親友をセフレにする方法

藍栖 萌菜香

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38-ゆっくり繋がるのもいいでしょう。

 手が大きな大悟は、当然、指も太くて長い。同じ指四本でも、俺のよりずっと存在感があった。右手の二本と左手の二本。それを左右にそっと拡げられて、内側の粘膜が空気に触れる。空気が体温を奪った分だけ、熱くなっていた皮膚にサアッと鳥肌が立っていった。

 その感覚ですら気持ちいい。けど、もう喘ぎらしい喘ぎも出なかった。熱っぽい吐息だけがシーツの上を滑っていく。
 身体のどこにも力が入らない。ときおり崩れる尻を高い位置に直されながら、シーツにしがみつくうつ伏せの格好で、ただ大悟にされるままでいた。

 大悟はなんでも知ってた。アナルをほぐす手順も、俺が教える必要はないほどに。逆に、前立腺の奥にあったあの小さなこりこりは「たぶん精嚢だ」と教えられた。
 確かに、昔から黙々と独学するヤツではあったけどな。何もこんなことまで、と、ついつい呆れてしまう。

 でも、やはり独学だ。経験がない分だけ慎重になりすぎる。
「だいご、も、いい。平気だから」
 もう何度目かのお誘いを繰り返す。そのたびに「もう少し」といって退けられた。今回も同様らしく、アナルの拡張作業が終了される様子はない。

 一昨日の夜、大悟に抱かれたばかりだし、その前だってアナニーをほぼ毎晩繰り返してた。そこまで丁寧に解さなくても大丈夫なはずなんだ。
 大悟のペニスはかなり大きいから、受け入れるのはそれなりに苦しいかもしれないけど、俺の身体がちゃんと覚えてる。大悟とのセックスは、苦しくても気持ちいい。少しくらい乱暴にされたって構わないのに。

 実際には、慎重な大悟のおかげで、身体の準備はもう整っていた。
 括約筋周辺はすでに大悟の指に従順で、ふいの刺激に戦慄くことはあっても、きつく引き絞るような反応はしない。ちゃんと口をあけて、ご褒美はいまかと待ちかねていた。

 その少し奥にある前立腺は、触られたがって疼きっぱなしだ。ときどき潜り込んでくる指先を腰が追いかける以外には、ただひたすらに悶々とするほかなかった。
 さらにその向こうの……大悟に教えられた精嚢という場所は、以前ならその存在も知らなかったのに、いまではジンジンと腫れぼったくその小さな存在を主張している。


 はやく、大悟がほしい。
 大きなそれで奥をみっしりと塞がれながら、ぎゅうっと強く抱き締められたら、きっとどんなにかイイだろう。想像しただけで胸の奥がきゅんとざわめく。

 少し前なら、身体が受け取る快感のみに思いを馳せて、落ち着きなくただそわそわしてただけだと思う。でもいまは、身体への期待にも増して、心をひたひたに満たしてくれるに違いない喜悦への想望で胸が詰まりそうだった。

 大悟とちゃんと繋がりたい。前回みたく、無自覚な恋心を抱えたままじゃなく。セフレでもない、ちゃんとした恋人として、もう離さなくてもいい手をしっかりと繋ぎたい。
 手も足も解けないほどに絡め合って、唇も性器も溶けそうなほど、深く、強く。大悟が俺に、俺が大悟に結ばれてんるだと、身体の真ん中で感じたい。大悟の奥深くに触れていいのは俺だけだし、俺に奥に触れていいのも大悟だけだ。
 はやく触れてよ。俺の心の、もっとずっと奥にまで……。

「おくが、」
「奥?」
 無自覚だった。大悟に繰り返されて、初めて自分の口からそんな言葉がこぼれていたと知らされた。
「奥が、どうしたんだ?」
 大悟に重ねて問われても、何がどうしてそんなことを言ったのか、自分でもよくわからない。おくが、おくがどうしたんだっけ?

「おくが」
「ん?」
「……さみしい」
 やさしく促されて、素直な気持ちがポロリとこぼれた。
 そうだ。俺、さみしいんだ。おくがさみしい。ずっと待ってる。確かめたくて、確かめてほしくて、俺のおくにはやく触れてと、ずっと待ってるのに。

 背後から「ぐ、」と喉奥に何かがつかえたような、くぐもった音がした。
「わかった。じゃあ、いれるけど、痛かったら教えて」
 大悟の観念したような声に続いて、アナルからそっと指が抜かれる。間を置かずに、ゆるゆると閉じていくアナルに滑りを帯びた熱いものがあてがわれた。


「あ、あ……あぁ、……」
 はいってくる。尻たぶを鷲掴みにした大きな手が、それを左右に広げてアナルをひらく。ぽっかりあいたその隙間に大悟のペニスが埋められていく。

 丸い亀頭、張り出したカリ、段差のあるカリ首を越えて、太く力強い胴まで。これだけほぐれていれば、ぬるんと勢いよく入り込んできても良さそうなものだけど、粘度の強いワセリンのせいだろうか。大悟のペニスにみちりと塞がれたアナルが、その動きに肉ごと持っていかれるみたいにぴたりと吸いついて、何がどこまで入ったのか、逐一生々しく感じとれた。
 それが、すごくきもちいい。

「は、あぁ」
 慎重な大悟は、一度に深くは入ってこない。大悟の指が届かない奥のほうは、まだひらいてないから。
 でも、それでもじゅうぶん……。
「あ、ふ、きもち、いぃ」
 待ち侘びていたものをついに手にしたアナルが、硬いペニスに擦られた先からとろとろと蕩けていく。もともとくたりと力の抜けていた身体だったけど、もうどこにも力が入らない。

「気持ちいい? どこ?」
 勉強熱心な大悟が、俺のなかの反応した箇所を探してる。もうどこをどう擦られても、大悟を挿れられてるだけで気持ちがいいのに。
「ここか?」
 そう言いながら掴まれた腰を後ろへ引かれ、頼りない腕で四つん這いにさせられた。

「あっ、ああっ」
 ペニスの先でぞろりと撫でられたのは、大悟との前のセックスで激しく抉られた場所だ。あのときは身体を二つに折りたたまれたところを上から突き刺すようにされて、痛いとか気持ちいいとかよりも惑乱のほうが強かった。
 それを、今度はゆっくりと、加減しながら撫でられる。ごりごりと刮ぐような感覚は同じでも、わずかな痛みがむしろ気持ちよかった。


「いぃ、そこ、いぃー」
 よほど腑抜けた声を出していたらしい。大悟に感心したような口調で「バック、好きなんだ?」と訊かれてしまった。
 どうだったかな。あんなにも必要としてたはずなのに、ほかの男たちとのセックスはもうほとんど印象に残っていない。

「バックは、あまり好きじゃなかったかも」
「え?」
「視界の外で好きにされるのかと思うと、なんか、怖くて」
 そうだ。それで、あえて自分から挑むようなセックスばかりしてた気がする。

「そうなのか。じゃあ、体位変えるか?」
「ううん、平気。大悟になら、なにされても……きっと気持ちよくなる」
 こうして背中を預けて、すべてを任せてしまえるのは、これまでも、これからも、たぶん大悟だけだ。

「ゆきなり、」
 うなじにキスが落とされる。そのまま長い腕をひとつまわされて、ゆるゆると抱き締められた。大きな手がさわさわと皮膚の上を滑っていく。やっぱり、何をされても気持ちがいい。

「あっ、ああッ、だめ、そっちのちくび、さわんないで」
 大きな手に辿り着かれたその先で、走った鋭い刺激にびくりと身体が大きく揺れた。
「痛い?」
 まだ赤く腫れたままだけど痛いわけじゃない、気持ち良すぎるだけなんだと言おうとしたけど、それは叶わなかった。

「じゃあ、こっちな」
 と言って、大悟の手が俺のペニスへと伸びてきたから。
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