54 / 103
番外編4 至上の幸せ――多感な莉子SIDE
#EX04-04.にちゃにちゃのぶちゅぶちゅ *
しおりを挟む
「ああ……ああ、ああ、ああ……課長……!」
後ろから激しく乳房を揉みしだかれる、わたしはこれに弱い。しかも――湯船のなかにあっては。
「へへ……莉子のおっぱい、どんどんびんびんになってる……。こっちはどうかな?」
「――や。あああ……っ」
「どろっどろのぬっちゃぬちゃじゃん……」べろべろとわたしのうなじを舐める課長は、「すんごい莉子ちゃん……。ねえ、どっち舐めて欲しい? 莉子ちゃん、舐めて貰うの大好きでしょう……?」
「ひぁ……っ、課長、指、指……!」
「莉子ちゃんがあんまりにもとろっとろなもんでさぁ……。我慢出来なかったんだよ……」言って指を押し込む課長。――ああ、もう。
全部いっぺんにやって貰えたらいいのに。
おっぱい舐め舐め。あそこを舐め舐め。乳房を揉み揉み。そして――ペニスでぐちゅぐちゅ。
課長に触られると一定の満足感を得られるものの、早く――串刺しにして欲しいという焦燥と、とめどなく体内を流れる快楽の渦――に巻き込まれる羽目となる。
「ふふ……ぎゅうぎゅう締め付けちゃって。莉子ちゃん。気持ちいい?」ぐ、ぐ、と指を押し込む課長は笑いをはらんだ声で、「いっぺん、指で激しくいっちゃって、すっきりしようか……莉子ちゃん」
課長の言うことに外れはない。基本的に。彼は……わたしの知らないわたしのことまでを熟知しているのだ。
課長と出会うまで知らなかった性の味が、わたしのほうを手放そうとはしない。決して。
指でわたしを導いた課長は、それだけでは足らず――ざぶりと、わたしのウエストを支えると、わたしを浴槽の淵に座らせ、壁に寄りかからせ、股を開くと――
「ひぁ……っ、ああっああ……っ」わたしは課長の肩に手を添えて叫んだ。「駄目……舐めないで……そこ、そこ……っ。声、出ちゃう……。おっきな声、出ちゃう……」
唇を噛み締めるわたしの髪を撫でると課長は、短くわたしに口づけ、
「莉子ちゃんのえっちな声、いっぱい聞かせて……」
生理の日と、時々月曜日だけわたしはマンションでひとり。復縁して以来、普段は課長のマンションで過ごすようにしているのだが、明けて火曜日ともなると課長の性欲はものすごい。いやいつもすごいのだけれど。――課長は、出社する前に、掛布団をベランダに干すと、お気に入りのあのベッドのうえにタオルケットを敷く。それが……なにを意味するのかは瞭然だ。
どうやらわたしは水気の多い女らしく。すごく……濡れる。特に、課長の舌で舐められると尋常じゃない量を出す。……勿論、課長のお陰で潮吹きと呼ばれる現象も経験済みで。そう、課長に愛された初日に起きた現象だ。
というわけで、わたしたちの生活にはタオルが必須。洗濯物の処理をするときに、あの行為を思い返し、子宮が疼く。淫乱なわたし。
感覚が、馬鹿になったみたいで。狂いそうなほどに課長を愛している。これが――愛なのか。生きる意味なのだろうか。わたしに、生きる意味を教えてくれた課長には感謝をしている。――女は、愛されることで花開く性別なのだ。
たっぷり風呂場にてわたしの蜜をすすりあげた課長は、濡れた唇でわたしにキスをして、ぐったりと動けないでいるわたしを手早くタオルで拭くと――また、別の舞台へと連れていく。
「風呂場でバックってのも燃えるんだけど。いまは……莉子を味わいたいな……」
言って課長はわたしをベッドに寝かせると足を開かせ、ためらいもなく顔を突っ込む。……男の人ってこんなにこれが好きなの? それとも課長が異常……いや、異常なのはわたしだ。
顔を見ただけで、濡れる。キスをしただけで到達。胸なんか触られたときには目の前に火花が散る。手を握るだけで、足元が崩れそうになる。荒石くんの手を握ったときなんか、なんにも感じなかったのに……。
わたし、性欲のお化けなのかもしれない。課長という、魔性の存在によって作り替えられた悪魔。普段は……会社にいるときは、課長と同じで、わたしもそれ用の仮面をつけるようにしているけれど。こうして偽りの仮面を脱ぎ捨てたこのマンションの一室にて、わたしは本能を剥き出しにする。
「ああ。課長……。――いく。また、いっちゃう……!」
身をよじらせるとわたしは高みへと導かれた。課長がそれで終わるはずがなく。ベッドサイドに常備してあるそれを取り出す、その音だけでわたしはどうしようもなく濡れる。
「……おれはひどい男だから」と、課長はわたしの濡れた頬に触れ、「いっている最中の莉子ちゃんを、どこまでも……追い込んであげる。
もう無理、って言っても――離しやしないから」
そして、わたしは課長の作り上げる、愛情という牢獄のなかで、獰猛な愛欲と化す。――こんな自分、知らない。誰だろう、とわたしは思う。こんなに――感じて。淫らに、溺れて。泣いて……。
激しい腰使いのなか、しっかりとわたしは課長の背に足を絡めた。振り落とされないように――置いてきぼりにされないように。この想いから……。
課長がわたしのなかに射精すると、何故だか、いつものようにぼろぼろと涙がこぼれた。――自分が、あるべき場所に戻ってきたような、そんな感覚。――教えてくれたのは他の誰でもない。あなただけなんだよ……課長。
「課長……好き。愛して、る……」
泣きながら想いを伝えるわたしの涙を吸い取る課長の唇が愛おしい。ふるえながら、わたしはその唇に手を伸ばし、
「気持ち、い……」
涙にむせびながら、暴力的なまでの愛を表現する器と化した。
* * *
翌朝。
「あっちゃー」
とトイレにて一声を出す。……赤い染みがついている。残念。いえ、ちゃんと来るべきものが来るのはいいことなのだけれど……。
課長とえっちが、出来ない。
こういうとき、わたしはむらむらしちゃうのも辛いので、自分のマンションにお泊りするようにしている。……のだが、課長がどうするかについては、後述する。
トイレを出ると、わたしは、キッチンでスクランブルエッグを作っている課長に声をかけた。
「あの。課長。……残念なお知らせが」
「なんだろう。PUFFYが解散とか?」
「いえもっとありきたりで非常に……残念なお知らせがありまして」
「ふむ。話を聞こう」手早くフライパンからスクランブルエッグを大皿に移す課長はわたしに目を向け、「あ。危ないからそっち座ってて。洗ったらそっち行くから」
「……はい。分かりました」
* * *
「どうして女のひとって月に一回必ずきっかり来るんですかね。……正直、恨めしいです……」
「いや。ちゃんと来るのはいいことなんだよ? 莉子が健康であることの証だし……。それで。じゃあ、今夜きみは自分のマンションに戻るんだよね?」
「言っておきますけど。課長……来ちゃ、駄目ですよ?」とわたしは念を押す。「知ってますか? わたし、……会社以外で課長の姿見かけると欲情してはむはむしたくなっちゃうケダモノなんで。怪物なんで。性欲のお化けなんで。……我慢するの結構辛いんですよ……」
「うん。分かった」――という課長は絶対分かっていない。どうせ今夜、課長はうちに来るのだ。
* * *
大型連休を目前にして、来てくれてよかったと思うのが正解かもしれない。――とわたしは、自分のマンションで味噌汁を作りながら思う。
GWは、ふたりで勿論ラブラブ。それからいよいよ、うちの両親に挨拶に行くのだ。実は、もっと前に行こうとは思っていたのだけれど、わたし的には、行くのなら先に課長のご家族に挨拶をしたかったし(課長は順番なんか気にするなと言ってくれたけど、そうはいってもね?)、それに、うちの父は、自分に内緒で物事を進められるのがとことん嫌いなタイプだから……母一人のときに紹介するわけにもいかず。こうしてずるずると伸びてしまったわけだ。
――結婚。
あまやかな単語に、胸が高鳴る。……ああ、課長と結婚……! いったいどんな幸せな未来が待っていることだろう。
課長が、好き。
どうしようもないほどに……好き。
