170 / 592
第十三章:帰還した世界で
第百七十話:世界はあらゆる角度から
しおりを挟む
十四番隊隊長レイニー・フォクスチャームが行方不明になった。
それは王都全域を震撼させる大事件となった。
品行方正、家柄が良く、弱者の味方。
騎士団の中でも10人に数えられる強さを持ち、正義を愛し愛国心も高い。
少しだけ憂いを帯びた甘いマスクに長身で、スタイルも抜群だ。
藍色の髪と合わせ、【哀愁の騎士】、【雨の騎士】などと呼ばれている。
市井でも特に人気の高い騎士。
竜殺しの英雄レインは、実はこのレイニー・フォクスチャームなのではという噂すら立っている。
ブルーグレーと言われる髪の毛は藍色の髪の見間違い。
今はショックで引きこもってしまっている王女オリヴィアと結婚し、時期王となるのは最近生まれた王子ではなくこの男ではないのか。
竜殺しで王都を守った英雄と王女の劇的でロマンチックな出会いと言うのも、それはもう演出のしがいがある。
男自身少し前に不幸があったこともあり、きっと姫を支え、国を支える良き王になれるだろう。
そんな風に言われる好青年。
そんな男が行方不明になった。
ここのところ、王都付近で強靭な魔物の発生は確認されていない。
彼に正面から勝てる人間がいるとすれば、ディエゴか上位の騎士団長、そして王位のもの。
あとは噂に聞く聖女と、本当に別人であるなら竜殺し位だろうか。
とにかく、理由も原因も分からぬ人気騎士の突然の失踪に、王都は混乱の渦に巻き込まれた。
王都の中に、レイニーを倒せる程の魔物が潜んでいる。
国を転覆させようと目論むテロリストが居る。等々。
――。
謁見の間、王や騎士団長ディエゴの前、犯人は自分が殺したと打ち明ける。
「理由を聞こうか」
王の声は静かだ。
目の前の男は正しく英雄であり、これからの世界の存続の為には欠かせない存在であったのが、その理由。
ついでに、娘が本気で恋焦がれているからというのは、置いておくとして。
「あの男が、俺にとって邪魔だったからだ」
「この国、いや、世界にとっては?」
「そうだな。かろうじて有害、と言う所だろうか」
「フィー、嘘は?」
フィーと呼ばれる、言葉が真実か見抜くだけの力を持った侍女に尋ねる。
侍女は、「嘘は吐いておりません」とだけ。
「殺すほどのことだったのか?」
「俺にとっては」
俺にとっては、か。まあ、良いだろう。
一人の騎士隊長を失うよりも、お前と敵対した方が遥かに滅亡が近づくからな。
この件はこちらの方で片付けよう。
そう呟くと、最後に確認とばかりに一つ。
「お前は、お前を欠いて魔王を倒せると本当に思うのか?」
「あいつを殺したお陰でな」
「…………」
「嘘は吐いておりません」とフィー。
こうして、グレーズ騎士団十四番隊隊長レイニー・フォクスチャームは国家反逆のテロリストとして指名手配された。
都合よく、彼の家族はサニィの住んでいた町へ観光に行った時にオーガの襲撃で死んでいる。
徹底的な理由付け。
二重三重の工作によって、その者が抱いていた思想は根本的に作り変えられ、それを事実として作り変えていく。
そうしてひと月もすれば、反逆者レイニーは無事捕らえられ、処刑されたと報じられる。
王政の国ならではの、騎士隊長行方不明事件は、本来やってはいけない方法で、ごく短い期間で沈黙を見せた。
――。
「レインさん、何があったんですか?」
「話して下さいませ。時間的にもわたくしの部屋を訪れた直後ですわよね」
王城、レイン用にあてられた客室の中で、二人に詰め寄られる。
オリヴィアの部屋で祖父の死を知り、その直後に殺人を犯す。
レインをよく知る二人には、考えられないことだった。
だから、必ず理由があるはず。
そう、考えたのだ。
「あいつは、狐に憑かれていた」
「狐?」オリヴィアは分からないと首を傾げる。
「あの女狐ですか」
サニィは確かにそれならと頷く。
そして、島国で起きたことをオリヴィアに説明する。
「説得を聞き入れるどころか剣を抜いてきたからな。完全な殺意の前に、俺は殺す以外の選択肢を持てなかった」
何か、違和感がある。
そう、二人は思う。
レインを本気で信じて好いているからこそ、あえて向けられる疑いの目。それが、何かおかしいと呟いている。
確かに、ほぼ真実を言っているのだろう。
そうだろうが、果たしてレインが、たかが騎士隊長相手に殺すしかないなんていう程に余裕がない選択をするのは、何処かおかしい。
レインが狐に再び操られているのかだろうか。
しかし、レインから狐のマナは感じない。
王国内にも、狐の存在は感じない。
本気で調べてみると、少しだけ、体内のマナ量が減っているのが分かる。
どのタイミングかは分からないが、陰陽のマナが混ざってしまって、ほんの少しだけ減っている。
とは言え、本気で注視しなければ分からない程度。
分からない。
