タダで済むと思うな

美凪ましろ

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第二部 恋愛編

#02-04.正義

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 西河智樹は、目の前の、整った男の顔をじっと見つめる。綺麗な食べ方をする男だと思った。食べ方でおおよそ、人間の性格は、掴める。この場所を選んだのは正解だと思った。プライベート空間を大切にする店の方針に甘え、存分に智樹は観察を重ねる。
 三十五歳というと、母の、六歳年下か。この男が小学生の頃に、母は中学生になっていたはずであり、もし、この男がその頃に母に出会っていたとしても、この男は恋に落ちなかっただろう。
 恋には、タイミングと偶然が必然。至極当たり前の現実を、智樹は突きつけられる。――もし、『違って』いたら。違うかたちで出会っていたら、果たして自分は恋に落ちただろうか――と智樹は疑問に思う。
『智ちゃん』
 思いだされるあの愛くるしい瞳。さらつやのボブヘア。ぱつんと揃った前髪が清潔感を感じさせ、動くたびに智樹を誘うかのように揺れる。――苦しい。
 何故、あの子のことを考えると、こんなにも心臓が苦しくなるのだろう。家族愛と形容するには、強すぎる。恋とは、身を貫く稲妻だと智樹は思う。
 姉を苦しませるものはすべて排除する。例え、母の想い人であろうと。智樹が石田を呼び出した目的は、果たして石田が、自分たち家族の希望を満たしうる器の持ち主であるのか――その一点に絞られる。
 智樹は結論する。――悪い男ではなさそうだ。それは、電話の受け答えから分かっていた。
 明らかに自分の声は幼い。けども、警戒しているそぶりもなく、実に自然に応対してくれた。その事実から、智樹は、石田を信用するに足る人物だと判断した。
 父は、酷い男だった。自分のことしか考えていない。母に、家事育児の一切を押しつけ、自分は美味しいとこどり。時代劇に出てくる悪役のように、分かりやすい男だった。
 自分の思い通りに行かないと、すぐに、切れる。ふてくされる。機嫌を悪くする。――思えば、あの計画に自分が関与したのは、否、積極的に推し進めたのは、半ば自分のためだったのかもしれない。
 邪魔者は排除せよ。
 自分と異なる考え方をする人間は、すべて敵。
 そうした考え方をする人間が増えてきているように思えるが――SNSを見る限り――ただ、忘れてはならないのは、例え、自分には、まったく理解の出来ない価値観の持ち主であろうと、彼らには彼らの正義があるということである。
 学校では、当初の家族の不安をよそに、目立たず、敵を作らないように振る舞っている。――おれだって、自信のないおどおどとした態度を作ることくらいは出来るのだ。役者のように。
 家族が見ているおれは、複数ある『おれ』のうちの、ほんの一部に過ぎない、と智樹は思う。
 そして――石田清太郎。
 果たして、その美しい仮面の下になにを持つのか。暴いてやる。
 智樹はテーブルの下で拳を固めた。