こんなに好きになれるひとに出会えるのなんか初めて。一生分の恋を、している……。わたしきっと、課長に愛されるために生まれてきたんだ。課長を愛するために……。
幸せで胸がいっぱいになってしまうのも、課長と出会って初めて経験する出来事で。ひとり、味噌汁とご飯を食べていると予想通り、玄関のチャイムが鳴った。
「はーい」とわたしが答えると、なにやらケーキ箱を手にした課長がやってきた。
「シュークリーム買ってきた。食べない?」
* * *
「おっぱい触るのとか……駄目?」
「駄目です」
「キスとか……ハグとか。ぎゅっぎゅとか。ぬくぬくとか。それも……駄目?」
「駄目です」とわたしは言い切る。「課長には女の生理のことは分からないかもしれませんが。……まあわたしはそんなに酷いほうではないんですが。重い子だと、地面に這いつくばって、痛いー、って絶叫する女の子とかいるんですよ?」高校時代に見かけた女の子の姿をいまだ、忘れられない。元気にしているといいのだが。
「だからわたし……ひとりで過ごそうって思ったのに……。課長ったら。いつもわたしの邪魔をするんですから……」
「おれさぁ。きみと離れた時期があったろ?」とシュークリームにかぶりつく課長は、「あれ経験してさ。まじで地獄でさ……。本当に辛かった。死ぬかと思った。あれがあったからこそ、おれは……出来るだけきみの傍にいる。そう、胸に誓ったんだ。
独りよがりで迷惑かけてたら……ごめんな?」
「いえそんな……」きゅん。と子宮が疼く。このひとの殊勝な顔を見ると子宮が収縮するように、わたしのからだは出来ている。「課長というより、むしろ、わたし自身の問題なので……。プライベートで課長の顔を見ると、欲情するように出来ている、わたしという人間のシステムエラー……バグのようなものでしょうか」
「愛しているから感じる。バグなんかじゃないよ……。莉子。おいで」
言われるからその胸に飛び込む。……この匂いも存在も、なにもかもが好き。
うるんだ瞳で見つめるその在り方も。わたしの髪を撫でるやさしい手つきも。抱き締めるぬくもりも。……ねえ課長。天国がこんな身近にあるだなんて、教えてくれて、ありがとう……。
「莉子。重いんだったら、八つ当たりしてくれたっていいんだよ? おれはそのために来ている……」
「やだ。八つ当たりだなんて……」
ぽんぽん、と頭を撫でる課長の手つきはどこまでもやさしい。父親のような穏やかな眼差しで、そっとわたしを抱き寄せると、
「……ふふ。すげえ、莉子、どきどき言ってんのな……」
「課長のほうこそ」
「――舐めたい。駄目?」
「駄目。駄目です……」
「だっておっぱいこんなとんがってんよ?」
「駄目……あああ、摘まむのとか、もう本当……!」
やさしくわたしを押し倒す課長の目に野性が光っていた。――それを見るともう、……抗えない。
「もう。好きにしていいよ……。でも、おっぱいだけだからね? おっぱい以外は駄目だからね?」
念押しをすると課長は嬉しそうにわたしを脱がせ、そして、わたしの感じやすすぎるそこにむしゃぶりついた。
「莉子のここ。あっま……」
*
後ろから激しく乳房を揉みしだかれる、わたしはこれに弱い。しかも――湯船のなかにあっては。
「へへ……莉子のおっぱい、どんどんびんびんになってる……。こっちはどうかな?」
「――や。あああ……っ」
「どろっどろのぬっちゃぬちゃじゃん……」べろべろとわたしのうなじを舐める課長は、「すんごい莉子ちゃん……。ねえ、どっち舐めて欲しい? 莉子ちゃん、舐めて貰うの大好きでしょう……?」
「ひぁ……っ、課長、指、指……!」
「莉子ちゃんがあんまりにもとろっとろなもんでさぁ……。我慢出来なかったんだよ……」言って指を押し込む課長。――ああ、もう。
全部いっぺんにやって貰えたらいいのに。
おっぱい舐め舐め。あそこを舐め舐め。乳房を揉み揉み。そして――ペニスでぐちゅぐちゅ。
