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第2部 港町の黒焔鬼編
【第4話】「セファの課題」
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朝のギルド支部。
セファは机にかじりつき、書類の山と格闘していた。
報告書、依頼書、契約書。積み上がっては倒れ、どれがどこまで進んでいるのかさえ、もはや曖昧だ。
「この予算配分、先月とズレてる……でも、どこを直せば……」
小さな声でつぶやきながらも、思考は空回りするばかり。
指先が震え、ペンは進まない。
──コン、コン。
控えめなノック。扉が少しだけ開いて、知久が顔をのぞかせた。
「おはよう、セファ。昨日は部屋ありがとう。おかげでよく眠れたよ」
「あっ、はい! どういたしまして、です! ……ぎゃうん!!」
立ち上がろうとした拍子に、机の角に思いきり足をぶつけてしまい、バランスを崩して床に転がる。
ゴンッ、という鈍い音が響いた。
「だ、大丈夫?」
知久があわてて駆け寄ろうとするが、セファは鼻を押さえながら、必死に笑顔を作った。
「も、もちろん大丈夫です! これくらい、支部長なので! です!」
「いや、それ支部長関係ないよね……」
知久は苦笑しながら近づき、机の書類に目を通した。
そして一瞬で状況を読み取る。
「うん、これ完全に分類が混在してるな。予算書と依頼書と、人事系の報告が全部一緒になってる。まずはジャンルごとに分けようか。そこの棚、使っていい?」
「え? は、はいっ!」
「ありがとう。それから日付順に並べると進捗が見やすい。緊急なのは赤印がある依頼書だな。これを優先して確認しよう」
知久はそう言いながら、スッと赤印の書類を抜き出し、空いたスペースに一列に並べていく。
その動作は迷いがなく、視線は常に全体を見ていた。
「……先生、すごい。全部、すぐ分かるんですね……」
「まぁ、こういうのは経験だから。前の支部でも、最初はぐちゃぐちゃだったよ」
知久はにこりと笑い、書類を手に取ったまま椅子に腰掛ける。
「じゃあ、まずはこの人員表の確認から手伝うよ。俺がやってる間に、セファは昨日の報告書だけチェックしてくれる? 優先順位を付けたいから」
「わ、わかりました! です!!」
慌てて立ち上がったセファだったが、今度は転ばなかった。
緊張はしている。けれど、どこか少しだけ、安心している自分にも気づく。
(あ……やっぱりこの人、すごい。ちゃんと見てくれてる……)
机の上の混乱が、着実に整理されていく。
積み上がっていた不安が、少しずつ形を持ち始める。
「この書類は、昨日の報告書にありました!」
「ありがとう。じゃあ、それはこっちのフォルダにまとめておこう。あとで確認するから」
「はいっ! 先生!」
段取りが明確になれば、作業は進む。
それを知久は、初対面でちゃんと引き出してくれた。
「先生ってガラじゃないんだけどな……」
「でも、頼りになるので! です!」
セファは元気よく返事をして、初めて笑顔になった。
その様子を見て、知久もまた少しだけ柔らかい表情を浮かべるのだった。
☆ ☆ ☆
昼前。
ギルドの小会議室では、冒険者たちとの連絡調整会議が行われていた。
「……以上が、今月の依頼数と予算見直しの……その、案です」
セファが読み上げた案内は、声こそ出ていたが要点を捉えきれておらず、室内にはざわつきが広がっていた。
「で、報酬は上がるのか下がるのか?」
「いつも通り“検討中”ってやつだろ」
「ありがたく拝聴しましたよ、支部長殿」
ベルノーの皮肉に、セファは言葉を失い、俯いてしまう。
そんな中、知久が静かに立ち上がった。
「少し、補足させてもらっていいかな」
場の視線が彼に集まる。