「ご馳走様でした」
 ミニ小倉ノワールを綺麗に食べ終えた石田は、きちんと手を合わせる。――なるほど元父親と違って、生活態度がきちんとしている。おれが教師ならば二重丸を与えているところだ、と智樹は思う。
 けども、おれは。
「きみの勧めてくれた、ミニ小倉ノワール、とても美味しかったよ。また、食べたい」
「――母の、どこを、好きになったんですか」
 皿をどけ、テーブルのうえに指を組み合わせる。その手が大きく、男らしく骨ばっていて、あまり見たことのない大人の一面を見せつけられたようで気後れする。
 けども、これは、負けられない戦いなのだった。
 ふー、と綺麗なかたちの唇から息が吐き出される。
「そういうことは、虹ちゃん本人にしか言えないなあ?」
 語尾があがる、だが断定の口調。
 からかわれているようで、智樹の眼前に、怒りが爆ぜる。
「真剣に答えてください。あなた、……母のどこに惚れたんです? 四十一歳、中三と中一のコブつき。石田さんくらい、見目形の麗しい男だったら、他に、いくらでも相手が見つかりますよ簡単に。どうしてわざわざそんな厄介な道を選ぶんです?」
 すると石田は答える。「きみは――感情や論理で恋が動くとでも思っている? きみは、本当に、ひとを好きになったことがないの? 世界中でたった一人のひとのことを想うと胸が苦しくなり、夜も眠れなくなる。あの魅惑的な現象を……」
 ――その、感情ならば、知っている。
 けども、言ってはならないのだ。この条件と引き換えに、智樹は、復讐を選んだのだ。
 どうやら目だけで読み取ったらしい。「ふぅん」と石田。
「きみが、その子のことを、愛するように。水を飲むように自然に、からだじゅうの全細胞が、たったひとり。虹ちゃんという存在を、求めているんだ。それだけのことさ……」
「これからのプランは、あるんですか」
 智樹は瞬時に話題を切り替える。
「仮に、あなたと母が交際をスタートさせるとしたら、どうするおつもりですか。二人きりでデートを重ねる? 二人っきりでスカイツリーなんか登って観覧車に乗って遊園地デート。……あ、いまは遊園地はマズいかもしれませんが、とにかく。
 あなたという異分子が現れることで、家庭にいらぬさざ波が立つ。そのことを、ぼくは、恐れています」
「……虹ちゃんは、責任感の強い女の子だからなー」と腕組みをする石田が、「でもさ。自分じゃない誰かになりたい、って思うこと、誰にでも一度は、あるじゃない? King Gnuじゃないけど。虹ちゃんにだって、きみたちと同じように、誰かを好きになったりくっついたり別れたり――する権利はあると思うよ? 母親というだけで、その権利が奪われるのはおかしい」
 ――分かってはいる。
 その問題は、何度も何度も考えた。けれど、あの、麗しい母が。可憐な少女のような愛らしさを保つ、母が。
 目の前の男に抱かれたらと思うだけで吐き気を催す。
「石田さんは、母で、『妄想』を、しますか」
「――いや」智樹の意図するところを汲み取ったらしい。真面目腐った顔で石田は、「ぼくは、映像ものが好きじゃなくってね。その手のものに頼るなら小説って決めている。動画や映像だと、こっちの妄想を駆り立てる余地がないじゃない。だから、苦手なんだ」
 震える声で智樹は告げた。「……ぼくも同じです」
「そうなんだ?」
 どんなに愛しているとはいえど、おかずには、しない。すれば、相手に対する神聖なる想いが汚される気がするのだ。その点、石田とは価値観が一致しているようで、智樹は、複雑な気持ちを抱く。
「想像の世界で相手を汚すのは、失礼な気がして……相手にも自分にも」
「分かるよ」と石田。「きみは、まだ、中学一年……春には二年生になる男の子なんだよね? きみは、まだ、若い。自分が何者であるかも分からず、抑えきれない衝動を持て余す年頃だ。……ぼくでよければいつでも相談に乗るよ」
「ありがとうございます。――でも」
「でも?」
「あなたは、ぼくの、――敵です」
 石田は、破顔した。「きみね。西尾維新ヲタとかなにか?」
 生憎西尾維新なら戯言シリーズは、すべて読破している。
「あなたが、母を愛していることは、理解しました。でも、あなたには、ビジョンがない。……いまの母を愛するのであれば、母をまとう諸々の環境をひっくるめて、愛するべきでは、ないんですか……? いまのあなたには、その覚悟がないということだけは、分かりました」
 智樹は立ち上がる。伝票を手に、
「さよなら」と告げる。「二度と会うことはないと思いますが、どうか、お元気で」
「もし、――ぼくが、虹ちゃんを、抱いたら、きみは、どうする」
 去りかけた智樹を引き留める石田の声。酷薄な笑みを浮かべ、智樹は振り返る。
「母には、母の意志があります。けども、おれは――殺したいほど、あなたを、憎むことでしょう」
 平行線だ。一昔前のソ連とアメリカくらい、仲が悪い。
『……お母さん、自分の気持ちに素直になってみてもいいかしら……』
 見たことのない顔を、母は、見せた。母親という鎖から解放された女の裏には、あのような妖艶な顔を隠し持っていた。それが、真の母の姿ならば。この男の前で見せる自由くらいは許されるはずだ。理性的なほうの智樹はそれを分かっている。
 けれど。
 どうしてだか――受け入れがたい。智樹にとって『母』は『母』以外の何者でもなかった。女の顔を見せることなど、許されるはずがない。天地がひっくり返るほどの衝撃を、彼に与えるはずだ。
 なので、智樹は、足を止めた。前方を見据えたまま、
「けれど、母がそれを望むのならば、ぼくは、それを許すべき、なのでしょう……」
「――時間が必要なんだね」
 石田の声に、振り返る。まだ感情の整理のつかぬ智樹をやさしく見据え、
「……事態がそんなに簡単じゃないのは、分かっているよ。どうか、自分の内側から湧いてくる自然な感情を大切にして欲しい。ぼくは、虹ちゃんの大切にしているものを、大切に守りたいと思っている。あせらず、ゆっくりと、考えていけば、いいんじゃないかな……」
「――あなたは」智樹は石田を見つめ返す。「『邪魔者』であるはずのぼくを、『認める』んですか」
 ふっと石田が目をすがめる。「ぼくはいまのいままで、どんな誰の存在も、『邪魔』だとは思ったことはない。一度たりとも」
 仮に、この男に、過去犯した自分の罪を告白したならば、この男はどう反応するだろう。――共感。告解。許容……。果たして、あのとき晴子が見せてくれたシンパシーを寄せてくれるのだろうか。
「男は、……暴走する生き物だから。出来れば、きちんときみの気持ちの整理がつくまで、指一本虹ちゃんには触れない、とぼくは約束すべきなのだろうけれど、残念ながら、それが出来ない。
 きみにも分かるだろう? 好きな女の子をいざ目にすると、暴走する男の心理が……」
「あなたは、おれを脅かす存在です……石田さん。あなたは、おれが隠そうとするものの正体を暴こうとする。そう、母さんの存在を使って。
 押さえ込もうとする想いを目の前で見せつけられたら――正直に言って、迷惑……」
 ここで、彼女の姿が思いだされる。
『言葉は、刃にするんじゃあ、ないよ。大切な誰かをあたためるために使って欲しいな――』
 いたずらに知能が勝るばかりに、周囲から煙たがれていた智樹にかけた姉の言葉。
「迷惑――いや。十年後のぼくであれば歓迎するんでしょうけれど」
「それじゃあ、遅すぎるよ」ははっと目尻に皺を寄せ、石田が笑う。やたらと若々しい印象の彼だが、笑うと年相応に皺が刻まれる。「とにかく、きみの気持ちは、分かったよ――智樹くん。……あ」
 バッグからなにかを取り出した石田が、万年筆でなにかを書き込み、智樹に手渡す。
 付箋だ。そこには、
「それ、ぼくのLINEのID。よかったら、友達になろう」
「だからぼくは言っているじゃないですか。あなたは、おれの――」

「『敵』」

 言葉が重なり、石田が噴き出した。「なんか、正直、面白いね……ぼくには本当に甥がいるんだけど、もっともっとお子様だよ。やんちゃで、自分のことしか考えてなくて、きみとは随分タイプが違う――」
 ――おれだって、自分のことしか、考えられない、獣なのだ。本当は。
 母親の幸せを黙って見守ればいいものを、こうして裏で画策する――そんな権利などどこに? それとも、おまえが母親と結婚するのか? 死ぬまで母親の面倒を見るとでもいうのか――? と黒いほうの智樹が智樹を責め立てる。――偽善者が。偽悪者が。
「今度こそさよなら。――石田さん」
「……ここは、ぼくが出すよ」
「いいです」背後から引き留める気配を感じ、智樹は首を振る。「誘ったのはおれですし、第一あなたに借りを作りたくない」
「次、限定物が、出たら教えてね。じゃ、ぼくは、もうすこしゆっくりしていくよ。今日は、ありがとう」
「さよなら」
 レジで会計を済ませ、店を出る。この建物に入ったときよりも空は暗さを覚えた。まるで自分のこころを映す鏡のようだ。
 見る者の心理が現実を、定義する。――幸せな気分のときに赤子を見れば『可愛い』と思えるだろうに、余裕のないときに見れば『うるさいガキ』――その一言で切り捨てられる、残酷な自分を発見してしまう。人生とは、生きる努力だ。
 石田とは、また会うことになるだろう。智樹は確信していた。
 母には、友達と夕飯を食べて帰る、と嘘をついた。――さて、愛する女の息子の助言を受けて石田はどんな行動に出るだろう。
 簡単だろう、と智樹は空を見上げ息を吐いた。