課長に触られると一定の満足感を得られるものの、早く――串刺しにして欲しいという焦燥と、とめどなく体内を流れる快楽の渦――に巻き込まれる羽目となる。
「ふふ……ぎゅうぎゅう締め付けちゃって。莉子ちゃん。気持ちいい?」ぐ、ぐ、と指を押し込む課長は笑いをはらんだ声で、「いっぺん、指で激しくいっちゃって、すっきりしようか……莉子ちゃん」
課長の言うことに外れはない。基本的に。彼は……わたしの知らないわたしのことまでを熟知しているのだ。
課長と出会うまで知らなかった性の味が、わたしのほうを手放そうとはしない。決して。
指でわたしを導いた課長は、それだけでは足らず――ざぶりと、わたしのウエストを支えると、わたしを浴槽の淵に座らせ、壁に寄りかからせ、股を開くと――
「ひぁ……っ、ああっああ……っ」わたしは課長の肩に手を添えて叫んだ。「駄目……舐めないで……そこ、そこ……っ。声、出ちゃう……。おっきな声、出ちゃう……」
唇を噛み締めるわたしの髪を撫でると課長は、短くわたしに口づけ、
「莉子ちゃんのえっちな声、いっぱい聞かせて……」
生理の日と、時々月曜日だけわたしはマンションでひとり。復縁して以来、普段は課長のマンションで過ごすようにしているのだが、明けて火曜日ともなると課長の性欲はものすごい。いやいつもすごいのだけれど。――課長は、出社する前に、掛布団をベランダに干すと、お気に入りのあのベッドのうえにタオルケットを敷く。それが……なにを意味するのかは瞭然だ。
どうやらわたしは水気の多い女らしく。すごく……濡れる。特に、課長の舌で舐められると尋常じゃない量を出す。……勿論、課長のお陰で潮吹きと呼ばれる現象も経験済みで。そう、課長に愛された初日に起きた現象だ。
というわけで、わたしたちの生活にはタオルが必須。洗濯物の処理をするときに、あの行為を思い返し、子宮が疼く。淫乱なわたし。
感覚が、馬鹿になったみたいで。狂いそうなほどに課長を愛している。これが――愛なのか。生きる意味なのだろうか。わたしに、生きる意味を教えてくれた課長には感謝をしている。――女は、愛されることで花開く性別なのだ。
たっぷり風呂場にてわたしの蜜をすすりあげた課長は、濡れた唇でわたしにキスをして、ぐったりと動けないでいるわたしを手早くタオルで拭くと――また、別の舞台へと連れていく。
「風呂場でバックってのも燃えるんだけど。いまは……莉子を味わいたいな……」
言って課長はわたしをベッドに寝かせると足を開かせ、ためらいもなく顔を突っ込む。……男の人ってこんなにこれが好きなの? それとも課長が異常……いや、異常なのはわたしだ。
顔を見ただけで、濡れる。キスをしただけで到達。胸なんか触られたときには目の前に火花が散る。手を握るだけで、足元が崩れそうになる。荒石くんの手を握ったときなんか、なんにも感じなかったのに……。
わたし、性欲のお化けなのかもしれない。課長という、魔性の存在によって作り替えられた悪魔。普段は……会社にいるときは、課長と同じで、わたしもそれ用の仮面をつけるようにしているけれど。こうして偽りの仮面を脱ぎ捨てたこのマンションの一室にて、わたしは本能を剥き出しにする。
「ああ。課長……。――いく。また、いっちゃう……!」
身をよじらせるとわたしは高みへと導かれた。課長がそれで終わるはずがなく。ベッドサイドに常備してあるそれを取り出す、その音だけでわたしはどうしようもなく濡れる。
「……おれはひどい男だから」と、課長はわたしの濡れた頬に触れ、「いっている最中の莉子ちゃんを、どこまでも……追い込んであげる。
もう無理、って言っても――離しやしないから」
そして、わたしは課長の作り上げる、愛情という牢獄のなかで、獰猛な愛欲と化す。――こんな自分、知らない。誰だろう、とわたしは思う。こんなに――感じて。淫らに、溺れて。泣いて……。
激しい腰使いのなか、しっかりとわたしは課長の背に足を絡めた。振り落とされないように――置いてきぼりにされないように。この想いから……。