「この案は簡単に言えば、優先度が高い、総督府からの依頼に人を回すため、報酬の配分を調整したいってこと。セファはその判断を、ちゃんと数字を見て出してる」
数人がざわっとした。
「内容自体はよく考えられてるよ。俺も資料を見たけど、現状を理解して、改善しようとしてるのがよく分かったよ」
知久は一拍置いて、全員を見渡す。
「だから今日の会議は、文句を言い合う場じゃなくて、どうすればもっと良くなるかを話す場にしよう。な?」
数秒の沈黙のあと、何人かがうなずき始める。
「……俺の担当のとこ、報酬下げても構わないよ。倉庫整理だし」
「港の依頼なら俺ら回れるぜ。ちょうど手が空いてるし」
少しずつ前向きな声が広がっていく。
セファは驚いたように知久を見つめた。
その目は少し潤んでいたが、口元には、安心したような笑みが浮かんでいた。
☆ ☆ ☆
会議後、セファはギルド屋上の風が吹き抜ける場所にぽつんと立っていた。
眼下に広がる港町の風景。小さな舟が行き交い、倉庫街の向こうでは潮風に旗がはためいている。
セファはその景色を見下ろしながら、制服の裾を握りしめていた。指先には力がこもっていて、わずかに震えている。
そこへ知久が現れ、彼女の隣に静かに立った。両手にコップを一つずつ。
「コーヒーでいい?」
肩の力を抜くような、柔らかい声だった。
「……あ、ありがとう、です」
セファは少し驚いたように知久の顔を見てから、コップを両手で受け取った。
一口だけ、恐る恐る口に含む。
「……に、苦い……」
眉をしかめ、舌を引っ込めるような仕草で顔を背けた。
「あっ、ごめん! しまった! まだセファには早かったよな!」
知久は焦ってポケットから砂糖とミルクのスティックを取り出し、差し出す。
「い、いえ。支部長なので。これぐらい、大丈夫、です!!」
セファは無理に笑ってみせるが、次の瞬間、またコップを持つ手がぶるっと震えた。
「うっ、うう……やっぱり苦い……」
「無理すんなって……ほら、ミルク」
知久が自分の分を分けながら苦笑する。
不器用ながらも、その所作には優しさが見え隠れする。
「会議では、いつもあんな感じだったのか?」
「……はい。みんなの前に立つと、うまく喋れなくて……言いたいこと、全然伝えられなくて……」
「……ああいうのは慣れだから。場数をこなしていけばセファもすぐできるようになるさ」
彼の言葉に、セファの笑顔が少しだけ素直なものになる。
だがすぐに、声は曇った。
「私、やっぱり支部長なんて向いてないんですかね……?」
視線はコップの中。落ちかけた表情に影が差していた。
「え、いや、えっと……」
「あ、あはは。やっぱり、先生もそう思ってるんですよね……」
「あ、いや、違う。そうじゃなくて……」
「いいんです! 自分でも、私みたいな子供が支部長だなんて、おかしいと思ってますから!」
「セファ。その……」
彼は少し言い淀んでから、正面から問いかけた。
「君は、どうして支部長になったんだ?」
セファは驚いたように顔を上げ、それから唇を結んだ。
「私、小さい時からこのギルドに住んでいるんです」
「え? ご両親は?」
問いを発した瞬間、知久はしまったと思った。表情がこわばった。
セファの声は震えていた。
「……私が小さい時に、殺されました」
「……ご、ごめん!! 無遠慮だった!!」
知久は両手を上げて謝罪のポーズを取る。
またやらかしてしまった。子供の扱いにはやはり慣れない。
けれど、セファはゆっくりと口を開いた。
「今でも、思い出せます。私の家が……真っ黒な炎に包まれて、お母さんとお父さんの声の悲鳴が聞こえて……」
その目は揺れていたが、それでも前を向いていた。
「お母さんとお父さんは昔、このギルドですごい活躍をしたらしいんです。だから、二人がいなくなった後も、このギルドに住まわせてもらえました。だから、他に支部長になれる人がいなくなった時、立候補したんです。このギルドを守りたくて……だから、私が頑張らないと……」
「そうか……」
知久は空を仰いだ。港の風がふたりの間を吹き抜ける。
セファにとって、ギルドは家族そのもの。彼女はそれを守りたかったのだ。
(……まだ小さいのに、立派な子だ)
彼は少し笑って、苦い記憶を吐き出すように言った。
「俺が前に支部長代理だった時、なんでもかんでも自分でやろうとして、全部背負い込んで……潰れかけたよ」
セファは驚いたように目を見開いた。
「支部を立て直さないといけなくなって、無理して、気張って、全部一人で抱えようとした。でも……それが一番の失敗だったんだ」
「失敗……だった?」
「ああ。俺の肩に全部積もって、動けなくなった」
風が吹いた。知久の髪が揺れる。
「……でもな、あるとき仲間に怒られたんだ。“頼りなさいよ”って。それでようやく気づいた」
彼は手すりに肘を置きながら、ぽつりと呟くように続ける。
「支部長ってのは、全部抱える役じゃない。支部の仲間たちに頼って、一緒にやっていくべきなんだって」
セファの視線が、少しだけ揺れた。
「……でも、私が未熟だから……他の人に迷惑かけてしまうんです。だから、私が頑張らないといけなくて……」
「人に頼るのって、怖いよな」
知久はカップを少し傾ける。
「大丈夫。とりあえず俺には、いくら迷惑かけてくれてもいい。俺はセファを助けて、一人前の支部長にすることが仕事だ」
「……先生……」
「いずれは俺もここを去るけど……その時には、セファも自分の仕事をできるようになって、他の人に頼ることもできるようになっていると思う。だから、全部を抱えなくていい。ひとりで苦しまなくていい。ギルドってのはそういうもんだからさ」
セファは目を伏せ、胸の奥で小さく息をついた。
それは、言い訳をしない真面目さと、それゆえの苦しさがほどける音だった。
「……はい。先生。私、頑張ります! 頑張って、一人前の支部長になります!」
「ああ。一緒に頑張ろう」
ほんの少しだけ、セファとの距離が近づいた気がした。
セファは机にかじりつき、書類の山と格闘していた。
報告書、依頼書、契約書。積み上がっては倒れ、どれがどこまで進んでいるのかさえ、もはや曖昧だ。
「この予算配分、先月とズレてる……でも、どこを直せば……」
小さな声でつぶやきながらも、思考は空回りするばかり。
指先が震え、ペンは進まない。
──コン、コン。
控えめなノック。扉が少しだけ開いて、知久が顔をのぞかせた。
「おはよう、セファ。昨日は部屋ありがとう。おかげでよく眠れたよ」
「あっ、はい! どういたしまして、です! ……ぎゃうん!!」
立ち上がろうとした拍子に、机の角に思いきり足をぶつけてしまい、バランスを崩して床に転がる。
ゴンッ、という鈍い音が響いた。
「だ、大丈夫?」
知久があわてて駆け寄ろうとするが、セファは鼻を押さえながら、必死に笑顔を作った。
「も、もちろん大丈夫です! これくらい、支部長なので! です!」
「いや、それ支部長関係ないよね……」
知久は苦笑しながら近づき、机の書類に目を通した。
そして一瞬で状況を読み取る。
「うん、これ完全に分類が混在してるな。予算書と依頼書と、人事系の報告が全部一緒になってる。まずはジャンルごとに分けようか。そこの棚、使っていい?」
「え? は、はいっ!」
「ありがとう。それから日付順に並べると進捗が見やすい。緊急なのは赤印がある依頼書だな。これを優先して確認しよう」
知久はそう言いながら、スッと赤印の書類を抜き出し、空いたスペースに一列に並べていく。
その動作は迷いがなく、視線は常に全体を見ていた。
「……先生、すごい。全部、すぐ分かるんですね……」
「まぁ、こういうのは経験だから。前の支部でも、最初はぐちゃぐちゃだったよ」
知久はにこりと笑い、書類を手に取ったまま椅子に腰掛ける。
