通学路の秘密

南いおり

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集い

20××年11月10日20:39

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クラスが沈黙に包まれている中でドアが開いた。お互い名前を呼び合い、野上くんは彼女に近づいた。

「…京香を…京香を助けられたのは私しかいなかったのに…。私があの時話を聞いていれば…私がもっと京香のこと考えていれば…ちゃんと気づいてきたら…助けられたのに…」
「一華は何も悪くない。…悪いのは俺だ。あの二人から嫌がらせされるようになって、でもクラスも部活も同じだから一緒にいるしかなくて…でもそんなの言い訳だった。ただ、怖かったんだ。一人になるのが。それで一華を犠牲にした。そして、茅野を自殺に追い込むことになった。本当にごめん。」

「2人は悪くない。」

「2人は悪くない。気づけなかったのは私が悪い。父親で言いづらいとはいえ、異変に気づくことはできたはずだ。そして、自殺に追い込んだのも須藤と片岡だ。2人は悪くない。自分を責めることはない」 


こうして、ホームルームは幕を閉じた。

誰も救われない結末のまま。

結局、あの2人も逮捕され、退学になった。
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