課長がわたしのなかに射精すると、何故だか、いつものようにぼろぼろと涙がこぼれた。――自分が、あるべき場所に戻ってきたような、そんな感覚。――教えてくれたのは他の誰でもない。あなただけなんだよ……課長。
「課長……好き。愛して、る……」
泣きながら想いを伝えるわたしの涙を吸い取る課長の唇が愛おしい。ふるえながら、わたしはその唇に手を伸ばし、
「気持ち、い……」
涙にむせびながら、暴力的なまでの愛を表現する器と化した。
* * *
翌朝。
「あっちゃー」
とトイレにて一声を出す。……赤い染みがついている。残念。いえ、ちゃんと来るべきものが来るのはいいことなのだけれど……。
課長とえっちが、出来ない。
こういうとき、わたしはむらむらしちゃうのも辛いので、自分のマンションにお泊りするようにしている。……のだが、課長がどうするかについては、後述する。
トイレを出ると、わたしは、キッチンでスクランブルエッグを作っている課長に声をかけた。
「あの。課長。……残念なお知らせが」
「なんだろう。PUFFYが解散とか?」
「いえもっとありきたりで非常に……残念なお知らせがありまして」
「ふむ。話を聞こう」手早くフライパンからスクランブルエッグを大皿に移す課長はわたしに目を向け、「あ。危ないからそっち座ってて。洗ったらそっち行くから」
「……はい。分かりました」
* * *
「どうして女のひとって月に一回必ずきっかり来るんですかね。……正直、恨めしいです……」
「いや。ちゃんと来るのはいいことなんだよ? 莉子が健康であることの証だし……。それで。じゃあ、今夜きみは自分のマンションに戻るんだよね?」
「言っておきますけど。課長……来ちゃ、駄目ですよ?」とわたしは念を押す。「知ってますか? わたし、……会社以外で課長の姿見かけると欲情してはむはむしたくなっちゃうケダモノなんで。怪物なんで。性欲のお化けなんで。……我慢するの結構辛いんですよ……」
「うん。分かった」――という課長は絶対分かっていない。どうせ今夜、課長はうちに来るのだ。
* * *
大型連休を目前にして、来てくれてよかったと思うのが正解かもしれない。――とわたしは、自分のマンションで味噌汁を作りながら思う。
GWは、ふたりで勿論ラブラブ。それからいよいよ、うちの両親に挨拶に行くのだ。実は、もっと前に行こうとは思っていたのだけれど、わたし的には、行くのなら先に課長のご家族に挨拶をしたかったし(課長は順番なんか気にするなと言ってくれたけど、そうはいってもね?)、それに、うちの父は、自分に内緒で物事を進められるのがとことん嫌いなタイプだから……母一人のときに紹介するわけにもいかず。こうしてずるずると伸びてしまったわけだ。
――結婚。
あまやかな単語に、胸が高鳴る。……ああ、課長と結婚……! いったいどんな幸せな未来が待っていることだろう。
課長が、好き。
どうしようもないほどに……好き。
こんなに好きになれるひとに出会えるのなんか初めて。一生分の恋を、している……。わたしきっと、課長に愛されるために生まれてきたんだ。課長を愛するために……。
幸せで胸がいっぱいになってしまうのも、課長と出会って初めて経験する出来事で。ひとり、味噌汁とご飯を食べていると予想通り、玄関のチャイムが鳴った。
「はーい」とわたしが答えると、なにやらケーキ箱を手にした課長がやってきた。
「シュークリーム買ってきた。食べない?」
* * *
「おっぱい触るのとか……駄目?」
「駄目です」
「キスとか……ハグとか。ぎゅっぎゅとか。ぬくぬくとか。それも……駄目?」
「駄目です」とわたしは言い切る。「課長には女の生理のことは分からないかもしれませんが。……まあわたしはそんなに酷いほうではないんですが。重い子だと、地面に這いつくばって、痛いー、って絶叫する女の子とかいるんですよ?」高校時代に見かけた女の子の姿をいまだ、忘れられない。元気にしているといいのだが。
「だからわたし……ひとりで過ごそうって思ったのに……。課長ったら。いつもわたしの邪魔をするんですから……」
「おれさぁ。きみと離れた時期があったろ?」とシュークリームにかぶりつく課長は、「あれ経験してさ。まじで地獄でさ……。本当に辛かった。死ぬかと思った。あれがあったからこそ、おれは……出来るだけきみの傍にいる。そう、胸に誓ったんだ。
独りよがりで迷惑かけてたら……ごめんな?」
「いえそんな……」きゅん。と子宮が疼く。このひとの殊勝な顔を見ると子宮が収縮するように、わたしのからだは出来ている。「課長というより、むしろ、わたし自身の問題なので……。プライベートで課長の顔を見ると、欲情するように出来ている、わたしという人間のシステムエラー……バグのようなものでしょうか」
「愛しているから感じる。バグなんかじゃないよ……。莉子。おいで」
言われるからその胸に飛び込む。……この匂いも存在も、なにもかもが好き。
うるんだ瞳で見つめるその在り方も。わたしの髪を撫でるやさしい手つきも。抱き締めるぬくもりも。……ねえ課長。天国がこんな身近にあるだなんて、教えてくれて、ありがとう……。
「莉子。重いんだったら、八つ当たりしてくれたっていいんだよ? おれはそのために来ている……」
「やだ。八つ当たりだなんて……」
ぽんぽん、と頭を撫でる課長の手つきはどこまでもやさしい。父親のような穏やかな眼差しで、そっとわたしを抱き寄せると、
「……ふふ。すげえ、莉子、どきどき言ってんのな……」
「課長のほうこそ」
「――舐めたい。駄目?」
「駄目。駄目です……」
「だっておっぱいこんなとんがってんよ?」
「駄目……あああ、摘まむのとか、もう本当……!」
やさしくわたしを押し倒す課長の目に野性が光っていた。――それを見るともう、……抗えない。
「もう。好きにしていいよ……。でも、おっぱいだけだからね? おっぱい以外は駄目だからね?」
念押しをすると課長は嬉しそうにわたしを脱がせ、そして、わたしの感じやすすぎるそこにむしゃぶりついた。
「莉子のここ。あっま……」
*
0
あなたにおすすめの小説
エリート御曹司は傷心の彼女に溢れる深愛を甘く刻み込む
松本ユミ
恋愛
旧題:君に捧げる一途な愛~御曹司は傷ついた彼女を守りたい~
木下志乃は付き合っていた彼氏を妹に奪われた過去があり、恋愛に消極的になっていた。
ある日、志乃と同じ会社で働いている無口で堅物と言われている経理部課長の小笠原政宗と知り合う。
いろんな偶然が重なり、一緒に過ごす機会が増えた志乃と政宗。
次第に政宗のことが気になり始めるけど、元カレの裏切り行為に心に傷を負った志乃はどうしても一歩踏み出せずにいた。
そんな志乃を「誰よりも大切にする」と言って政宗は一途な愛で包み込み、二人の距離は縮まっていく。
だけど、ひょんなことから政宗がとある会社の御曹司だと知った志乃。
政宗本人からそのことを聞かされていない志乃はショックを受けてーーー。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です!
https://estar.jp/novels/26513389
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
鬼上官と、深夜のオフィス
99
恋愛
「このままでは女としての潤いがないまま、生涯を終えてしまうのではないか。」
間もなく30歳となる私は、そんな焦燥感に駆られて婚活アプリを使ってデートの約束を取り付けた。
けれどある日の残業中、アプリを操作しているところを会社の同僚の「鬼上官」こと佐久間君に見られてしまい……?
「婚活アプリで相手を探すくらいだったら、俺を相手にすりゃいい話じゃないですか。」
鬼上官な同僚に翻弄される、深夜のオフィスでの出来事。
※性的な事柄をモチーフとしていますが
その描写は薄いです。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる