オウチカイダン(12/22更新)

狂言巡

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事故物件【集合住宅】

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「暗くしちゃぁ駄目なんです」

 管理人は暗い顔と声で言う。

「出るんですか?」
「いいえ来るんですよ」





 この部屋にラジカセは持ち込み禁止です。手頃な椅子がないからって踏み台にしなくても……もう、吊る肉体もないのに……。





「このアパートの憑いてるの、右半身がないアロハシャツきたおっさんだったよね? チャイナドレス着た一本足のおばさんとすれ違ったんだけど」
「それ初めて聞いたなぁ、私が最近見かけたのは下半身のない赤ちゃんだったよ」
「引っ越した時より増えてるじゃん! いいの?」
「廊下ウロウロするぐらいならいいよ、盗み食いされた事ないし」





「これ被って、かくれんぼしようね」

 化け物が出る部屋と恐れられる部屋には、いつまでも子供達が肩を寄せ合い、母を待っている。





 事故物件を借りたら、部屋中練炭の臭いがしみついていた。前の住人は元カノの部屋からよく見える公園の木で首を吊ったそうだ。





「事故物件住んでみたけどやばかった」
「やっぱり?」
「いつもより早く帰ったらね、オッサンが私の部屋でうちの洗濯ハサミ体中にくっつけてたの」
「きっっっも! ってそれ人怖い系じゃん!」
「一応オバケ話だよ。半透明だったし。顔は上の階に住んでる人だったけど」





「常にロープを吊っていないと駄目なんです」
「低価格なはずですね」
「ええ、もう何年も殺人鬼の棲家と呼ばれて部屋が不憫で仕方ないです」





 肉塊とルームメイトになるのが、部屋を格安で借りる条件だった。仔猫みたいに甘えてきて、満更でもない日々を過ごした。うっかり麦茶以外を与えてしまった時までは……。





 年季の入った建物なので、安いと思ってたら部屋にロッカーが置かれていた。学校や職場で、掃除道具を入れてるタイプ。大家曰く「コレを置いたらウロウロしなくなったんですよ」との事。





 妙な事故物件にあたってしまった。毎晩鼻が現れるのだ。確証はないが男だと思う。何もして来ないがとにかく視界にチラついて疎ましく、我慢の限界に達した俺は割り箸で鼻フックしてやった。すぐ消えた。ザマーミロと嗤った翌日、アパートの大家が鼻から血を流して気絶しているのが発見された。





「ハンバーグは嫌いだ、二度と作るな!」

 昨日は大好物だからもっと出せと煩かったくせに。事故物件に住むのも楽じゃない。





 昔俺が住んでた部屋が事故物件化していた。でも出てくるのが女の霊だから、俺が処理した奴じゃないな。





 木目が人の顔に見えるというのはよくある話。その一番安い部屋は更に大きな染みがついているから、何だかまるで……。

「このお値段なのはまあその……過去に大喀血の末に亡くなった方がいらしてですね……」
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