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番外編
いつもと違うこと
──怒ってる。
紬は帰宅した恭介を見たと同時に、恭介の機嫌が悪いと思った。
いつもは無い眉間の皺。今はググッと寄っている。
「ただいま」という声もいつもより素っ気なく、仕事で何かあったのだろうかとソワソワしてしまう。
「あの……ご飯、どうする?」
「うん。食べるよ。」
「じゃあ、えっと……準備するね。」
「ありがと」
話せば普通なのだけれど、いつもより重たい空気を纏っている感じ。
なぜだか今日は充希にもあまり近づこうとしない。
普段なら真っ先に充希のところに行き、「帰ってきたよ~」と随分甘い声で話しかけているのだが。
話し掛けにくい。
なので物理的にいつもより少し距離を取る。まあご飯を食べようとテーブルの席に座ってしまえば何も変わらないのだが。
「いただきます」
「いただきます……」
今日の晩御飯は紬の大好物であるハヤシライス。
紬は一口食べて心の中で『美味しい!』とウキウキしていたのだが、食器が空になる頃恭介が大きな溜息を吐いた。肩をビクッと震わせ視線をテーブルに落とす。
「ぁ、あの……ハヤシライス、美味しくなかった……?」
「え?いや、美味しいよ。ありがとう。ご馳走様」
「ぅ、よ、よかった……」
恭介といると心が穏やかになって安心できるはずなのに、今日はやけに緊張する。
「……怒ってる?」
なので、そんな雰囲気の恭介に耐えられなくなり、紬はストレートにそう聞いた。
途端、恭介がキョトン……として「え?」と首を傾げた。
「今日、いつもと違うから……。会社で、何かあった……?それとも、俺が何かしちゃった……?」
その言葉に恭介はギクッとしたように表情を歪める。
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