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Vol.29.ワイシャツくんくんの権限
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……そろそろ、いいでしょうか。
もう、限界です。
土曜の朝。洗濯物は二~三日に一回が限度で。それこそひとりのときなんて一週間に一回だったもの。けど――大樹は、汗っかきで。真夏だと通勤電車であまりに汗をかくので、早めに出社して、インナーを変えるのだそうだ。ふああ……萌え。萌えるぅー。萌えきゅん☆彡
朝が早い大樹はランニングに行ってそれから筋トレをしているはず。よぅし。珍しく早く目覚めた朝。早速……昨晩着ていたに違いない、大樹のワイシャツに手を伸ばす……ああああああ! からだじゅうに電流が流れるようだ!! ッああああ!
よりによってこれ、初めて大樹があたしを姫抱きにしてたときに着てたワイシャツじゃーん。ふわぁあーん。……ねえ。大樹。あたし、言ったよね。あたし……
「たっだいまー」
いきなり玄関から物音がしたのであたしは飛び上がるかと思った。別に、この時間に大樹が帰ってきたとて、なんら不思議はない――が、そのくらい、あたしは、没頭していたのだ。大樹の――匂い、の、残存する気配に。
汗臭い男が嫌いな女性がいるという。嘘つけ。あたしは大好きだぞ!! ベッドなんか、大樹と同棲するようになって。一気に男臭くなってもう、……たまらないんだもーん!! なんなら、靴下だってくんくんするもんねーー!!!
「お、……かえり」とあたしがワイシャツを胸に抱いたまま振り向いてみれば、「ふぅん?」と大樹が目を細める。……大樹。
汗だくにござんす。ふあああ……汗も滴るいい男……いい男が汗水たらしてるのって萌える……大樹がうえのとき、切なげに目を細めるのとか……ふあああ……ッ!!!
「洗濯物やってくれてるんだ。……サンキュ。まっぱでよければおれ、シャワー浴びる前にやっておくよ」
貴公子のように微笑んで言ってはくれるものの、ちょっと待った待った待った。「あ……いえ、あの、そのぉ……っ」
正座をしたままもぞもぞ膝を揺らすあたしに、大樹が、あたしの左側の壁に手を添え、笑いかける。……軽い壁ドン。「なぁに……? セックス、したい……?」
「や。したい。したいはしたいけど……」
「けど?」
歌うような大樹の響きに余裕すら感じるのだ。「あの……。仮面の告白しても、構いませんか……」
「BLだっけあれ」と例によって細い顎をつまむ大樹。「読んだこたぁーないんだけど。どぞどぞ」
「じ、実は……」
「実は?」笑って受け止める大樹に、瞬間、がばっ、と抱き着いた。驚いた大樹の様子。「うん? なに……どしたの。言っとくけど、おれ、……汗、びっちゃびちゃだよ」
「それがいいの……」あたしは彼の汗ばんだ首筋をはむはむ嗅ぎながら、「大樹の汗、匂い……もう、大好き、なの……っ! 言ったじゃないあたし。あたしが、大樹のワイシャツの脇くんくんするド変態だったらどうするのって……最初に……」
「え。なに。嗅ぎたいの? どこを? なにを?」
あたしの髪をわしゃわしゃかき回す大樹の、鎖骨に鼻を預けながら、「全部。……全部。大樹の、フェロモンとか、汗臭いのとか、男臭いのとか。ぜぇーんぶ。ぜぇーんぶ!! ……はむはむしたい……。くんくんしたい……」
あたしの欲望ダダ洩れの発言を受け止めた大樹は、ちょっと笑って、「……もしか。靴下とか、トランクスの大事なとことかくんくんしたかったりする?」
あたしは顔を起こし、
「や。それは……直接はむはむしたい、かな……」
大樹は眉を歪めて笑い、「どういう判断基準なのかな」
「や……あそこはやっぱり……直接味わうのが一番で。一方、汗臭さについては、なんというか……とにかく。ワイシャツとかインナーシャツとか萌え! なの。はむはむくんくんしたいの。……お願い。ずっとずっとあたし、我慢してきたんだから……」
「……ああ。罪悪感じて出来なかったってやつね。なんだ。言ってくれりゃあよかったのに。こっそりはむはむしてもおれぁ全然かまわないよ」
「……ほんとっ?」
大樹はぺろりと舌を出し、「……その代わりおれが美紗のパンティ咥えてても文句言うなよ?」
「あーそれはぁ……複雑」と首を傾げ、「女が汗臭いのってなんか……格好悪くない? 出来るだけケアはしてるんだけど。真冬でもシューッてスプレーしてるし。職業柄、腋臭は流石にね、いくら接客がよくてもね、アウト、なんですわ……」
「――ところで美紗」
「ひやぁっ……」
くつくつと喉の奥で悪代官みたく笑う大樹は、「えっらいことになってんねえ……ぬぷぬぷの、くっちゃくちゃじゃん……」
よりによってスカートで足を広げた体勢になっていた。まずったか。
指でいじくり倒す大樹は、くん、と、あたしを肩に担ぎ上げる。そして洗面台のうえに座らせ、無垢な少年のように言ってのけるのだ。なんなら人差し指の指先を唇に添えるあざとさつきで、
「……前からがいい? それとも後ろから?」
顎を引いて本音を吐いた。「う、……後ろから……」
「美紗って激しいのが好きだもんねえ」笑ってあたしのウエストを両側から支え、回転させると尻を突き出す体勢にさせて大樹は、「顔が見えないのも興奮するタイプだ。……残念。美紗。鏡が目の前だから……きみが、愛されるときにどんなに美しいエクスタシーを表明しているのか。たんまりと……見せてあげるよ」
そうして、あたしは、快楽の虜となる。言わずもがな、あたしが大樹のワイシャツをくんくんするのは一時間後の話となり、また、そんなあたしを見て大樹は、にこにこと父親のように微笑んでいた。
*
もう、限界です。
土曜の朝。洗濯物は二~三日に一回が限度で。それこそひとりのときなんて一週間に一回だったもの。けど――大樹は、汗っかきで。真夏だと通勤電車であまりに汗をかくので、早めに出社して、インナーを変えるのだそうだ。ふああ……萌え。萌えるぅー。萌えきゅん☆彡
朝が早い大樹はランニングに行ってそれから筋トレをしているはず。よぅし。珍しく早く目覚めた朝。早速……昨晩着ていたに違いない、大樹のワイシャツに手を伸ばす……ああああああ! からだじゅうに電流が流れるようだ!! ッああああ!
よりによってこれ、初めて大樹があたしを姫抱きにしてたときに着てたワイシャツじゃーん。ふわぁあーん。……ねえ。大樹。あたし、言ったよね。あたし……
「たっだいまー」
いきなり玄関から物音がしたのであたしは飛び上がるかと思った。別に、この時間に大樹が帰ってきたとて、なんら不思議はない――が、そのくらい、あたしは、没頭していたのだ。大樹の――匂い、の、残存する気配に。
汗臭い男が嫌いな女性がいるという。嘘つけ。あたしは大好きだぞ!! ベッドなんか、大樹と同棲するようになって。一気に男臭くなってもう、……たまらないんだもーん!! なんなら、靴下だってくんくんするもんねーー!!!
「お、……かえり」とあたしがワイシャツを胸に抱いたまま振り向いてみれば、「ふぅん?」と大樹が目を細める。……大樹。
汗だくにござんす。ふあああ……汗も滴るいい男……いい男が汗水たらしてるのって萌える……大樹がうえのとき、切なげに目を細めるのとか……ふあああ……ッ!!!
「洗濯物やってくれてるんだ。……サンキュ。まっぱでよければおれ、シャワー浴びる前にやっておくよ」
貴公子のように微笑んで言ってはくれるものの、ちょっと待った待った待った。「あ……いえ、あの、そのぉ……っ」
正座をしたままもぞもぞ膝を揺らすあたしに、大樹が、あたしの左側の壁に手を添え、笑いかける。……軽い壁ドン。「なぁに……? セックス、したい……?」
「や。したい。したいはしたいけど……」
「けど?」
歌うような大樹の響きに余裕すら感じるのだ。「あの……。仮面の告白しても、構いませんか……」
「BLだっけあれ」と例によって細い顎をつまむ大樹。「読んだこたぁーないんだけど。どぞどぞ」
「じ、実は……」
「実は?」笑って受け止める大樹に、瞬間、がばっ、と抱き着いた。驚いた大樹の様子。「うん? なに……どしたの。言っとくけど、おれ、……汗、びっちゃびちゃだよ」
「それがいいの……」あたしは彼の汗ばんだ首筋をはむはむ嗅ぎながら、「大樹の汗、匂い……もう、大好き、なの……っ! 言ったじゃないあたし。あたしが、大樹のワイシャツの脇くんくんするド変態だったらどうするのって……最初に……」
「え。なに。嗅ぎたいの? どこを? なにを?」
あたしの髪をわしゃわしゃかき回す大樹の、鎖骨に鼻を預けながら、「全部。……全部。大樹の、フェロモンとか、汗臭いのとか、男臭いのとか。ぜぇーんぶ。ぜぇーんぶ!! ……はむはむしたい……。くんくんしたい……」
あたしの欲望ダダ洩れの発言を受け止めた大樹は、ちょっと笑って、「……もしか。靴下とか、トランクスの大事なとことかくんくんしたかったりする?」
あたしは顔を起こし、
「や。それは……直接はむはむしたい、かな……」
大樹は眉を歪めて笑い、「どういう判断基準なのかな」
「や……あそこはやっぱり……直接味わうのが一番で。一方、汗臭さについては、なんというか……とにかく。ワイシャツとかインナーシャツとか萌え! なの。はむはむくんくんしたいの。……お願い。ずっとずっとあたし、我慢してきたんだから……」
「……ああ。罪悪感じて出来なかったってやつね。なんだ。言ってくれりゃあよかったのに。こっそりはむはむしてもおれぁ全然かまわないよ」
「……ほんとっ?」
大樹はぺろりと舌を出し、「……その代わりおれが美紗のパンティ咥えてても文句言うなよ?」
「あーそれはぁ……複雑」と首を傾げ、「女が汗臭いのってなんか……格好悪くない? 出来るだけケアはしてるんだけど。真冬でもシューッてスプレーしてるし。職業柄、腋臭は流石にね、いくら接客がよくてもね、アウト、なんですわ……」
「――ところで美紗」
「ひやぁっ……」
くつくつと喉の奥で悪代官みたく笑う大樹は、「えっらいことになってんねえ……ぬぷぬぷの、くっちゃくちゃじゃん……」
よりによってスカートで足を広げた体勢になっていた。まずったか。
指でいじくり倒す大樹は、くん、と、あたしを肩に担ぎ上げる。そして洗面台のうえに座らせ、無垢な少年のように言ってのけるのだ。なんなら人差し指の指先を唇に添えるあざとさつきで、
「……前からがいい? それとも後ろから?」
顎を引いて本音を吐いた。「う、……後ろから……」
「美紗って激しいのが好きだもんねえ」笑ってあたしのウエストを両側から支え、回転させると尻を突き出す体勢にさせて大樹は、「顔が見えないのも興奮するタイプだ。……残念。美紗。鏡が目の前だから……きみが、愛されるときにどんなに美しいエクスタシーを表明しているのか。たんまりと……見せてあげるよ」
そうして、あたしは、快楽の虜となる。言わずもがな、あたしが大樹のワイシャツをくんくんするのは一時間後の話となり、また、そんなあたしを見て大樹は、にこにこと父親のように微笑んでいた。
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