「じゃあ、まずはこの人員表の確認から手伝うよ。俺がやってる間に、セファは昨日の報告書だけチェックしてくれる? 優先順位を付けたいから」
「わ、わかりました! です!!」
慌てて立ち上がったセファだったが、今度は転ばなかった。
緊張はしている。けれど、どこか少しだけ、安心している自分にも気づく。
(あ……やっぱりこの人、すごい。ちゃんと見てくれてる……)
机の上の混乱が、着実に整理されていく。
積み上がっていた不安が、少しずつ形を持ち始める。
「この書類は、昨日の報告書にありました!」
「ありがとう。じゃあ、それはこっちのフォルダにまとめておこう。あとで確認するから」
「はいっ! 先生!」
段取りが明確になれば、作業は進む。
それを知久は、初対面でちゃんと引き出してくれた。
「先生ってガラじゃないんだけどな……」
「でも、頼りになるので! です!」
セファは元気よく返事をして、初めて笑顔になった。
その様子を見て、知久もまた少しだけ柔らかい表情を浮かべるのだった。
☆ ☆ ☆
昼前。
ギルドの小会議室では、冒険者たちとの連絡調整会議が行われていた。
「……以上が、今月の依頼数と予算見直しの……その、案です」
セファが読み上げた案内は、声こそ出ていたが要点を捉えきれておらず、室内にはざわつきが広がっていた。
「で、報酬は上がるのか下がるのか?」
「いつも通り“検討中”ってやつだろ」
「ありがたく拝聴しましたよ、支部長殿」
ベルノーの皮肉に、セファは言葉を失い、俯いてしまう。
そんな中、知久が静かに立ち上がった。
「少し、補足させてもらっていいかな」
場の視線が彼に集まる。
「この案は簡単に言えば、優先度が高い、総督府からの依頼に人を回すため、報酬の配分を調整したいってこと。セファはその判断を、ちゃんと数字を見て出してる」
数人がざわっとした。
「内容自体はよく考えられてるよ。俺も資料を見たけど、現状を理解して、改善しようとしてるのがよく分かったよ」
知久は一拍置いて、全員を見渡す。
「だから今日の会議は、文句を言い合う場じゃなくて、どうすればもっと良くなるかを話す場にしよう。な?」
数秒の沈黙のあと、何人かがうなずき始める。
「……俺の担当のとこ、報酬下げても構わないよ。倉庫整理だし」
「港の依頼なら俺ら回れるぜ。ちょうど手が空いてるし」
少しずつ前向きな声が広がっていく。
セファは驚いたように知久を見つめた。
その目は少し潤んでいたが、口元には、安心したような笑みが浮かんでいた。
☆ ☆ ☆
会議後、セファはギルド屋上の風が吹き抜ける場所にぽつんと立っていた。
眼下に広がる港町の風景。小さな舟が行き交い、倉庫街の向こうでは潮風に旗がはためいている。
セファはその景色を見下ろしながら、制服の裾を握りしめていた。指先には力がこもっていて、わずかに震えている。
そこへ知久が現れ、彼女の隣に静かに立った。両手にコップを一つずつ。
「コーヒーでいい?」
肩の力を抜くような、柔らかい声だった。
「……あ、ありがとう、です」
セファは少し驚いたように知久の顔を見てから、コップを両手で受け取った。
一口だけ、恐る恐る口に含む。
「……に、苦い……」
眉をしかめ、舌を引っ込めるような仕草で顔を背けた。
「あっ、ごめん! しまった! まだセファには早かったよな!」
知久は焦ってポケットから砂糖とミルクのスティックを取り出し、差し出す。
「い、いえ。支部長なので。これぐらい、大丈夫、です!!」
セファは無理に笑ってみせるが、次の瞬間、またコップを持つ手がぶるっと震えた。
「うっ、うう……やっぱり苦い……」
「無理すんなって……ほら、ミルク」
知久が自分の分を分けながら苦笑する。
不器用ながらも、その所作には優しさが見え隠れする。
「会議では、いつもあんな感じだったのか?」
