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第八章 永遠
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「…ニャ?」
寝そべっていた子猫が、目を開けた。
(ここは、…家の近所の公園?)
辺りを見回す。
(公園の木…公園の回旋塔…で、でも、随分大きいな)
(私、さっき、「ニャ」って言った…え…何が起きているの?)
ふと、自分の手を見た。
(えええっ!白い毛がフサフサ生えてる!)
ユナは子猫になっていた。
美しく可愛い雌の白い子猫になっていた。
ユナは白い子猫に転生したのだ!
子猫になったユナは、とてもお腹がすいていた。
しかしそれよりも…。
(ここが近所の公園、ということは…ハナの家にもここから行かれるはず!)
「グルルルル…」
左前方を見ると、ユナより少し大きな三毛猫が、
ユナを凝視して喉を鳴らしていた。
(逃げなきゃ!)
白い子猫になったユナは、必死に逃げた。
一目散に、全速力で、ハナの家めがけて駆けていく。
ハナの家の生け垣の裏の植木に身を寄せ、
隙間から道路を見ると、
追ってきた三毛猫が通り過ぎていくのが見えた。
(もう大丈夫だわ)
幸い、天気が良かった。
かなり明るいので、今は昼下がりだろう。
(そろそろ、ハナが家に帰ってくる頃だわ)
「ニャー、ニャー」
ハナの家の玄関前で、ユナは鳴いた。
「ニャー」
ハナは、ユナが亡くなったショックで、
まだ高校に登校できず、家に居た。
「あら、猫が鳴いてる。玄関の方かしら」
一人で留守番をしていたハナは、玄関を開けた。
「ニャー!」
「…あら、子猫。まあ…なんて可愛いの…」
色が真っ白な子猫だった。
左右の瞳の色が違う。
左目がブルー、右目がグリーンのオッドアイだ。
ハナは、考える間もなく、白い子猫を抱き上げていた。
大きく口を開けた笑顔の瞳から、大粒の涙が溢れ、流れた。
この白い子猫は、きっとユナの生まれ変わりに違いない!
ハナは、白い子猫を優しく抱き締めた。
ハナは早速、両親に
この白い子猫をどうしても飼いたいと頼んだ。
すぐに認めてもらえた。
ハナは、白いオッドアイの子猫に『ユナ』と名付けた。
◇ ◇ ◇
2年後、ユナの養父は酒酔い運転で事故死した。
親戚も元妻も葬式を執り行なわず、もちろん墓もない。
遺体は警察の遺体処理班が処分した。
◇ ◇ ◇
ユナはハナの部屋の中で飼われることになった。
高校に行く前に、ユナが寒いといけないので、
エアコンを消すことはなかった。
暗くなる前に帰宅し、勉強中もユナを膝に乗せていた。
眠るときは、
ユナが布団の中にモソモソと入ってきて、一緒に寝た。
ハナは、ユナと一緒に居られる限り一緒に居て、
可愛がれるだけ可愛がった。
ありったけの無償の愛を
注ぐことができる幸せを噛みしめていた。
天気の良い日曜日には、
ユナに暖かい毛糸で編んだ洋服を着せて、
公園に散歩に出かけた。
もちろん、リードなどつけずに。
ユナはハナの傍らを離れず、チョコチョコついてきた。
ユナがリュックに入って、顔だけ出していることもあった。
すれ違った女の子たちが
「きゃーっ、可愛い!」
と黄色い声を出して、ユナを愛でることもあった。
ユナと一緒に居るハナを、幸福感が満たした。
木漏れ日が、チラチラと揺れ動いて、眩しかった。
太陽は、ハナとユナを照らす光を、惜しみなく注いだ。
眩しい光に照らされたユナのオッドアイを見つめながら、
ハナがつぶやいた。
「ユナが大きくなっても、これからもずっとずっと一緒だよ」
完
寝そべっていた子猫が、目を開けた。
(ここは、…家の近所の公園?)
辺りを見回す。
(公園の木…公園の回旋塔…で、でも、随分大きいな)
(私、さっき、「ニャ」って言った…え…何が起きているの?)
ふと、自分の手を見た。
(えええっ!白い毛がフサフサ生えてる!)
ユナは子猫になっていた。
美しく可愛い雌の白い子猫になっていた。
ユナは白い子猫に転生したのだ!
子猫になったユナは、とてもお腹がすいていた。
しかしそれよりも…。
(ここが近所の公園、ということは…ハナの家にもここから行かれるはず!)
「グルルルル…」
左前方を見ると、ユナより少し大きな三毛猫が、
ユナを凝視して喉を鳴らしていた。
(逃げなきゃ!)
白い子猫になったユナは、必死に逃げた。
一目散に、全速力で、ハナの家めがけて駆けていく。
ハナの家の生け垣の裏の植木に身を寄せ、
隙間から道路を見ると、
追ってきた三毛猫が通り過ぎていくのが見えた。
(もう大丈夫だわ)
幸い、天気が良かった。
かなり明るいので、今は昼下がりだろう。
(そろそろ、ハナが家に帰ってくる頃だわ)
「ニャー、ニャー」
ハナの家の玄関前で、ユナは鳴いた。
「ニャー」
ハナは、ユナが亡くなったショックで、
まだ高校に登校できず、家に居た。
「あら、猫が鳴いてる。玄関の方かしら」
一人で留守番をしていたハナは、玄関を開けた。
「ニャー!」
「…あら、子猫。まあ…なんて可愛いの…」
色が真っ白な子猫だった。
左右の瞳の色が違う。
左目がブルー、右目がグリーンのオッドアイだ。
ハナは、考える間もなく、白い子猫を抱き上げていた。
大きく口を開けた笑顔の瞳から、大粒の涙が溢れ、流れた。
この白い子猫は、きっとユナの生まれ変わりに違いない!
ハナは、白い子猫を優しく抱き締めた。
ハナは早速、両親に
この白い子猫をどうしても飼いたいと頼んだ。
すぐに認めてもらえた。
ハナは、白いオッドアイの子猫に『ユナ』と名付けた。
◇ ◇ ◇
2年後、ユナの養父は酒酔い運転で事故死した。
親戚も元妻も葬式を執り行なわず、もちろん墓もない。
遺体は警察の遺体処理班が処分した。
◇ ◇ ◇
ユナはハナの部屋の中で飼われることになった。
高校に行く前に、ユナが寒いといけないので、
エアコンを消すことはなかった。
暗くなる前に帰宅し、勉強中もユナを膝に乗せていた。
眠るときは、
ユナが布団の中にモソモソと入ってきて、一緒に寝た。
ハナは、ユナと一緒に居られる限り一緒に居て、
可愛がれるだけ可愛がった。
ありったけの無償の愛を
注ぐことができる幸せを噛みしめていた。
天気の良い日曜日には、
ユナに暖かい毛糸で編んだ洋服を着せて、
公園に散歩に出かけた。
もちろん、リードなどつけずに。
ユナはハナの傍らを離れず、チョコチョコついてきた。
ユナがリュックに入って、顔だけ出していることもあった。
すれ違った女の子たちが
「きゃーっ、可愛い!」
と黄色い声を出して、ユナを愛でることもあった。
ユナと一緒に居るハナを、幸福感が満たした。
木漏れ日が、チラチラと揺れ動いて、眩しかった。
太陽は、ハナとユナを照らす光を、惜しみなく注いだ。
眩しい光に照らされたユナのオッドアイを見つめながら、
ハナがつぶやいた。
「ユナが大きくなっても、これからもずっとずっと一緒だよ」
完
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