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ハジメテif
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不安げに自分を見つめる相手の瞳に、胸が高鳴った。雨宿りを持て余して、じゃれ合いの延長のキスを繰り返し、気がついたらこんな体勢になっていた。長椅子の上に押し倒したヒカルの、つぶらな瞳が葵を見上げる。一瞬、気まずい沈黙が流れた。
「葵く、」
いつもは『アオちゃん』なんてふざけた呼び名で呼ぶくせに、僅かに上擦った声で姓を紡ぐものだから。堪えきれずに、その唇を自分のそれで塞いだ。触れるだけの軽いものが、どちらからともなく深いものになっていく。
「んん……あ……ふ、え、」
ヒカルが葵の舌を追いかけるのに夢中になっている隙に、ロングカーディガンの裾から手を差し入れた。よく似合っている薄茶色の上着は、いとも容易く侵入を許す。
「ちょっ、ちょ、待……っ、」
「何よ」
「なな何だじゃなくて、なななななに」
深いキスの名残で赤い目元に薄っすらと涙を溜めたヒカルは、訳が解らないとでも言うように葵の手と瞳とを交互に見た。葵はヒカルの様子を気にも留めず、シャツの裾をたくし上げていく。胸元まで上げたところで、ヒカルに手首を掴まれて止められた。
「だっ、だからっ、待ってってば!」
「……だから、何だって」
「う、ひゃ……っ!? え、え、エロい事しないでよ!」
一瞬、何を言われたのか解らなかった。
「あん? 今更何言ってんの。自分からキスしといてその気はなかったはないでしょ」
「…………」
反論できないヒカルは口ごもり、眉根を寄せる。手首を掴む力が緩んだのを良い事に、葵はそのまま腹の皮膚を舐めてやった。
「うわーもう信じらんないナマエロがきー」
「アンタ信じられないくらいムードがないんだけど」
「ううう煩いエロいよりマシ……っ!」
「……感じてんじゃん」
「……っ!」
ヒカルが反論しようとする口を再び塞ぎ、指先はその気持ちよく素肌を辿らせた。ムードも何もあったもんじゃない、それが二人のハジメテの日。
「葵く、」
いつもは『アオちゃん』なんてふざけた呼び名で呼ぶくせに、僅かに上擦った声で姓を紡ぐものだから。堪えきれずに、その唇を自分のそれで塞いだ。触れるだけの軽いものが、どちらからともなく深いものになっていく。
「んん……あ……ふ、え、」
ヒカルが葵の舌を追いかけるのに夢中になっている隙に、ロングカーディガンの裾から手を差し入れた。よく似合っている薄茶色の上着は、いとも容易く侵入を許す。
「ちょっ、ちょ、待……っ、」
「何よ」
「なな何だじゃなくて、なななななに」
深いキスの名残で赤い目元に薄っすらと涙を溜めたヒカルは、訳が解らないとでも言うように葵の手と瞳とを交互に見た。葵はヒカルの様子を気にも留めず、シャツの裾をたくし上げていく。胸元まで上げたところで、ヒカルに手首を掴まれて止められた。
「だっ、だからっ、待ってってば!」
「……だから、何だって」
「う、ひゃ……っ!? え、え、エロい事しないでよ!」
一瞬、何を言われたのか解らなかった。
「あん? 今更何言ってんの。自分からキスしといてその気はなかったはないでしょ」
「…………」
反論できないヒカルは口ごもり、眉根を寄せる。手首を掴む力が緩んだのを良い事に、葵はそのまま腹の皮膚を舐めてやった。
「うわーもう信じらんないナマエロがきー」
「アンタ信じられないくらいムードがないんだけど」
「ううう煩いエロいよりマシ……っ!」
「……感じてんじゃん」
「……っ!」
ヒカルが反論しようとする口を再び塞ぎ、指先はその気持ちよく素肌を辿らせた。ムードも何もあったもんじゃない、それが二人のハジメテの日。
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