甘えたオメガは過保護なアルファに溺愛される

ノガケ雛

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第77話


 ──それがどうしてこうなった。


 俺の目の前で優雅に珈琲を飲む橋本さん。
 彼の隣には新木さんがいる。


「私と橋本君は高校生の頃からの友達なのよ。」
「友達……」


 昼休み、新木さんに呼び出されて訪れたカフェに二人はいた。
 二人は頻繁に連絡を取りあっているらしく、今日俺が橋本さんにファイルを届けに行ったのを、橋本さんが新木さんに伝えたらしい。


「でも何で?何でわざわざ俺の事を新木さんに連絡する必要が?」
「前から同期で仲良くしてもらってる人がいるって橋本君に言っていたから。」
「へ、へぇ……」


 仲良く、していたっけ。
 むしろほぼ言い合いのようなことを毎日していた気がする。


「新木から堂山って人に仲良くしてもらってるって聞いてたから、今日挨拶された時にわかった。」
「そうですか。」


 事の成り行きを説明され、ランチに運ばれてきたパンケーキを食べる。美味しい。


「皆同期だし、気楽に話しましょ。」
「……あんたオメガか?」


 突然橋本さんに性別を当てられてドキッとした。
 彼はアルファだっていう噂があるらしい。


「ちょっと橋本君……」
「オメガの顔って本当綺麗だよな。ずっと眺めてられるわ」


 真顔でそう言われ、思わず「は?」と声が漏れる。


「俺はアルファなんだけど、今までオメガには会ったことなくて。初めて会ったけどずば抜けて顔が良いな。」
「あ、ありがとう、ございます……?」
「敬語いらないって。同い年だろ?」
「二十四です」
「ほら、同い年じゃん。」


 少し冷たく見える人から発されている言葉だとは思わない。


「新木と同じ部署じゃなかったのか?専務の秘書って言ってたけど。」
「同じ部署だったけど、ちょっと色々あって……」
「ふーん。なあそれ美味そう。一口だけちょうだい」
「どうぞ」


 パンケーキを切って口元に持っていってあげると、嬉しそうにそれを食べる。正直、餌付けをしている気分だ。


「うま。俺も頼む。まだ時間あるよな」
「うん」


 見た目と言動が合っていない。
 面白い人だ。


「でも堂山は優秀だって聞いてたから、アルファだと思ってた。」


 ピタッと手が止まる。
 そう、あの時の俺は優秀だったと自分でも思う。
 今はアルファだった時と同じようにできない。それに対してどうしてなんだろうと疑問に感じるのと同時に、悔しさもある。


「……元々はアルファだったんだよ」
「え。そんな事あるの」
「うん。俺も知らなかったけど、後天性ってあるみたい。」
「へえ。……大変だっただろ。」
「……まあまあね。」


 軽く同情の眼差しを向けられるけど、別に嫌悪感は無かった。
 この数分で彼が優しい人だとわかったからだろうか。
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