 変わらない。

 結局人間の意志など、簡単に変えられやしないのだ。石田は母を愛しており、母は、石田に惹かれている。愛情という磁力は、あまりに強力で、周囲の波長を狂わすほどの威力を持つ。狂わされたのが自分だというわけだが。
『あんまり考え込みすぎないで。大丈夫。なるようになるよ……晴ちゃんが、智ちゃんのことを、守ったげる』
 いじめられて部屋でこっそり泣いていた智樹を、晴子は抱き締めた。その、やわらかな魔性の感触。あたたかみのある言葉群が、どれほど彼のことを癒しているのか。その威力を、晴子は、おそらく知らないままだ。――あの、強烈な感情を、母も、今日会った石田も、抱いている。
 自分に出来ることは、なにもない。無力さに、打ちのめされている。
 仮に、石田が、下衆な野郎だったら。妻子持ちで不倫を企む、或いは、虹子から金をむしり取ろうとする下衆野郎だったならば、容赦なく、石田を突き放せただろうに。運命は時に、残酷だ。
 尤も、晴子が自分の姉でなければ、こうして恋に落ちることもなかったであろうに。
 おそらく、石田のほうも、子育てを通じて形成された温和な虹子の人格に、こころから惚れぬいているのだろう。恋愛に、たらればは、適合しない。
 歩いて家に帰る。玄関で「ただいまー」と言えば、たちまち、「おかえりー」と声が返ってくる。母だ。姉のほうはどうしているのかと思えば、
「あ、智ちゃん。いま帰ったんだ? おかえりー」
 風呂場から出てきたところで、いつ見ても、その部屋着に隠された豊満なバストに目が行ってしまう。ほかほか湯気の立つ肉まんのような姉の風呂上がりの姿に、智樹は、ぐっと喉の奥からこみ上げるものを飲み込む。
 肩から下げたバスタオルで髪を拭くと姉は、智樹に近づくと、下から彼の目を覗き込み、
「……どした?」
「いや、その……なんで?」
「智ちゃんなんか、……ショック受けてるような顔してるから。失恋でもしたのかなーって。……あ、傷つけてたらごめんね?」
 ――正直、おれは、毎日、失恋をしている。
 0勝100敗。永遠に勝てる見込みのない戦に、身をやつす無力な兵なのだ。
「悲しいことがあったらどーんとお姉さんの胸に飛び込みなさい! 弟よ!」
「いつも言ってるだろおれ、爆乳フェチなの。アンジーにしか興味ねーの」
 冷たい嘘をつき、智樹は、油断すればあふれ出そうな想いを抑え、姉の横を通り過ぎる。
 んもう。素直じゃなんだから。もーう! ……
 姉の声が聞こえたが無視を貫き、自分の部屋に入ると、ドアに寄りかかり、息を、吐いた。――自分は、なにをしてきたのだろう。なんのために、動いたのだろう――無力感に苛まれる。
 この頃ますます姉への想いが強くなっているように思える。あふれ出るこの想いを抑え込むのが大変だ。ひとつ屋根の下で好きな人と過ごせるという、乙女なら誰でも夢見るシチュエーションに恵まれているのにも関わらず。
「……晴ちゃん。愛している……」
 決して伝えられない台詞を吐き、智樹は、服を脱いだ。

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