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不良の兄と普通の妹の話
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「大丈夫? 何か困った事があったらすぐ先生やお友達、誰でもいいから相談するのよ」
「はい」
良い子のお返事をしたのに教師は浮かない顔だ。以前通っていた学校よりも、先生に話しかけられる事が多くなったなあと夜空は思い返す。それは別に夜空がいじめられっ子でも問題児なわけでも、親に問題があるわけでもない。大人が心配しているのは、夜空の兄の存在である。親の再婚で兄妹となった高校生の彼は、大人の言葉を使えば「不良」らしい。確かに、兄は学校にもアクセサリーをじゃらじゃら着けていくし、店で売っているのより派手な見た目の大きなバイクを持っている。ヤンチャ(怖いもの知らずというより後先を考えない系)な男子生徒達も、兄を見ればハッとした顔で何処かに去っていく。
夜空も兄がそういう存在だというのは理解していた。でも、こうやって心配されるのは理解できなかった。兄は漫画やニュースで見るような『不良』と違って煙草も酒もカツアゲもやらないし、女性に厭らしい事もしない。たまに喧嘩したのか怪我をして帰ってくる事はあったが警察沙汰になった事は一度もなかった。
兄と遊んでいるのを見かけたらしい同級生(クラスが違うので名前も知らない)から「不良の妹になったらエンコーさせられるぜ」なんてからかいを受けた事がある。意味が理解らなくて兄の友達に聞いたらちょっと怖い顔になって「それ絶対アニキに言うなよ」と言われてしまい、今でも意味は理解らないままだ。
夜空をからかった同級生はいつの間にか転校していた。それ以降、兄の事でちょっかいをかけてくる相手は居なくなった。それよりも兄のようになりたいと下級生に言われた時の方が反応に困った。
夜空は兄が大好きだ。口は悪いし、すぐ抱き上げてくるし、寝ぼけてベッドに潜り込んでくる。でも、兄の大きな手と繋いだり頭を撫でられたりすると安心するし、休みの日には改造バイクで色んな所に連れていってくれる。頭もよくて勉強や勉強以外も理解らない事は何でも教えてくれた。夜空は今の生活を気に入っていた。
母と義理の父は新婚旅行を兼ねて海外にいるが、兄が一緒に居てくれるとおかげで寂しさを感じる事はほとんどなかった。子供なりに女手一つで育てる母親の苦労を察していた夜空は、母が大好きな人と色んな国を飛び回っている事をとても誇らしく思っていた。今夜も当然のようにベッドに潜り込んできた兄の胸板を枕にしながら、少女は夢の世界に旅立っていく。
「はい」
良い子のお返事をしたのに教師は浮かない顔だ。以前通っていた学校よりも、先生に話しかけられる事が多くなったなあと夜空は思い返す。それは別に夜空がいじめられっ子でも問題児なわけでも、親に問題があるわけでもない。大人が心配しているのは、夜空の兄の存在である。親の再婚で兄妹となった高校生の彼は、大人の言葉を使えば「不良」らしい。確かに、兄は学校にもアクセサリーをじゃらじゃら着けていくし、店で売っているのより派手な見た目の大きなバイクを持っている。ヤンチャ(怖いもの知らずというより後先を考えない系)な男子生徒達も、兄を見ればハッとした顔で何処かに去っていく。
夜空も兄がそういう存在だというのは理解していた。でも、こうやって心配されるのは理解できなかった。兄は漫画やニュースで見るような『不良』と違って煙草も酒もカツアゲもやらないし、女性に厭らしい事もしない。たまに喧嘩したのか怪我をして帰ってくる事はあったが警察沙汰になった事は一度もなかった。
兄と遊んでいるのを見かけたらしい同級生(クラスが違うので名前も知らない)から「不良の妹になったらエンコーさせられるぜ」なんてからかいを受けた事がある。意味が理解らなくて兄の友達に聞いたらちょっと怖い顔になって「それ絶対アニキに言うなよ」と言われてしまい、今でも意味は理解らないままだ。
夜空をからかった同級生はいつの間にか転校していた。それ以降、兄の事でちょっかいをかけてくる相手は居なくなった。それよりも兄のようになりたいと下級生に言われた時の方が反応に困った。
夜空は兄が大好きだ。口は悪いし、すぐ抱き上げてくるし、寝ぼけてベッドに潜り込んでくる。でも、兄の大きな手と繋いだり頭を撫でられたりすると安心するし、休みの日には改造バイクで色んな所に連れていってくれる。頭もよくて勉強や勉強以外も理解らない事は何でも教えてくれた。夜空は今の生活を気に入っていた。
母と義理の父は新婚旅行を兼ねて海外にいるが、兄が一緒に居てくれるとおかげで寂しさを感じる事はほとんどなかった。子供なりに女手一つで育てる母親の苦労を察していた夜空は、母が大好きな人と色んな国を飛び回っている事をとても誇らしく思っていた。今夜も当然のようにベッドに潜り込んできた兄の胸板を枕にしながら、少女は夢の世界に旅立っていく。
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