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プロローグ
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みんなはどんな人が好きだろうか。
美人な人? 優しい人? いやいや違う。
不幸な人だ。
不幸な人は素晴らしい、存在そのものが芸術だ。
どこかで不幸な人は、どこかでは幸せ者で憧れられる。世界にはいろいろな人がいる、死にたくない人もいれば、死にたいと思う人もいる。
根拠は特になく、強いて言うなら僕だ。僕は狂気に憧れている、なぜなら狂人はいつも楽しそうだからだ。
殴られて痛いはずなのに、平気そうだからだ。誰かに怒られていても楽しそうだからだ。
でも本当は、痛みなんてどうでも良くなるくらい苦しいだけ。
苦しんでいるものは美しい。みんなだって映画を見るとき悲しいシーンで涙を流すでしょ?
そしてそれをみんな「感動」と呼ぶ。
感動っていうのは必ずしも良いとは限らないだろう。
でも多分、悪いものじゃない。
感動っていうのは、いわば興奮みたいなもんだ。
興奮してるときって全部楽しく感じられるでしょ?
いつも全然笑えないようなしょうもないことで大笑いできる。
まあ結局何が言いたいかと言うと「モテたかったら不幸になればいい」ってこと。
*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*
高校生活はとても暇だ。
まあ僕が暇な生活をしているだけだが。
アニメのような青春もなければ、可愛い女の子もいない。
さらに僕には目的がない。
どんな無謀な事でも目的があるかないかで人生の有意義さは変わる。
行きたい大学もなければ、やりたい仕事もない。
あるのなんて悩みくらい。
それはあまりに退屈だ。
「隅独くん、聞いていますか?」
「んん、なに?」
やべ、まじでなんも聞いてなかった。
あれ、誰だっけこいつ。
「ちゃんと話を聞いてくださいよ」
それ自体はとても申し訳ないんだけど、シンプルに誰ですか。
「あ、うん」
「ごめん」
すると、その女性は顔を少し顰めて、いかにも不満げな表情を浮かべた。
「私は先生ですよ」
「え、先生?」
ああ、思い出した。
この人、国語の担当の人だ。
いつも授業聞いてなさすぎて忘れてた。
「それで、どうしたんです」
「このプリントを教材室へ運んでください」
そう言ってどこからともなく山盛りのプリントを取り出した。
「え、なんで」
「あなた国語係でしょうが」
「いつも安島さんにばかりやらせてはいけませんよ」
「あ、はい」
やべー。忘れてた。
最近本当にやばいな。全てどうでもよくなってきてる。
これは謝っとこう。
「安島さん」
「あ、え?」
「ゆ、悠遠くん?」
安島さんは挙動不審で何やら慌てている。
まあいつも通りだが。
「なんか仕事任せちゃってたみたいでごめんね」
「あ、ああ、全然大丈夫だよ」
「あ、それ頼まれたの?」
「……な、なら、一緒に行こう」
なぜか安島さんは顔を赤くし、もじもじしている。
国語のプリント運ぶのをデートだと思っているのだろうか。
「なら行こうか」
その後、特に問題なくプリントを運び、僕たちは解散した。
帰り道、1人歩いていると。
「ゆ、悠遠くん」
あれ、なんでだろう。
帰り道は違うはずだけど。
「あ、あのね。実はね」
景色はもう夕暮れで、美しい太陽が適度に僕らの顔を照らす。
「ずっと前から好きでした!!」
「…」
「は? 今なんて?」
「だから、その、好き!」
まさかまさか、冗談だろう。
その時僕は初めてちゃんと安島さんの顔を見た。
顔は真っ赤で、今にも逃げ出しそうで、そんな顔だった。
僕は告白に保留なんて選択肢はないと思ってる。
