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モテすぎた男
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ある男は生まれた時からモテた。裕福な家庭。容姿端麗。成績優秀で運動神経抜群。それに加えて優しく素直な性格。周囲からチヤホヤされないわけがなかった。高校に入学した男は初めて恋をした。家族や友人と違ってあまり笑わない無口な娘だったが、男は全く気に掛けず機会があれば話しかけた。そして告白した。返って来たのは平手打ちと罵言だった。
「アンタの所為で私の学校生活は滅茶苦茶よ!」
初めて好きになった彼女は、男の友人と言う名の取巻きにさんざん嫌がらせされていた事を知った。女生徒は次の日には転校していた。傷心する男は周囲に慰められていたが、徐々に不穏な噂が流れ始めた。男がルックスと家柄を活かして女を弄んでいるのではないかと。
そんな噂を流したのは男に振られた女生徒や、振られた女生徒が好きだったりモテぶりが妬ましい男子生徒。悪評というのは、真偽はともかくすぐ広まるものである。生徒も教師も、男に近づかなくなった。暴力こそなかったものの、無視されたり、通り過ぎればこれ見よがしに陰口を叩かれて、目が合うだけで睨まれたり立ち去られるという針の筵のような毎日が続いた。排斥は自身だけでなく家族にまで影響を及ぼし、男は家庭にも学校にも居場所がなくなった。
高校卒業と同時に、勘当を言い渡された男は家を追い出された。男は気が利いてコミュニケーション能力に長けていたので就職にそこまで苦労しなかった。陰のある美男子という事で最初は持て囃されたが、彼に恋した同僚や客が非常識な行動に出たり、僻んだ誰かが勝手に経歴を調べて周囲にまき散らし、解雇されて住居を変えざるを得ない事が日常茶飯事となった。
それから半年後。男は好きだった女生徒に再会した。昔のように彼女に話しかける勇気はなかったが、彼女の姿が少しでもみられるように彼女が利用する最寄り駅近くに引っ越した。初恋の人がスーパーで働いていると知り、隣接しているドラッグストアで働く事を決めたのだが、それは叶わなかった。
「よくも娘を誑かしたな!」
全く見覚えのない中年女性は男の腹に突き刺した包丁を抜き、再び男に突き立てては抜いて突き立てる凶行を繰り返す。その女性の怨嗟が篭った怒鳴り声と憎悪をむき出しにした姿に、通行人も男も何も出来ずになされるがままだ。そうしている間にも女性は男の躰を突き刺しながら、怒鳴り続ける。
愛されすぎた男は、悪意と嫉妬と絶望に満たされて息絶えた。
「アンタの所為で私の学校生活は滅茶苦茶よ!」
初めて好きになった彼女は、男の友人と言う名の取巻きにさんざん嫌がらせされていた事を知った。女生徒は次の日には転校していた。傷心する男は周囲に慰められていたが、徐々に不穏な噂が流れ始めた。男がルックスと家柄を活かして女を弄んでいるのではないかと。
そんな噂を流したのは男に振られた女生徒や、振られた女生徒が好きだったりモテぶりが妬ましい男子生徒。悪評というのは、真偽はともかくすぐ広まるものである。生徒も教師も、男に近づかなくなった。暴力こそなかったものの、無視されたり、通り過ぎればこれ見よがしに陰口を叩かれて、目が合うだけで睨まれたり立ち去られるという針の筵のような毎日が続いた。排斥は自身だけでなく家族にまで影響を及ぼし、男は家庭にも学校にも居場所がなくなった。
高校卒業と同時に、勘当を言い渡された男は家を追い出された。男は気が利いてコミュニケーション能力に長けていたので就職にそこまで苦労しなかった。陰のある美男子という事で最初は持て囃されたが、彼に恋した同僚や客が非常識な行動に出たり、僻んだ誰かが勝手に経歴を調べて周囲にまき散らし、解雇されて住居を変えざるを得ない事が日常茶飯事となった。
それから半年後。男は好きだった女生徒に再会した。昔のように彼女に話しかける勇気はなかったが、彼女の姿が少しでもみられるように彼女が利用する最寄り駅近くに引っ越した。初恋の人がスーパーで働いていると知り、隣接しているドラッグストアで働く事を決めたのだが、それは叶わなかった。
「よくも娘を誑かしたな!」
全く見覚えのない中年女性は男の腹に突き刺した包丁を抜き、再び男に突き立てては抜いて突き立てる凶行を繰り返す。その女性の怨嗟が篭った怒鳴り声と憎悪をむき出しにした姿に、通行人も男も何も出来ずになされるがままだ。そうしている間にも女性は男の躰を突き刺しながら、怒鳴り続ける。
愛されすぎた男は、悪意と嫉妬と絶望に満たされて息絶えた。
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