「……はい。みんなの前に立つと、うまく喋れなくて……言いたいこと、全然伝えられなくて……」
「……ああいうのは慣れだから。場数をこなしていけばセファもすぐできるようになるさ」
彼の言葉に、セファの笑顔が少しだけ素直なものになる。
だがすぐに、声は曇った。
「私、やっぱり支部長なんて向いてないんですかね……?」
視線はコップの中。落ちかけた表情に影が差していた。
「え、いや、えっと……」
「あ、あはは。やっぱり、先生もそう思ってるんですよね……」
「あ、いや、違う。そうじゃなくて……」
「いいんです! 自分でも、私みたいな子供が支部長だなんて、おかしいと思ってますから!」
「セファ。その……」
彼は少し言い淀んでから、正面から問いかけた。
「君は、どうして支部長になったんだ?」
セファは驚いたように顔を上げ、それから唇を結んだ。
「私、小さい時からこのギルドに住んでいるんです」
「え? ご両親は?」
問いを発した瞬間、知久はしまったと思った。表情がこわばった。
セファの声は震えていた。
「……私が小さい時に、殺されました」
「……ご、ごめん!! 無遠慮だった!!」
知久は両手を上げて謝罪のポーズを取る。
またやらかしてしまった。子供の扱いにはやはり慣れない。
けれど、セファはゆっくりと口を開いた。
「今でも、思い出せます。私の家が……真っ黒な炎に包まれて、お母さんとお父さんの声の悲鳴が聞こえて……」
その目は揺れていたが、それでも前を向いていた。
「お母さんとお父さんは昔、このギルドですごい活躍をしたらしいんです。だから、二人がいなくなった後も、このギルドに住まわせてもらえました。だから、他に支部長になれる人がいなくなった時、立候補したんです。このギルドを守りたくて……だから、私が頑張らないと……」
「そうか……」
知久は空を仰いだ。港の風がふたりの間を吹き抜ける。
セファにとって、ギルドは家族そのもの。彼女はそれを守りたかったのだ。
(……まだ小さいのに、立派な子だ)
彼は少し笑って、苦い記憶を吐き出すように言った。
「俺が前に支部長代理だった時、なんでもかんでも自分でやろうとして、全部背負い込んで……潰れかけたよ」
セファは驚いたように目を見開いた。
「支部を立て直さないといけなくなって、無理して、気張って、全部一人で抱えようとした。でも……それが一番の失敗だったんだ」
「失敗……だった?」
「ああ。俺の肩に全部積もって、動けなくなった」
風が吹いた。知久の髪が揺れる。
「……でもな、あるとき仲間に怒られたんだ。“頼りなさいよ”って。それでようやく気づいた」
彼は手すりに肘を置きながら、ぽつりと呟くように続ける。
「支部長ってのは、全部抱える役じゃない。支部の仲間たちに頼って、一緒にやっていくべきなんだって」
セファの視線が、少しだけ揺れた。
「……でも、私が未熟だから……他の人に迷惑かけてしまうんです。だから、私が頑張らないといけなくて……」
「人に頼るのって、怖いよな」
知久はカップを少し傾ける。
「大丈夫。とりあえず俺には、いくら迷惑かけてくれてもいい。俺はセファを助けて、一人前の支部長にすることが仕事だ」
「……先生……」
「いずれは俺もここを去るけど……その時には、セファも自分の仕事をできるようになって、他の人に頼ることもできるようになっていると思う。だから、全部を抱えなくていい。ひとりで苦しまなくていい。ギルドってのはそういうもんだからさ」
セファは目を伏せ、胸の奥で小さく息をついた。
それは、言い訳をしない真面目さと、それゆえの苦しさがほどける音だった。
「……はい。先生。私、頑張ります! 頑張って、一人前の支部長になります!」
「ああ。一緒に頑張ろう」
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