好きな相手なら相当な理由がない限りは即OKするはずだ。
別に好きでもないのに、付き合うのは相手に失礼だ。
「いいよ」
だが、そんな考えを全て打ち砕き、僕は言ってしまった。
そう、これから、これから好きになればいいのだ。
だが、その考えは浅はかだった。
*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*
ヤンデレ。
自分の恋人などへの愛情が強すぎる人。
ある程度のヤンデレならば、もはや長所のように僕は思うけど。
安島さんはまさに狂気だった。
「お、おはようございます。悠遠くん」
「そ、その、寝ぼけてる悠遠くんも可愛いですね……」
椅子に縛り付けられている僕を見て、安島さんは顔を赤くしながらそう言った。
それはあまりに不気味だった。
監禁され変なことでもされるかと思えば、なにもされず。
指先が当たるだけで赤面し、去っていく。
彼女の目には僕を縛っている縄は映らない。
それはもはや誰も責めることはできない。
なぜなら、彼女は知らないのだから。
常識がないのだから、しょうがないのだ。
「学校に行きたいんだけど」
「あ、ごめんなさい」
「学校行きたいですよね……」
「でも大丈夫です、私が一生養ってあげますから」
それは会話が通じているようで通じていない。
何より怖いのは、彼女は学校へ行けない僕に本気で同情していることだ。
彼女は本気で僕を助けたい、なのにその頭には縄を解くなんて選択肢はまずない。
まさに化け物だ。
「帰りたい。家に帰りたい」
なんだかんだで1週間位監禁されているし、さすがにそろそろ日差しを浴びたいな。
「そ、そんな、そんなこと言わないでください」
「私、私そんなこと言われたら……」
そう言って彼女は静かにナイフを取り出した。
「わ、わかった。ごめんね」
「でも安島さんには学校に行って欲しいな」
「養ってくれるんでしょ?」
「あ、ああ、そうですよね。なら学校、行ってきます」
そう言って彼女は、やけにすんなり部屋を出た。
「ふー」
そろそろ縄を解くか。
実は縄が緩んできてたんだよね。
その時、1粒の水滴が僕の足に垂れた。
ん? これなんだろう。
これは……涙?
その時、僕の口から勝手に次々に声が漏れた。
「……くっ」
「怖い、怖いよ!」
「あれは、あれは化け物じゃないか…!」
ああ、どうしていつもこうなんだ。
逃げなきゃ、急いで家から出よう。
そう思いを扉を開けると。
「うわっ!!」
「そんなふうに、そんなふうに思ってたんですね……」
狂気に染まったその顔には、今さっき自分で引っ掻いたかであろう傷跡があった。
「いいです、なら、逃げられるくらいなら」
「保管します。殺して、保管します」
ゆっくりと、心臓へ向けて、ナイフが振り下ろされた。
ああ、これが、愛情か……。
美人な人? 優しい人? いやいや違う。
不幸な人だ。
不幸な人は素晴らしい、存在そのものが芸術だ。
どこかで不幸な人は、どこかでは幸せ者で憧れられる。世界にはいろいろな人がいる、死にたくない人もいれば、死にたいと思う人もいる。
根拠は特になく、強いて言うなら僕だ。僕は狂気に憧れている、なぜなら狂人はいつも楽しそうだからだ。
殴られて痛いはずなのに、平気そうだからだ。誰かに怒られていても楽しそうだからだ。
でも本当は、痛みなんてどうでも良くなるくらい苦しいだけ。
苦しんでいるものは美しい。みんなだって映画を見るとき悲しいシーンで涙を流すでしょ?
そしてそれをみんな「感動」と呼ぶ。
感動っていうのは必ずしも良いとは限らないだろう。
でも多分、悪いものじゃない。
感動っていうのは、いわば興奮みたいなもんだ。
興奮してるときって全部楽しく感じられるでしょ?
いつも全然笑えないようなしょうもないことで大笑いできる。
まあ結局何が言いたいかと言うと「モテたかったら不幸になればいい」ってこと。
*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*
高校生活はとても暇だ。
まあ僕が暇な生活をしているだけだが。
アニメのような青春もなければ、可愛い女の子もいない。
さらに僕には目的がない。
どんな無謀な事でも目的があるかないかで人生の有意義さは変わる。
行きたい大学もなければ、やりたい仕事もない。
あるのなんて悩みくらい。
それはあまりに退屈だ。
「隅独くん、聞いていますか?」
「んん、なに?」
やべ、まじでなんも聞いてなかった。
あれ、誰だっけこいつ。
「ちゃんと話を聞いてくださいよ」
それ自体はとても申し訳ないんだけど、シンプルに誰ですか。
「あ、うん」
「ごめん」
すると、その女性は顔を少し顰めて、いかにも不満げな表情を浮かべた。
「私は先生ですよ」
「え、先生?」
ああ、思い出した。
この人、国語の担当の人だ。
いつも授業聞いてなさすぎて忘れてた。
「それで、どうしたんです」
「このプリントを教材室へ運んでください」
そう言ってどこからともなく山盛りのプリントを取り出した。
「え、なんで」
「あなた国語係でしょうが」
「いつも安島さんにばかりやらせてはいけませんよ」
「あ、はい」
やべー。忘れてた。
最近本当にやばいな。全てどうでもよくなってきてる。
これは謝っとこう。
「安島さん」
「あ、え?」
「ゆ、悠遠くん?」
安島さんは挙動不審で何やら慌てている。
まあいつも通りだが。
「なんか仕事任せちゃってたみたいでごめんね」
「あ、ああ、全然大丈夫だよ」
「あ、それ頼まれたの?」
「……な、なら、一緒に行こう」
なぜか安島さんは顔を赤くし、もじもじしている。
国語のプリント運ぶのをデートだと思っているのだろうか。
「なら行こうか」
その後、特に問題なくプリントを運び、僕たちは解散した。
帰り道、1人歩いていると。
「ゆ、悠遠くん」
あれ、なんでだろう。
帰り道は違うはずだけど。
「あ、あのね。実はね」
景色はもう夕暮れで、美しい太陽が適度に僕らの顔を照らす。
「ずっと前から好きでした!!」
「…」
「は? 今なんて?」
「だから、その、好き!」
まさかまさか、冗談だろう。
その時僕は初めてちゃんと安島さんの顔を見た。
顔は真っ赤で、今にも逃げ出しそうで、そんな顔だった。
僕は告白に保留なんて選択肢はないと思ってる。
好きな相手なら相当な理由がない限りは即OKするはずだ。
別に好きでもないのに、付き合うのは相手に失礼だ。
「いいよ」
だが、そんな考えを全て打ち砕き、僕は言ってしまった。
そう、これから、これから好きになればいいのだ。
だが、その考えは浅はかだった。
*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*
ヤンデレ。
自分の恋人などへの愛情が強すぎる人。
ある程度のヤンデレならば、もはや長所のように僕は思うけど。
安島さんはまさに狂気だった。
「お、おはようございます。悠遠くん」
「そ、その、寝ぼけてる悠遠くんも可愛いですね……」
椅子に縛り付けられている僕を見て、安島さんは顔を赤くしながらそう言った。
それはあまりに不気味だった。
監禁され変なことでもされるかと思えば、なにもされず。
指先が当たるだけで赤面し、去っていく。
彼女の目には僕を縛っている縄は映らない。
それはもはや誰も責めることはできない。
なぜなら、彼女は知らないのだから。
常識がないのだから、しょうがないのだ。
「学校に行きたいんだけど」
「あ、ごめんなさい」
「学校行きたいですよね……」
「でも大丈夫です、私が一生養ってあげますから」
それは会話が通じているようで通じていない。
何より怖いのは、彼女は学校へ行けない僕に本気で同情していることだ。
彼女は本気で僕を助けたい、なのにその頭には縄を解くなんて選択肢はまずない。
まさに化け物だ。
「帰りたい。家に帰りたい」
なんだかんだで1週間位監禁されているし、さすがにそろそろ日差しを浴びたいな。
「そ、そんな、そんなこと言わないでください」
「私、私そんなこと言われたら……」
そう言って彼女は静かにナイフを取り出した。
「わ、わかった。ごめんね」
「でも安島さんには学校に行って欲しいな」
「養ってくれるんでしょ?」
「あ、ああ、そうですよね。なら学校、行ってきます」
そう言って彼女は、やけにすんなり部屋を出た。
「ふー」
そろそろ縄を解くか。
実は縄が緩んできてたんだよね。
その時、1粒の水滴が僕の足に垂れた。
ん? これなんだろう。
これは……涙?
その時、僕の口から勝手に次々に声が漏れた。
「……くっ」
「怖い、怖いよ!」
「あれは、あれは化け物じゃないか…!」
ああ、どうしていつもこうなんだ。
逃げなきゃ、急いで家から出よう。
そう思いを扉を開けると。
「うわっ!!」
「そんなふうに、そんなふうに思ってたんですね……」
狂気に染まったその顔には、今さっき自分で引っ掻いたかであろう傷跡があった。
「いいです、なら、逃げられるくらいなら」
「保管します。殺して、保管します」
ゆっくりと、心臓へ向けて、ナイフが振り下ろされた。
ああ、これが、愛情か……。
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