分からない以上、レインを信じる。
世界よりも、レインの方が大切なのだ。だから、誰が疑おうとも、その怪しい言葉までをも、私は信じる。
それがサニィの結論だった。
もちろん、そんな二人を見て、王の決断を見て、オリヴィアも、同じく信じることに決めたのだった。
――。
「オリヴィア様をこれ以上誑かすのをやめていただきたい」
誰も人の来ない路地裏、藍色の髪の男はブルーグレーの男に詰め寄る。
「意味が分からない。俺はオリヴィアの師として、あいつを鍛えているだけだ」
「それをやめろと言っているんだ!!」
「……理由を説明してくれ」
すると、藍色の男は剣を抜き、こう告げる。
「上手く取り入っているようだが、私には隠せない。貴様こそが諸悪の根源なのだろう? 本来不可能な竜殺しもそれなら納得出来るよな」
何を言っているのか、分からない。
今は祖父が死んだと聞いて少しばかり感傷に浸ろうと、少し遠回りをしながらサニィの所に向かっていただけだ。
オリヴィアを鍛えるのも、魔王を殺すため。自分達を除けば最も強く、今も伸び盛りなオリヴィアを最高戦力として、次代の英雄として育てるのは、力を持つ者として当然の責務だ。
そこに諸悪も何もない。
しかし、考えがまとまる以前、無情にも、その次の言葉は綴られた。
「今ここで貴様を殺す。魔王レイン!」
それは王都全域を震撼させる大事件となった。
品行方正、家柄が良く、弱者の味方。
騎士団の中でも10人に数えられる強さを持ち、正義を愛し愛国心も高い。
少しだけ憂いを帯びた甘いマスクに長身で、スタイルも抜群だ。
藍色の髪と合わせ、【哀愁の騎士】、【雨の騎士】などと呼ばれている。
市井でも特に人気の高い騎士。
竜殺しの英雄レインは、実はこのレイニー・フォクスチャームなのではという噂すら立っている。
ブルーグレーと言われる髪の毛は藍色の髪の見間違い。
今はショックで引きこもってしまっている王女オリヴィアと結婚し、時期王となるのは最近生まれた王子ではなくこの男ではないのか。
竜殺しで王都を守った英雄と王女の劇的でロマンチックな出会いと言うのも、それはもう演出のしがいがある。
男自身少し前に不幸があったこともあり、きっと姫を支え、国を支える良き王になれるだろう。
そんな風に言われる好青年。
そんな男が行方不明になった。
ここのところ、王都付近で強靭な魔物の発生は確認されていない。
彼に正面から勝てる人間がいるとすれば、ディエゴか上位の騎士団長、そして王位のもの。
あとは噂に聞く聖女と、本当に別人であるなら竜殺し位だろうか。
とにかく、理由も原因も分からぬ人気騎士の突然の失踪に、王都は混乱の渦に巻き込まれた。
王都の中に、レイニーを倒せる程の魔物が潜んでいる。
国を転覆させようと目論むテロリストが居る。等々。
――。
謁見の間、王や騎士団長ディエゴの前、犯人は自分が殺したと打ち明ける。
「理由を聞こうか」
王の声は静かだ。
目の前の男は正しく英雄であり、これからの世界の存続の為には欠かせない存在であったのが、その理由。
ついでに、娘が本気で恋焦がれているからというのは、置いておくとして。
「あの男が、俺にとって邪魔だったからだ」
「この国、いや、世界にとっては?」
「そうだな。かろうじて有害、と言う所だろうか」
「フィー、嘘は?」
フィーと呼ばれる、言葉が真実か見抜くだけの力を持った侍女に尋ねる。
侍女は、「嘘は吐いておりません」とだけ。
「殺すほどのことだったのか?」
「俺にとっては」
俺にとっては、か。まあ、良いだろう。
一人の騎士隊長を失うよりも、お前と敵対した方が遥かに滅亡が近づくからな。
この件はこちらの方で片付けよう。
そう呟くと、最後に確認とばかりに一つ。
「お前は、お前を欠いて魔王を倒せると本当に思うのか?」
「あいつを殺したお陰でな」
「…………」
「嘘は吐いておりません」とフィー。
こうして、グレーズ騎士団十四番隊隊長レイニー・フォクスチャームは国家反逆のテロリストとして指名手配された。
都合よく、彼の家族はサニィの住んでいた町へ観光に行った時にオーガの襲撃で死んでいる。
徹底的な理由付け。
二重三重の工作によって、その者が抱いていた思想は根本的に作り変えられ、それを事実として作り変えていく。
そうしてひと月もすれば、反逆者レイニーは無事捕らえられ、処刑されたと報じられる。
王政の国ならではの、騎士隊長行方不明事件は、本来やってはいけない方法で、ごく短い期間で沈黙を見せた。
――。
「レインさん、何があったんですか?」
「話して下さいませ。時間的にもわたくしの部屋を訪れた直後ですわよね」
王城、レイン用にあてられた客室の中で、二人に詰め寄られる。
オリヴィアの部屋で祖父の死を知り、その直後に殺人を犯す。
レインをよく知る二人には、考えられないことだった。
だから、必ず理由があるはず。
