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終章 王子を襲った陰謀と国家転覆
『149、最終決戦~王子を襲った陰謀と国家転覆~』
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残念ながらこの事実だけは覆すことは出来ない。
俺は母上に睨まれているグリーソンさんの目を見つめながら、努めて冷静に発言した。
「そうです。僕は第1王子ではなく、やんごとなき第2王子だったということです」
「まさか・・・リレン王子が僕の異母弟?」
グリーソンさんも初めて聞かされる事実だったのか、目を丸くして俺を凝視している。
まったく・・・そんなに純粋だから操られるんだよ。
彼は、誰かに操られたせいで聖騎士を辞めて黒の影に身を堕としたという話だった。
推測の域を出ないが、グリーソン・・・兄さんを操ったのは恐らく父上だろう。
自分のそばに置いておき、機会が来たら王位を継がせるつもりだったとかかな?
父上が直々に彼を雇ったというのが裏付けになるはずだ。
わざわざ料理長を国王自らが雇うというのは普通ではありえない行為だから。
「そうですよ。だから次期国王はあなただということです」
「僕に国王は無理だ。幼い頃から英才教育を受けていたリレン王子の方がいい」
精一杯の皮肉をグリーソン兄さんは純粋パワーで返す。
俺が怯んだところで、たまらなくなった父上が立ち上がって怒鳴りつけた。
「グリーソン、お前が王になるんだ!」
「僕には無理でしょう。幼い頃に受けていた教育といえば、聖騎士の心得えくらいですし」
「これは決定事項だ。覆せない!」
父上が前世の小説に出て来た頑固親父になったところで、俺は助け船を出す。
今こそ断罪を行うときだ!
「モルネ国王、今回の事件が認められれば、あなたは国王職剥奪になるんですけど?」
「何だと?」
「この国の伯爵が持っていた記録用の石にこのような記述がありました」
そう言って見せたのは、『国家転覆罪』のページだ。
王都の門を超える方法を探していた時に見つけたのだが、まさかここで役に立つとは。
「この罪は、国が滅ぶような大罪を犯したものに適応されます」
「だから何だ?俺は国が滅ぶようなことをしたか?」
「各領地の領主を全員連れて来て・・・4国連合が攻めてきたらどうするつもりですか?」
心配していた事案をぶつける。
『最悪の場合、国が滅ぶような大罪を犯したものに適応される罰』だからな。
俺が指摘していることは間違いなく“最悪のケース”であるが、この件については問題外。
余裕で適応できる。
「さらに王太子の殺害未遂にお姉さまの友人殺害の罪も重なってますしね」
「そうよ。私の友人だったブルミを魔導具の中に閉じ込めて、拷問の末に殺した!」
アスネお姉さまが涙目で父上に怒鳴る。
すると父上が反論の言葉を紡ぐ前に、エルフ国王が険しい顔で出てきた。
「うるさい。執務室で騒ぐんじゃない」
「あら、随分と余裕なのね。あなたにも隠していることがたくさんあるんじゃなくて?」
アリナお姉さまはそう言うと、なぜか髪留めを外した。
そして外した髪留めを口元に近付けると、凛とした口調で叫ぶ。
「フローリーさん、ミラさん、やってしまいなさい!」
「やっと私たちの出番ね。あなたはモルネと組んで危険な魔導具を復活させていたわ」
「開発した魔導具の実証実験には何の罪もない一般人を使っていたはずだった」
天井の一部が開いたかと思うと、フローリーとミラさんがゆっくりと降りてきた。
お互いにその表情は険しい。
「でも、他国の王族が被害者になってしまったであろうケースがいくつか散見されたわ」
「例えば、今も行方不明になっているアラッサム王国の第2王子とかね?」
ミラさんの指摘にたじろぐエルフ国王。
流れ弾を受けた父上は既に顔面蒼白になっていたが、やがて狂ったように嗤いだした。
「俺はもう終わりか。まさか子供たちに暴かれるとはなぁ!」
「悪事を認めるんですね!」
「何を言っているんだ。そんな証拠の無い話を認めるわけがないだろう!」
苦い顔をしたホブラック宰相の問いを父上は一蹴した。
血走った目をギラつかせながら壁に向かっていく父上の前に立ちふさがったのは母上。
お姉さまたちに似た顔を歪めている。
「ここに隠し通路があることは分かっています。あなたを部屋から出すわけにはいかない」
「邪魔だ。俺の邪魔をするなら容赦しないぞ。例え妻であってもな!」
父上は面倒そうな顔をしながら、母上を持ち上げて床に叩きつける。
苦悶の表情を浮かべながらも父上に喰らいつく母上を見かねてか、ハーナンも参戦。
憤怒の表情を浮かべる父上をビンタした。
「愛人の問題で私たちの心を散々弄んでおきながら、まだ逃げるか!」
「当たり前だ。俺にはやりたい事がたくさんあるんだぞ!?」
「国家を転覆させるような犯罪を犯す人がやりたいことですか・・・どうせ碌なことじゃ・・・」
そこから先の言葉は紡げなかった。
ハーナンのお腹から、父上が無詠唱で出した氷の槍が生えていたのだから。
「俺の罪をバカにするのは許さない」
「ウッ・・・みんなは絶対にコイツを逃がさないようにね。私の死を無駄にしないで!」
「残念だけど死なせないよ。お母さんにはまだ死なせない」
父上が逃げようとしていた通路から出て来たのは、リアンの弟、リテルだった。
俺は母上に睨まれているグリーソンさんの目を見つめながら、努めて冷静に発言した。
「そうです。僕は第1王子ではなく、やんごとなき第2王子だったということです」
「まさか・・・リレン王子が僕の異母弟?」
グリーソンさんも初めて聞かされる事実だったのか、目を丸くして俺を凝視している。
まったく・・・そんなに純粋だから操られるんだよ。
彼は、誰かに操られたせいで聖騎士を辞めて黒の影に身を堕としたという話だった。
推測の域を出ないが、グリーソン・・・兄さんを操ったのは恐らく父上だろう。
自分のそばに置いておき、機会が来たら王位を継がせるつもりだったとかかな?
