ユニエの花嫁

狂言巡

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食事

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 近頃、ジッと長く自分に視線が留まっている気配を感じる。木灰は落ち着かないその気配を察知するや否や、同席中の娘へ目を向けた。木灰が視線を辿ろうとすると、留まっていたはずのそれはフッと何処いずこへ消えてしまった。現に、彩華は木灰を見ておらず、視線を落としているのは手の中の編み物だ。
 盆にのせて運ばれて来た食事は、漆の箱膳に乗ったこの国特有の物で、麦の混ざった米に、今ちょうど旬を迎えているという白身の刺身と焼き物、味噌汁、春菊とごまの和え物が並んでいた。この国の食事は故郷の味と似ていると彩華は食事に満足しているようだったが、木灰はまだ箸の使い方に苦心している。普段はあんなに鈍臭いのに、ひょいひょいと器用に使う彼女が信じられなかった。

「まだ食べにくいの」

 声をかけられて、木灰は唇を結んだ。

「そんな事はない」

 フンと鼻を鳴らして、ぎこちないまま箸を進める。笑ったような声が聞こえて、ムッと目を向けたが、正面の彩華は真顔で編み物をしていた。
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