4 / 8
第四章 募る想い
しおりを挟む
ハナは、
ユナを抱き締めたときに感じた動揺を隠して、
多少ドギマギしつつも、
平静を装って、いつものようにユナを家に招いた。
ユナがハナの部屋で遊ぶことはもはや日常となっていた。
ハナが小学校から帰ってきた時から夕食時まで、
ユナはハナの部屋で漫画を読んだり、
お菓子をご馳走になったりして過ごすことができた。
◇ ◇ ◇
ハナは表向きはお嬢様だが、
両親に隠れてお小遣いで少年誌を買っていた。
鍵のかかる机に少年誌を忍ばせ、
両親に見つからないように鍵をかけていた。
ハナは学習机の鍵を財布から取り出し、
鍵を開けて少年誌を出した。
主人公のサッカー部の男の子が、
部活のマネージャーに恋をしている漫画を読んで、
男の子に自分を重ね、
部活のマネージャーにユナを重ねて、
漫画を読みながら空想に耽った。
ユナの表情、感触が、四六時中、頭から離れない。
登校時、
ユナの背中をポンと軽くたたいたり、
ユナの頭をナデナデしたり、
必ず1日1回はさりげなくボディタッチをするようになった。
その都度ユナは、
照れくさそうにやや顔を赤らめて笑顔になるのだった。
そのことが、どれほどハナを幸福感で満たしたことか。
そして、どれほどユナに、温かみのある安心感を与えたことか。
「買い物に行くから留守番頼んだわよー」
「はーい。いってらっしゃーい」
2人で留守番をすることも多くなっていった。
ユナの母親がスナックで働いている夜は、
父親がすぐに寝てしまうので、
ユナも寝られるが、
夫婦喧嘩が始まると、うるさくて眠れず、
夕方の時間帯に眠くなり、
ハナのベッドで寝てしまうこともしばしばあった。
この日もユナは漫画を読みながら、寝落ちしてしまった。
ハナがタオルケットを掛けた後、
ユナは可愛い寝息をたてて、眠った。
◇ ◇ ◇
道路に軽石で絵を描いている、幼くて可愛いユナ。
幼いのだから、いろいろと可愛いに決まっている。
しかし、ハナはただ単に
ユナが幼女だから可愛いと感じるわけではない。
左右対称ではない目、茶色に輝く髪、かなり白い肌…。
ユナの個性が、ハナにとっては唯一無二であり、
自分の一生を賭けて、ユナを守り通したい、
幸せにしたい、愛し抜きたい、という熱い想いが、
とめどなく溢れてくるようになっていた。
ハナのユナに対する想いは募る一方であった。
車に轢かれないように抱き締めて以来、
自分の伴侶にしたい人となったユナ。
ユナを幸せにしたい。
自分が男性であったなら、ユナを女性として愛するのに。
もちろん、ユナに告白できるわけもない。
可愛い、ユナ。
苦しい。
毎晩ユナの家の灯を、自分の部屋の窓から眺めていた。
ハナはユナに恋をしていた。
ユナを抱き締めたときに感じた動揺を隠して、
多少ドギマギしつつも、
平静を装って、いつものようにユナを家に招いた。
ユナがハナの部屋で遊ぶことはもはや日常となっていた。
ハナが小学校から帰ってきた時から夕食時まで、
ユナはハナの部屋で漫画を読んだり、
お菓子をご馳走になったりして過ごすことができた。
◇ ◇ ◇
ハナは表向きはお嬢様だが、
両親に隠れてお小遣いで少年誌を買っていた。
鍵のかかる机に少年誌を忍ばせ、
両親に見つからないように鍵をかけていた。
ハナは学習机の鍵を財布から取り出し、
鍵を開けて少年誌を出した。
主人公のサッカー部の男の子が、
部活のマネージャーに恋をしている漫画を読んで、
男の子に自分を重ね、
部活のマネージャーにユナを重ねて、
漫画を読みながら空想に耽った。
ユナの表情、感触が、四六時中、頭から離れない。
登校時、
ユナの背中をポンと軽くたたいたり、
ユナの頭をナデナデしたり、
必ず1日1回はさりげなくボディタッチをするようになった。
その都度ユナは、
照れくさそうにやや顔を赤らめて笑顔になるのだった。
そのことが、どれほどハナを幸福感で満たしたことか。
そして、どれほどユナに、温かみのある安心感を与えたことか。
「買い物に行くから留守番頼んだわよー」
「はーい。いってらっしゃーい」
2人で留守番をすることも多くなっていった。
ユナの母親がスナックで働いている夜は、
父親がすぐに寝てしまうので、
ユナも寝られるが、
夫婦喧嘩が始まると、うるさくて眠れず、
夕方の時間帯に眠くなり、
ハナのベッドで寝てしまうこともしばしばあった。
この日もユナは漫画を読みながら、寝落ちしてしまった。
ハナがタオルケットを掛けた後、
ユナは可愛い寝息をたてて、眠った。
◇ ◇ ◇
道路に軽石で絵を描いている、幼くて可愛いユナ。
幼いのだから、いろいろと可愛いに決まっている。
しかし、ハナはただ単に
ユナが幼女だから可愛いと感じるわけではない。
左右対称ではない目、茶色に輝く髪、かなり白い肌…。
ユナの個性が、ハナにとっては唯一無二であり、
自分の一生を賭けて、ユナを守り通したい、
幸せにしたい、愛し抜きたい、という熱い想いが、
とめどなく溢れてくるようになっていた。
ハナのユナに対する想いは募る一方であった。
車に轢かれないように抱き締めて以来、
自分の伴侶にしたい人となったユナ。
ユナを幸せにしたい。
自分が男性であったなら、ユナを女性として愛するのに。
もちろん、ユナに告白できるわけもない。
可愛い、ユナ。
苦しい。
毎晩ユナの家の灯を、自分の部屋の窓から眺めていた。
ハナはユナに恋をしていた。
0
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
私たちの離婚幸福論
桔梗
ファンタジー
ヴェルディア帝国の皇后として、順風満帆な人生を歩んでいたルシェル。
しかし、彼女の平穏な日々は、ノアの突然の記憶喪失によって崩れ去る。
彼はルシェルとの記憶だけを失い、代わりに”愛する女性”としてイザベルを迎え入れたのだった。
信じていた愛が消え、冷たく突き放されるルシェル。
だがそこに、隣国アンダルシア王国の皇太子ゼノンが現れ、驚くべき提案を持ちかける。
それは救済か、あるいは——
真実を覆う闇の中、ルシェルの新たな運命が幕を開ける。
もう散々泣いて悔やんだから、過去に戻ったら絶対に間違えない
もーりんもも
恋愛
セラフィネは一目惚れで結婚した夫に裏切られ、満足な食事も与えられず自宅に軟禁されていた。
……私が馬鹿だった。それは分かっているけど悔しい。夫と出会う前からやり直したい。 そのチャンスを手に入れたセラフィネは復讐を誓う――。
転生『悪役』公爵令嬢はやり直し人生で楽隠居を目指す
RINFAM
ファンタジー
なんの罰ゲームだ、これ!!!!
あああああ!!!
本当ならあと数年で年金ライフが送れたはずなのに!!
そのために国民年金の他に利率のいい個人年金も掛け、さらに少ない給料の中からちまちまと老後の生活費を貯めてきたと言うのに!!!!
一銭も貰えないまま人生終わるだなんて、あんまりです神様仏様あああ!!
かくなる上はこのやり直し転生人生で、前世以上に楽して暮らせる隠居生活を手に入れなければ。
年金受給前に死んでしまった『心は常に18歳』な享年62歳の初老女『成瀬裕子』はある日突然死しファンタジー世界で公爵令嬢に転生!!しかし、数年後に待っていた年金生活を夢見ていた彼女は、やり直し人生で再び若いままでの楽隠居生活を目指すことに。
4コマ漫画版もあります。
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる