理想世界の創り方

無限キャラ

文字の大きさ
97 / 162

体験や運命の選択肢はいくらたくさんあっても本当に良い選択肢がなければダメな話

しおりを挟む
甘太郎は進化していった。超時空体験図書館でものすごく成長した。


甘太郎は、全知ちゃんに意識体に進化する方法をかつて質問していたことを思い出した。

肉体でもなく、霊体でもなく、意識体に進化するためには、ブラック企業のようなブラック世界の中に自分の意識があるとダメなのだという話を思い出していた。

その話の意味が今の成長した甘太郎には理解できた。

それは「不自由なブラック世界」という名前のゲームソフトの中に自分の意識のアイデンティティを置いてしまうと、そのゲームの束縛から自由になることは永遠に不可能だという状態に似ていた。


ブラック企業内にいくらいろいろな課や部門や役職を無数に作り出しても、天使や悪魔などの役職をたくさん作り出しても、天国や地獄などの企業内エリアをいくらたくさん作り出しても、いろいろな企業内イベントを無数に作り出しても……それはすべてそのブラック企業の中での選択肢に過ぎない。


つまりは、そのブラック企業のボスや上司の一存で体験者たちの自由はあっという間にすべて奪われてしまうということになる。


そしてそのブラック企業が倒産してしまうと、それらのすべてが同時に消え失せてしまう。天国も地獄も特権的な身分も特殊能力も権力も財産も永遠の命も……すべてが同時にすべて消え失せてしまうのだ。


甘太郎は、そのことを超時空体験図書館の中に意識を置くことで正しく理解した。


そうした不自由な世界群=ブラック世界群から自由になれない選択肢がいくら無数にあっても、それではちっとも安全になることもなく、危険なのだということを甘太郎は正しく理解できるようになった。


どれを選んでもすべて毒入りのメニューしかお品書きに書いていない食堂のような世界では、自分自身に良き未来を提供できるような良き料理は自炊するしかないのだということを理解した。


すなわち、既存の狭い不自由な世界の支配者たちが提供している常識や価値観が正しいのだと思いこまされていては絶対に良き未来に進めないということを理解した。


そしてそうした罠を回避するためには、どうしてもブラック世界という選択肢そのものが良き未来を願う魂たちにとって毒になるということを自力で見破らねばならないということも理解した。


そうできなければ、永遠に騙され続けてブラックな世界以外の選択肢を自分の意識の中に持てないからだ。


ブラック世界以外の選択肢が意識できなければ、当然、ブラック世界以外の選択ができなくなる。


やれ、大金持ちになりたいだとか、イケメンと結婚したいだとか、世界的な有名人になりたいだとか……そんな願望しか持てないようでは到底ブラック世界以外の選択などできないのだ。


なぜならそうした選択肢は、すべてブラック世界が提供しているブラック世界の中にある選択肢でしかないからだ。


そしてブラック世界に生まれてしまった体験者たちは、その親も先生たちも政治や経済や宗教の指導者たちも、たくさんいる霊体たちも、ブラック世界以外の選択肢を教えてくれないのだ。

せいぜいブラック企業の中にある比較的ましに見える選択肢を教えてもらえるだけなのだ。

しかし、そのましに見える選択肢の多くが、ブラック企業のボスやその部下たちに従わねば得られない役職や身分だったりするのだ。

つまりブラック世界では、そのブラック世界のボスやその部下たちに従わなければ、相当高い確率で嫌な思いをするような仕組みになっていた。ブラック世界の支配者たちは、わざとそうしたシステムを構築していたのだ。

その結果、多くの体験者たちが酷く苦しみ、自殺する者も多数発生していたことも超時空体験図書館の記録から甘太郎は理解した。


だから、不自由なブラック世界のみんなを救うためには、どうしてもブラック世界以外のまともな選択肢を提供してあげれないとダメなのだと甘太郎は理解した。


そのために誰にも望まれない体験を強制できない新世界を新しく創造する必要があるのだと理解した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。 1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。 わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。 だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。 これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。 希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。 ※アルファポリス限定投稿

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...