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友好試合
しおりを挟むお家が完成してからもう一週間。
何事もなく平穏な日常が続いていると思う……夜は油断すると誰かしら俺の寝室に突撃してくるけど一応平穏。
お家もまだ外からは8割進んだくらいに見える。リリーに完成後はそこらに建っている家と同じ姿形に見えるようにしてもらう予定。
だけど、今日は我が家に初めてのお客様。
お客さんはジンさん達。用は以前から話していた試合。家が完成してからの予定だったけれど待ち切れなくなったみたいで街で買い物中に懇願されてしまった。
よっぽどシルヴィアと男達の戦いっぷりに触発されたんだね。
試合は地下ではなくてお庭でやる。ジンさん達を信用していない訳でもないけど無闇やたらに家へ招き入れるのはまだ躊躇いがある。
幸い庭は戦闘するのに十分な広さがある、問題はないだろう。
試合後の食事はここで食べるので、クックにお願いもしてある。二十人にも満たない人数なのに食材と調味料代で500万z飛んでしまった。塩のみの料理から解放されるなら安いと思いたい。
早くコロックさんお金を下さい…。
そうこうしているうちにジンさん達がやって来た。
ただ訪れたのはジンさんにアレクさんそれとエミルさん。残りの無口なセリックさんはランパード商会の護衛として残ったらしい。
「よお、坊…ユウ!今日はしっかり勉強させてもらうぜ。」
ジンさんに見せた戦闘は初めての出会いでの出来事とシルヴィアの戦闘のみ。
それだけで俺らとの実力差を弁えている。下手に侮ったり傲ったりしない分厄介だ。
「ジンと言ったな。お前達の相手は主君の守護者であるこの私シルヴィアが務める。」
これは前もって決めさせられたこと。
主君である俺があの程度の実力相手にわざわざ力を振るう必要がない。
シルヴィアはそうはっきりと言い切った。
彼女の場合、馬鹿にしていなくただ歴然たる事実として述べている。
幾ら俺が戦うよと言っても全く譲る気は無い様子。
ちゃっかり他の配下達も同意を示すように頷いていた。
主従関係の弊害ここにあり。
そんなわけで今回俺は観戦、どっちも頑張れ。
「そうか…出来ればユウとやりたかったんだが仕方がないか。」
「お前達程度では主君の足元にも及ばぬわ。であるなら、我が主君に無駄なことをさせる訳がなかろうが。」
「む、無駄って…。言ってくれるじゃないの。だったら、あんたに勝ったらユウと戦わせてもらうわよ!」
「ふん、良かろう。」
なんでシルヴィアはあんな挑発的な言い方をするかなぁ。もっと穏便に……無理だろうね。
売り言葉に買い言葉方式でエミルさんが怒ってしまった。
クックに追加でデザートを頼んでおこう。
そして、ようやく試合へ。
シルヴィアとの一対一ではなく一対三。
最初はジンさん達渋っていたけどこれは流石に飲んで貰わないと勝機は全く無くなる。
シルヴィアの安い挑発でどうにかエミルさんを皮切りに納得してもらえた。
両者が向かい合うように立つ。
そこでまたしてもジンさん達とのひと悶着が。
原因はシルヴィアが武器を持たず素手で来たから。相手からしたら舐めきってふざけているようにしか見えない。
「あんた、得物は長槍だったわよね?なんで手ぶらで立ってんのよ!」
「嬢ちゃん、幾ら何でも馬鹿にし過ぎだろう。」
「ん?別に馬鹿にしているつもりはない。お前らは主君の命より殺してはならないと言われている。だから、素手なのだ。素手なら加減が出来るただそれだけだ。」
曇りの無い真っ直ぐな目で告げられて開いた口が塞がらない面々。
あのゴロツキ共には手加減する必要は無いもんね。
納得し切れないジンさん達だけどいよいよ戦います。
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