情愛ボトルキープ(2/25更新)

狂言巡

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反芻

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 埃っぽい壁と車道に挟まれた狭い歩道を、縦に一列になってトボトボと二人で歩いた。少し傾き始めた褪せた太陽の光が、気怠い二人をじわじわ暖める。
 ――抱かれたんだよなぁ。
 夕刻の冷たい風を浴びて少し丸まった背中を見つめながら、数十分前の薄暗い連れ込み宿での事を思い出す。
 ――抱いたんだよなぁ。
 背中越しのくしゃみの音を聞きながら、熱く求め、貪り合った感覚が蘇る。
 春はまだ暦の上にあるだけで、欠片も見つからなかった。
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