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その頃のギルド
しおりを挟むヤバい、あいつらはヤバい…。
ドラゴンをあんな餓鬼が討伐したなんて会うまで全く信じられなかった。だが、もうはっきりと分かる。
目の前で引き連れて行った部下や冒険者達が無残な姿に変貌していった。
あんなものを見せられたら否応なしに信じるしかない。
この町に居たら殺される。
俺はギルドマスターである立場を無視して脱兎の如く町から逃げ出した。
逃げる場所はもちろん王都。
あそこにはゼーニック侯爵がいる、更には本部でもある王都のギルドに行けば総帥にあいつらの危険度を知らせられる。
そうすればこの町にいる冒険者よりも遥かに強い者達を募ってくれるはずだ。
必死で駆ける馬へ更に鞭を強く打つ。
それから四日後、いつ襲われるか分からない恐怖かほぼ一睡もせずに王都を目指し無事到着した。
少しの仮眠だけのせいか隈が酷い、お陰で王都の門番をしている兵士共にギョッとされてしまった。
だが、ここまでくれば俺の安寧が保てる。あいつらの追手は結局来なかった、強行した甲斐があったようだ。
まずは本部のギルドへ。
酷い隈に所々ボロボロな服装が周囲の道行く者達に訝しげに見られる。
見世物じゃない、こっちを見るな。
ギロリと睨めば視線を逸らして足早に通り過ぎていく。
ふん、腰抜け共が…。
そして、到着。
入っても外と変わらず俺に視線が注がれる。少し違うのは俺の事を知っている者が居るからか不審や警戒さは少ない。
むしろ心配そうな視線すらある。
シュトールでも見掛けたことのある冒険者には軽く挨拶がてら手を挙げて、受付嬢に話し掛ける。
「すまんがゼフト総帥は居るか?シュトールのギルドマスターのサイモンが来たと伝えてもらえるだろうか?重要な用件を伝えに来た。」
「は、はい!少々お待ち下さいませ!」
「あぁ。」
よほど俺の顔は険しくなっていたのか受付嬢は声を震わせていた。
俺から逃げるように裏へ行く。
時間にして15分くらいだろう。
先程お願いした受付嬢を後ろに従えて来てくれたのは口を隠すくらい白ひげを耕した老人。
そう、この方が冒険者ギルドを統べる総帥であるゼフトさんだ。
見た目は70代くらいのヨボヨボ爺さんに見えるが未だに勝てる気がしない。
俺はこの方を知って初めて超人というものを思い知った。
魔法を使わせれば一度に百人は殲滅し魔法を恐れ近接で挑もうものならヨボヨボに見える身体からは想像つかない動きで圧倒される。
昔は俺も無謀にも挑戦して何度も敗北を味わった。
「よう来たのぅ、サイモン。それで何用じゃ?ドラゴン討伐者でも分かったのかのう。」
「総帥お久しぶりです、討伐者は分かりました。ですが……。」
言い淀む俺を見て総帥は白ひげを擦る。
「ふむ、ここではなんじゃから儂の部屋で話をするか。付いてくるのじゃ。」
「は、はい!」
呼んで来てくれた受付嬢とはここで別れて部屋へと向かう総帥の後ろを付いて行く。
総帥の自室は高い地位に存在する者とは思えないほど簡素。
部屋として必要最低限の物しか備わっていない。俺にはとても信じられない。
「………さて、重要な用件を伝えに来たそうじゃが何かあったのか?」
「はい、実は…。」
今までのあらすじを書く事ほどつまらないものは無い。
だから、書かない。
サイモンは総帥を味方に付けるためになるべく出来る限り装飾してドラゴン討伐者を悪人であるように説明した。
それを聞いたゼフトは白ひげをまた擦る。
「ふむ、実力を持ちながら無抵抗な者を愉しそうに殺したか…。」
「はい、部下や冒険者達はこの情報を伝えられるよう身を呈して俺を逃してくれました…くっ、俺が不甲斐ないばっかりに!!」
「そう己を責めるな。お主の気持ちは痛いほど伝わった。それに王からもそのドラゴン討伐者のユウという者を賞金首として伝わっておる。すぐに名のある冒険者達に声を掛けよう。」
「総帥…ありがとうございます!!(チョロいぜ。)」
こうしてサイモンと馬鹿二人にとって都合の良いように今だけは回り始めた。
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