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第1章
4話
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極力音が出ないように注意して扉を閉めた。
ガーラは彼女の涙を思い出す。あの涙は、誰にも認めてもらえていなかったと知ってしまった時に流れるどうしようもない悲しみの涙だった。ガーラにはそれが嫌になるほど分かって、まるで自分が泣いているように胸が痛む。
(ずっと見ていたら思い出してしまいそうだ。あの時捨てた感情、抱えていたら僕が壊れてしまう、あの恐ろしいくらい重い感情を……)
タンタンと靴音を鳴らして廊下を歩く。とある部屋の前に差し掛かった時、扉が勢いよく開いた。
「ガーラ!あの子は?」
スイだ。シオンのことを随分と気に入ったようで、連れてきてからそばを離れようとしない。
スイがガーラ達以外で執着を見せたのは初めての事だった。
「相当苦しんだようだ。何故あんな場所にいたのかを話してくれたんだが、どうやら追い出されたようで、行くあてもないらしい」
「見てくる!」
「やめとけ」
ガーラは駆け出したスイの首根っこをつかむ。
「いやぁ、離してー!なんで駄目なの!励ましてあげた方がいいでしょ!?」
スイはじたばたと足を動かして抵抗した。が、ガーラには効かない。
「今は1人にさせた方がいい。……泣いているんだ、彼女」
「泣かせたの?ガーラ」
「違う」
仏頂面で答えて、ガーラはスイの首根っこを掴んだままスイが出てきた部屋に入る。
そこにはもう1人いた。大柄な男で、頭に獣の耳、腰の後ろに狼のような尻尾が見えた。
「ウェスト、お前もいたのか」
「ああ、どうにも気になってな。で、あの子はなんだって?」
ウェストと呼ばれた狼男は、優しい面差しで訊ねた。
ガーラは首を振った。
スイがうるさいので離してやる。
「聖女であることは間違いない。ただ、濡れ衣を着せられて国を追い出されたようで、行くあてもなくとりあえず隣の国に向かおうとあの森に入ったらしい」
「なんて無謀なことを……いや、それしか方法が無かったのか」
ガーラは頷いた。
「しばらくここに居るように伝えた。いいだろう?」
「もちろん。部屋はいくらでも余っているしな。スイも彼女の事を気に入ってしまったようだし」
ガーラはもう一度頷いて、スイの方を見た。ウェストを盾にしてガーラから1番遠いところで、スイが唸っている。
「お姉ちゃん1人にして、またうなされてたらガーラのせいだからね!」
「分かったよ、もうそれでいいから」
「ガーラのいじわる!」
ぷい、とそっぽを向くスイに、ガーラとウェストは困ったように顔を見合せる。ガーラはどうしたものかと肩をすがめた。
ガーラは彼女の涙を思い出す。あの涙は、誰にも認めてもらえていなかったと知ってしまった時に流れるどうしようもない悲しみの涙だった。ガーラにはそれが嫌になるほど分かって、まるで自分が泣いているように胸が痛む。
(ずっと見ていたら思い出してしまいそうだ。あの時捨てた感情、抱えていたら僕が壊れてしまう、あの恐ろしいくらい重い感情を……)
タンタンと靴音を鳴らして廊下を歩く。とある部屋の前に差し掛かった時、扉が勢いよく開いた。
「ガーラ!あの子は?」
スイだ。シオンのことを随分と気に入ったようで、連れてきてからそばを離れようとしない。
スイがガーラ達以外で執着を見せたのは初めての事だった。
「相当苦しんだようだ。何故あんな場所にいたのかを話してくれたんだが、どうやら追い出されたようで、行くあてもないらしい」
「見てくる!」
「やめとけ」
ガーラは駆け出したスイの首根っこをつかむ。
「いやぁ、離してー!なんで駄目なの!励ましてあげた方がいいでしょ!?」
スイはじたばたと足を動かして抵抗した。が、ガーラには効かない。
「今は1人にさせた方がいい。……泣いているんだ、彼女」
「泣かせたの?ガーラ」
「違う」
仏頂面で答えて、ガーラはスイの首根っこを掴んだままスイが出てきた部屋に入る。
そこにはもう1人いた。大柄な男で、頭に獣の耳、腰の後ろに狼のような尻尾が見えた。
「ウェスト、お前もいたのか」
「ああ、どうにも気になってな。で、あの子はなんだって?」
ウェストと呼ばれた狼男は、優しい面差しで訊ねた。
ガーラは首を振った。
スイがうるさいので離してやる。
「聖女であることは間違いない。ただ、濡れ衣を着せられて国を追い出されたようで、行くあてもなくとりあえず隣の国に向かおうとあの森に入ったらしい」
「なんて無謀なことを……いや、それしか方法が無かったのか」
ガーラは頷いた。
「しばらくここに居るように伝えた。いいだろう?」
「もちろん。部屋はいくらでも余っているしな。スイも彼女の事を気に入ってしまったようだし」
ガーラはもう一度頷いて、スイの方を見た。ウェストを盾にしてガーラから1番遠いところで、スイが唸っている。
「お姉ちゃん1人にして、またうなされてたらガーラのせいだからね!」
「分かったよ、もうそれでいいから」
「ガーラのいじわる!」
ぷい、とそっぽを向くスイに、ガーラとウェストは困ったように顔を見合せる。ガーラはどうしたものかと肩をすがめた。
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