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泥濘の恋/ライブ会場にて
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ツイてない、いつもこうだ。野外会場で開催された音楽フェスに参加したら、元カノと鉢合わせして絡まれた。揶揄われてもいいから誰かと来ればよかった。元カノの同行者はこちらに同情気味だったのが不幸中の幸いだっただろう。彼女の歌が聞けていい気分だったのにいらないケチが付いた。どうしていつもこうなるんだ。帰りは電車だし問題ないかとコンビニより高いビールを一本買った。
「あ、羽柴さん」
舞台で聞いたのより気の抜けた声が掛けられた。最初は端に立っていたが、興奮する観客に押されて結局間近で聞いた。
「観に来てくれたんですね、ありがとうございます」
「うん、まあ予定が空いて。よかったんじゃない」
小学生でもまだ具体的な感想が言えるだろう。「アンタ仕事してない時はポンコツね」という元カノの捨て台詞をふと思い出す。彼女の歌とダンスに何年かぶりに心が高揚を覚えたのは本当だ。ただ、言葉にアウトプットできないだけで。自分のスカスカ評価も新進気鋭のミュージシャンは大層照れた。チョロすぎる、何か奢ってやると言えばホイホイ着いてきそうだ。
「ルナ!」
スタッフオンリーのブースから彼女を呼ぶ声がする。「失礼します」と頭を下げて華奢な背中が去っていく。2メートル近い青年が大きな身振り手振りで話しかけ、しっかりと皐月の隣をキープした。彼女は嫌そうではないが困った様子で後退して何とか逃げようとする。青年はそれを許さず、皐月の肩に素早く自分の腕を絡めてそのままテントに連れて行ってしまう。思わず、舌打ちが漏れた。
「あ、羽柴さん」
舞台で聞いたのより気の抜けた声が掛けられた。最初は端に立っていたが、興奮する観客に押されて結局間近で聞いた。
「観に来てくれたんですね、ありがとうございます」
「うん、まあ予定が空いて。よかったんじゃない」
小学生でもまだ具体的な感想が言えるだろう。「アンタ仕事してない時はポンコツね」という元カノの捨て台詞をふと思い出す。彼女の歌とダンスに何年かぶりに心が高揚を覚えたのは本当だ。ただ、言葉にアウトプットできないだけで。自分のスカスカ評価も新進気鋭のミュージシャンは大層照れた。チョロすぎる、何か奢ってやると言えばホイホイ着いてきそうだ。
「ルナ!」
スタッフオンリーのブースから彼女を呼ぶ声がする。「失礼します」と頭を下げて華奢な背中が去っていく。2メートル近い青年が大きな身振り手振りで話しかけ、しっかりと皐月の隣をキープした。彼女は嫌そうではないが困った様子で後退して何とか逃げようとする。青年はそれを許さず、皐月の肩に素早く自分の腕を絡めてそのままテントに連れて行ってしまう。思わず、舌打ちが漏れた。
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