父上が直々に彼を雇ったというのが裏付けになるはずだ。
わざわざ料理長を国王自らが雇うというのは普通ではありえない行為だから。
「そうですよ。だから次期国王はあなただということです」
「僕に国王は無理だ。幼い頃から英才教育を受けていたリレン王子の方がいい」
精一杯の皮肉をグリーソン兄さんは純粋パワーで返す。
俺が怯んだところで、たまらなくなった父上が立ち上がって怒鳴りつけた。
「グリーソン、お前が王になるんだ!」
「僕には無理でしょう。幼い頃に受けていた教育といえば、聖騎士の心得えくらいですし」
「これは決定事項だ。覆せない!」
父上が前世の小説に出て来た頑固親父になったところで、俺は助け船を出す。
今こそ断罪を行うときだ!
「モルネ国王、今回の事件が認められれば、あなたは国王職剥奪になるんですけど?」
「何だと?」
「この国の伯爵が持っていた記録用の石にこのような記述がありました」
そう言って見せたのは、『国家転覆罪』のページだ。
王都の門を超える方法を探していた時に見つけたのだが、まさかここで役に立つとは。
「この罪は、国が滅ぶような大罪を犯したものに適応されます」
「だから何だ?俺は国が滅ぶようなことをしたか?」
「各領地の領主を全員連れて来て・・・4国連合が攻めてきたらどうするつもりですか?」
心配していた事案をぶつける。
『最悪の場合、国が滅ぶような大罪を犯したものに適応される罰』だからな。
俺が指摘していることは間違いなく“最悪のケース”であるが、この件については問題外。
余裕で適応できる。
「さらに王太子の殺害未遂にお姉さまの友人殺害の罪も重なってますしね」
「そうよ。私の友人だったブルミを魔導具の中に閉じ込めて、拷問の末に殺した!」
アスネお姉さまが涙目で父上に怒鳴る。
すると父上が反論の言葉を紡ぐ前に、エルフ国王が険しい顔で出てきた。
「うるさい。執務室で騒ぐんじゃない」
「あら、随分と余裕なのね。あなたにも隠していることがたくさんあるんじゃなくて?」
アリナお姉さまはそう言うと、なぜか髪留めを外した。
そして外した髪留めを口元に近付けると、凛とした口調で叫ぶ。
「フローリーさん、ミラさん、やってしまいなさい!」
「やっと私たちの出番ね。あなたはモルネと組んで危険な魔導具を復活させていたわ」
「開発した魔導具の実証実験には何の罪もない一般人を使っていたはずだった」
天井の一部が開いたかと思うと、フローリーとミラさんがゆっくりと降りてきた。
お互いにその表情は険しい。
「でも、他国の王族が被害者になってしまったであろうケースがいくつか散見されたわ」
「例えば、今も行方不明になっているアラッサム王国の第2王子とかね?」
ミラさんの指摘にたじろぐエルフ国王。
流れ弾を受けた父上は既に顔面蒼白になっていたが、やがて狂ったように嗤いだした。
「俺はもう終わりか。まさか子供たちに暴かれるとはなぁ!」
「悪事を認めるんですね!」
「何を言っているんだ。そんな証拠の無い話を認めるわけがないだろう!」
苦い顔をしたホブラック宰相の問いを父上は一蹴した。
血走った目をギラつかせながら壁に向かっていく父上の前に立ちふさがったのは母上。
お姉さまたちに似た顔を歪めている。
「ここに隠し通路があることは分かっています。あなたを部屋から出すわけにはいかない」
「邪魔だ。俺の邪魔をするなら容赦しないぞ。例え妻であってもな!」
父上は面倒そうな顔をしながら、母上を持ち上げて床に叩きつける。
苦悶の表情を浮かべながらも父上に喰らいつく母上を見かねてか、ハーナンも参戦。
憤怒の表情を浮かべる父上をビンタした。
「愛人の問題で私たちの心を散々弄んでおきながら、まだ逃げるか!」
「当たり前だ。俺にはやりたい事がたくさんあるんだぞ!?」
「国家を転覆させるような犯罪を犯す人がやりたいことですか・・・どうせ碌なことじゃ・・・」
そこから先の言葉は紡げなかった。
ハーナンのお腹から、父上が無詠唱で出した氷の槍が生えていたのだから。
「俺の罪をバカにするのは許さない」
「ウッ・・・みんなは絶対にコイツを逃がさないようにね。私の死を無駄にしないで!」
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父上が逃げようとしていた通路から出て来たのは、リアンの弟、リテルだった。
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