の外のも回収しに行きました。
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