そう、考えたのだ。
「あいつは、狐に憑かれていた」
「狐?」オリヴィアは分からないと首を傾げる。
「あの女狐ですか」
サニィは確かにそれならと頷く。
そして、島国で起きたことをオリヴィアに説明する。
「説得を聞き入れるどころか剣を抜いてきたからな。完全な殺意の前に、俺は殺す以外の選択肢を持てなかった」
何か、違和感がある。
そう、二人は思う。
レインを本気で信じて好いているからこそ、あえて向けられる疑いの目。それが、何かおかしいと呟いている。
確かに、ほぼ真実を言っているのだろう。
そうだろうが、果たしてレインが、たかが騎士隊長相手に殺すしかないなんていう程に余裕がない選択をするのは、何処かおかしい。
レインが狐に再び操られているのかだろうか。
しかし、レインから狐のマナは感じない。
王国内にも、狐の存在は感じない。
本気で調べてみると、少しだけ、体内のマナ量が減っているのが分かる。
どのタイミングかは分からないが、陰陽のマナが混ざってしまって、ほんの少しだけ減っている。
とは言え、本気で注視しなければ分からない程度。
分からない。
分からない以上、レインを信じる。
世界よりも、レインの方が大切なのだ。だから、誰が疑おうとも、その怪しい言葉までをも、私は信じる。
それがサニィの結論だった。
もちろん、そんな二人を見て、王の決断を見て、オリヴィアも、同じく信じることに決めたのだった。
――。
「オリヴィア様をこれ以上誑かすのをやめていただきたい」
誰も人の来ない路地裏、藍色の髪の男はブルーグレーの男に詰め寄る。
「意味が分からない。俺はオリヴィアの師として、あいつを鍛えているだけだ」
「それをやめろと言っているんだ!!」
「……理由を説明してくれ」
すると、藍色の男は剣を抜き、こう告げる。
「上手く取り入っているようだが、私には隠せない。貴様こそが諸悪の根源なのだろう? 本来不可能な竜殺しもそれなら納得出来るよな」
何を言っているのか、分からない。
今は祖父が死んだと聞いて少しばかり感傷に浸ろうと、少し遠回りをしながらサニィの所に向かっていただけだ。
オリヴィアを鍛えるのも、魔王を殺すため。自分達を除けば最も強く、今も伸び盛りなオリヴィアを最高戦力として、次代の英雄として育てるのは、力を持つ者として当然の責務だ。
そこに諸悪も何もない。
しかし、考えがまとまる以前、無情にも、その次の言葉は綴られた。
「今ここで貴様を殺す。魔王レイン!」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!
たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。
新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。
※※※※※
1億年の試練。
そして、神をもしのぐ力。
それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。
すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。
だが、もはや生きることに飽きていた。
『違う選択肢もあるぞ?』
創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、
その“策略”にまんまと引っかかる。
――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。
確かに神は嘘をついていない。
けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!!
そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、
神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。
記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。
それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。
だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。
くどいようだが、俺の望みはスローライフ。
……のはずだったのに。
呪いのような“女難の相”が炸裂し、
気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。
どうしてこうなった!?
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる