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18 【ダメ見本】キレちゃいけません。
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手を伸ばす間もなかった。
ガウンの襟が引っ張られたかと思ったら、次の瞬間にはその襟を掴み縋っていた幸成の手がするりと解け、倒れた背中がベッドへ沈むのと同時にその手もシーツの上にぱたりと落ちた。
ぺニスが強く引き倒されるのを感じたときには、慌てて幸成の動きに合わせて体勢を変えたが、それでも強い刺激は免れなかっただろう。
ドライの高みから引き摺りおろしてしまったかと幸成の様子を見てみれば、きつく眉を寄せているわりに、伏せた睫毛の先も赤らんだ頬もいっそう艶々と輝いていた。さらには、唇までが「あ」のかたちのまま声にならない嬌声をあげているようだった。
手のなかに納まったままの細い腰も、さっきより痙攣をキツくしてガクンガクンと揺れている。
よかった。ドライの邪魔をせずに済んだようだ。いやむしろ、いまの刺激で深く強い域まで達したんじゃないだろうか。
ドライオーガズムをこよなく愛する幸成だが、それでもここまで深いドライに達することはそうそうない。
幸成がドライを思うさま堪能できるのは嬉しかった。たとえ、痙攣の酷くなったアナルに、すでに限界ラインを何重にも突破しているぺニスをさらに絞られることになっていてもだ。
しかし、これはキツい。もはや拷問だ。
さっきの体位変換に紛れて、また少し何かが漏れてしまったんだろうか。アナルの痙攣に合わせてしゃぶられている亀頭の先が、ちゅぷちゅぷと激しい水音を立てているような気がしてならなかった。
ああ、いますぐ幸成の奥の奥まで腰を突き入れて、暴れてしまいたい。ローションだか先走りだかわからないこの粘液を思いきり攪拌して、そこへ重たい精液を放って幸成のなかを満たしたかった。
堪えても抑えても湧き上がってくるそんな欲望に顔がこわばる。これ以上、意思の力で制御できる自信など微塵もなかった。
それでも幸成のためだ。どうにかして制御してやりたい。だから、意識を集中したいのに。
「……むらや、くん……?」
くそッ。日向が幸成を見つめてやがるっ。
突然幸成が目の前に倒れてきて驚いたのか、日向は呆然としていた。この様子じゃきっと、小さな掠れ声で幸成に呼びかけた自覚もないだろう。
呼ばれた当の幸成も快感の高波に呑み込まれているせいか、日向に見つめられていることにさえ気づいていなかった。目を閉じたまま、返事どころか反応もない。
日向は幸成の顔へ一心に注目していたが、いつ幸成の全身に視線を流すかわからない。もし、いまの幸成の有り様を目にされてしまったら、今度こそ日向を睨み殺しかねなかった。
幸成のガウンはすっかり乱れて、その役目をまるで果たしていない。ドライのせいで汗が浮き桃色に染まった胸元や、俺が乱暴にしたせいで赤く腫れた乳首が隠すものもなく晒されている。
それだけじゃない。咄嗟にとった体位のせいで、幸成の腰は半端に膝立ちになった俺の腿の上へと乗りあがり、精液やその他諸々の体液で濡れそぼったやらしいペニスが、見てくれとばかりに突きだされていた。
頼むから、こっちを見るなよ、日向。
心のなかでそう念じながら、幸成がドライの高みから降りてくるのをひたすら待つ。ここまできたら、不本意に漏れることも覚悟の上で幸成に付き合うしかなかった。
熱い肉にぎゅちぎゅちと絞られるたびに、何かが漏れそうになる。それを堪えられているのか、本当は漏れてしまっているのかも、もう判断がつかなかった。
人がそうして極限にいるのも知らないで、
「むらやくん、」
と、日向がふたたび幸成に呼びかける。
相変わらず浅い息をこぼすばかりで反応の鈍い幸成に焦れたのか、日向が幸成の顔を覗き込んだ。
おいこら、日向ッ。近いっ。離れろっ。
幸成と深く繋がっているのは俺なのに、幸成の顔に近いのは、いまや日向のほうだった。
それを咎めたくても、声を出してしまえば俺の気が緩みそうだし、その声に日向が振り向きでもして幸成のいやらしい姿を見られたのでは元も子もない。かといって、幸成がドライの高みにいる限りは、身を乗り出して日向を押し退けることもできなかった。
「むらやくん、きもち、いいの?」
そっと問いかける日向の声は小さく潜められていたが、そこに淫靡な響きは欠片もない。純粋で素朴なただの疑問があるばかりで、幸成の邪魔にならないようにという気遣いが滲んでいるだけだった。
それでもイヤなものはイヤだ。
幸成の卑猥な様相を見られたくないからと、こっちを見るなと念じてはいたが、できることなら幸成の顔も見てほしくなかった。
いまの幸成は、普段の幸成とはまったく違う。凄絶な色気を撒き散らしているのに、幼気で無防備だ。幸成がここまで自身を晒してみせるのは、おそらく俺にだけだったのに。
ちくしょう。やっぱりこのベッドはダメだ。高さがあるせいで、日向が少し前屈みになるだけで、幸成との距離が異様に近くなる。
それから、体位変換もするべきじゃなかった。あの動きのせいで、せっかく大きくとっていた日向との間が一気に詰まってしまった。
どれもこれも俺の自業自得だ。ベッド購入時に今日のことが予測できるわけもなかったが、せめて乳首にむしゃぶりつくのだけでも我慢するべきだった。悔やんでも悔やみきれない。
「ね、どう?」
日向の再度の問いかけに、幸成がふわりと目蓋を持ちあげた。けれど、快感に濡れたその瞳はまるきり心ここにあらずで、茫漠としていて覚束ない。
「きもちい?」
日向が重ねて問いかけても、やっぱり幸成の返事はない。目を開けてはいても、その視線はぽやぽやとぼやけたままだった。そのことに、いくらか俺の気も鎮まっていく。
いくら幸成との距離がいま近くても、ネコ同士で話の通じる仲間であっても、ドライ中の幸成をそう簡単に振り向かせられると思うなよ。
俺でさえ、ドライ中の幸成にはときどきしか思い出してもらえない。その大概は「はなれてるの、さみしい」と言って、大好きで貴重なドライよりも俺を選んで手を伸べてくる。本当にたまにあるだけだけど、だからなおさら嬉しいし、だから余計に幸成のドライを守ってやりたいと思うんだ。
ぼんやりと頼りないままの幸成から返事をもらうのは諦めたらしい。日向が静かになった。
幸成はといえば、いまだドライの高みを揺蕩っているようだ。締めつけてくるリズムが長くなってきたところを見ると、その高度はいっそう増してきたらしい。
そして俺は、一心不乱に耐えていた。気分はもう修行僧だ。疼くペニスを誤魔化し、動きたがる腰を宥め、これ以上は漏れないようにと下腹に集中する。目を閉じ、眉を顰め、食いしばった歯の隙間からふぅふぅと息をこぼして、なんとも情けない体だったが、それでもこれ以上は無理だというこの状況に、どうにか耐えることができていた。
日向が大人しくなってくれてよかった。これでまだ幸成に質問を繰り返すようだったら、きっと耐えてなどいられなかっただろう。
と、安堵していたのは、完全な油断だった。
集中していた意識の端で何かがこそりと動く。その気配に、顰めた眉の下から薄く目を開けてみると、そこに、火照りきった幸成の頬へ触れる幼げな指先を認めてしまった。
やめろッ。触るなっ。
叫びたかった。怒鳴りたかった。なのに、何かが喉を塞いで声にならない。
爆発的に沸きあがった怒気が胸を焼く。その怒気が日向に向かって飛び出すかと思ったが、違った。
これは、自分自身に対する怒りだ。悔やむなら公開セックスに賛同した自分を一番に悔やむべきだった。
ふいに、ふわりとアナルが緩んだ。ひくつく柔肉に包まれて、一瞬怒気から気が逸れる。
やっとだ。やっと幸成がドライから戻ってきてくれた。
いまだ余韻を堪能しているのか、不規則にきゅきゅっと絞られはするが、収束は目前だ。
しかし、ホッとなどしていられない。視界の先では、いまだ日向の指先が幸成の頬にある。しかもあろうことか、まるで火照った頬の熱を吸い取ろうとでもしているかのように、日向の手が幸成の頬を包もうとしていた。
もう我慢ならない。
日向の手を押し退けてやろうと、幸成の腰を支えていた手の一方を離して伸ばしたときだった。
「ん、きもちい、よ」
幸成が、いま頃になって日向の問いに答えた。どうやら意識はまだふわふわとドライの海を揺蕩っているようだ。
舌足らずで酔っ払ったようなその様子に、つい可愛いと、伸ばしかけた手をとめてしまった。幸せそうにゆるゆると笑う幸成に、暢気にも見惚れてしまう。
ああ、ダメだ。いくらドライのあとの幸成が可愛いからって、これじゃ油断に次ぐ失態だ。
だから、ちゃんとわかってる。
日向に頬をひと撫でされた幸成がほぅと甘い溜め息をこぼしたのだって、何を勘違いしたのか、幸成が日向の手のひらに頬をすり寄せたのだって、さっさと止めに入らなかった俺が悪い。
そう自分に言い聞かせて、無理やり納得しようとしてたのに、やっと落ち着いてきたと思ったアナルが、きゅんっだなんて嬉しそうに反応するから……。
そのとき俺は、ブチッと何かが千切れる音を、どこか遠くで聞いた気がした。
ガウンの襟が引っ張られたかと思ったら、次の瞬間にはその襟を掴み縋っていた幸成の手がするりと解け、倒れた背中がベッドへ沈むのと同時にその手もシーツの上にぱたりと落ちた。
ぺニスが強く引き倒されるのを感じたときには、慌てて幸成の動きに合わせて体勢を変えたが、それでも強い刺激は免れなかっただろう。
ドライの高みから引き摺りおろしてしまったかと幸成の様子を見てみれば、きつく眉を寄せているわりに、伏せた睫毛の先も赤らんだ頬もいっそう艶々と輝いていた。さらには、唇までが「あ」のかたちのまま声にならない嬌声をあげているようだった。
手のなかに納まったままの細い腰も、さっきより痙攣をキツくしてガクンガクンと揺れている。
よかった。ドライの邪魔をせずに済んだようだ。いやむしろ、いまの刺激で深く強い域まで達したんじゃないだろうか。
ドライオーガズムをこよなく愛する幸成だが、それでもここまで深いドライに達することはそうそうない。
幸成がドライを思うさま堪能できるのは嬉しかった。たとえ、痙攣の酷くなったアナルに、すでに限界ラインを何重にも突破しているぺニスをさらに絞られることになっていてもだ。
しかし、これはキツい。もはや拷問だ。
さっきの体位変換に紛れて、また少し何かが漏れてしまったんだろうか。アナルの痙攣に合わせてしゃぶられている亀頭の先が、ちゅぷちゅぷと激しい水音を立てているような気がしてならなかった。
ああ、いますぐ幸成の奥の奥まで腰を突き入れて、暴れてしまいたい。ローションだか先走りだかわからないこの粘液を思いきり攪拌して、そこへ重たい精液を放って幸成のなかを満たしたかった。
堪えても抑えても湧き上がってくるそんな欲望に顔がこわばる。これ以上、意思の力で制御できる自信など微塵もなかった。
それでも幸成のためだ。どうにかして制御してやりたい。だから、意識を集中したいのに。
「……むらや、くん……?」
くそッ。日向が幸成を見つめてやがるっ。
突然幸成が目の前に倒れてきて驚いたのか、日向は呆然としていた。この様子じゃきっと、小さな掠れ声で幸成に呼びかけた自覚もないだろう。
呼ばれた当の幸成も快感の高波に呑み込まれているせいか、日向に見つめられていることにさえ気づいていなかった。目を閉じたまま、返事どころか反応もない。
日向は幸成の顔へ一心に注目していたが、いつ幸成の全身に視線を流すかわからない。もし、いまの幸成の有り様を目にされてしまったら、今度こそ日向を睨み殺しかねなかった。
幸成のガウンはすっかり乱れて、その役目をまるで果たしていない。ドライのせいで汗が浮き桃色に染まった胸元や、俺が乱暴にしたせいで赤く腫れた乳首が隠すものもなく晒されている。
それだけじゃない。咄嗟にとった体位のせいで、幸成の腰は半端に膝立ちになった俺の腿の上へと乗りあがり、精液やその他諸々の体液で濡れそぼったやらしいペニスが、見てくれとばかりに突きだされていた。
頼むから、こっちを見るなよ、日向。
心のなかでそう念じながら、幸成がドライの高みから降りてくるのをひたすら待つ。ここまできたら、不本意に漏れることも覚悟の上で幸成に付き合うしかなかった。
熱い肉にぎゅちぎゅちと絞られるたびに、何かが漏れそうになる。それを堪えられているのか、本当は漏れてしまっているのかも、もう判断がつかなかった。
人がそうして極限にいるのも知らないで、
「むらやくん、」
と、日向がふたたび幸成に呼びかける。
相変わらず浅い息をこぼすばかりで反応の鈍い幸成に焦れたのか、日向が幸成の顔を覗き込んだ。
おいこら、日向ッ。近いっ。離れろっ。
幸成と深く繋がっているのは俺なのに、幸成の顔に近いのは、いまや日向のほうだった。
それを咎めたくても、声を出してしまえば俺の気が緩みそうだし、その声に日向が振り向きでもして幸成のいやらしい姿を見られたのでは元も子もない。かといって、幸成がドライの高みにいる限りは、身を乗り出して日向を押し退けることもできなかった。
「むらやくん、きもち、いいの?」
そっと問いかける日向の声は小さく潜められていたが、そこに淫靡な響きは欠片もない。純粋で素朴なただの疑問があるばかりで、幸成の邪魔にならないようにという気遣いが滲んでいるだけだった。
それでもイヤなものはイヤだ。
幸成の卑猥な様相を見られたくないからと、こっちを見るなと念じてはいたが、できることなら幸成の顔も見てほしくなかった。
いまの幸成は、普段の幸成とはまったく違う。凄絶な色気を撒き散らしているのに、幼気で無防備だ。幸成がここまで自身を晒してみせるのは、おそらく俺にだけだったのに。
ちくしょう。やっぱりこのベッドはダメだ。高さがあるせいで、日向が少し前屈みになるだけで、幸成との距離が異様に近くなる。
それから、体位変換もするべきじゃなかった。あの動きのせいで、せっかく大きくとっていた日向との間が一気に詰まってしまった。
どれもこれも俺の自業自得だ。ベッド購入時に今日のことが予測できるわけもなかったが、せめて乳首にむしゃぶりつくのだけでも我慢するべきだった。悔やんでも悔やみきれない。
「ね、どう?」
日向の再度の問いかけに、幸成がふわりと目蓋を持ちあげた。けれど、快感に濡れたその瞳はまるきり心ここにあらずで、茫漠としていて覚束ない。
「きもちい?」
日向が重ねて問いかけても、やっぱり幸成の返事はない。目を開けてはいても、その視線はぽやぽやとぼやけたままだった。そのことに、いくらか俺の気も鎮まっていく。
いくら幸成との距離がいま近くても、ネコ同士で話の通じる仲間であっても、ドライ中の幸成をそう簡単に振り向かせられると思うなよ。
俺でさえ、ドライ中の幸成にはときどきしか思い出してもらえない。その大概は「はなれてるの、さみしい」と言って、大好きで貴重なドライよりも俺を選んで手を伸べてくる。本当にたまにあるだけだけど、だからなおさら嬉しいし、だから余計に幸成のドライを守ってやりたいと思うんだ。
ぼんやりと頼りないままの幸成から返事をもらうのは諦めたらしい。日向が静かになった。
幸成はといえば、いまだドライの高みを揺蕩っているようだ。締めつけてくるリズムが長くなってきたところを見ると、その高度はいっそう増してきたらしい。
そして俺は、一心不乱に耐えていた。気分はもう修行僧だ。疼くペニスを誤魔化し、動きたがる腰を宥め、これ以上は漏れないようにと下腹に集中する。目を閉じ、眉を顰め、食いしばった歯の隙間からふぅふぅと息をこぼして、なんとも情けない体だったが、それでもこれ以上は無理だというこの状況に、どうにか耐えることができていた。
日向が大人しくなってくれてよかった。これでまだ幸成に質問を繰り返すようだったら、きっと耐えてなどいられなかっただろう。
と、安堵していたのは、完全な油断だった。
集中していた意識の端で何かがこそりと動く。その気配に、顰めた眉の下から薄く目を開けてみると、そこに、火照りきった幸成の頬へ触れる幼げな指先を認めてしまった。
やめろッ。触るなっ。
叫びたかった。怒鳴りたかった。なのに、何かが喉を塞いで声にならない。
爆発的に沸きあがった怒気が胸を焼く。その怒気が日向に向かって飛び出すかと思ったが、違った。
これは、自分自身に対する怒りだ。悔やむなら公開セックスに賛同した自分を一番に悔やむべきだった。
ふいに、ふわりとアナルが緩んだ。ひくつく柔肉に包まれて、一瞬怒気から気が逸れる。
やっとだ。やっと幸成がドライから戻ってきてくれた。
いまだ余韻を堪能しているのか、不規則にきゅきゅっと絞られはするが、収束は目前だ。
しかし、ホッとなどしていられない。視界の先では、いまだ日向の指先が幸成の頬にある。しかもあろうことか、まるで火照った頬の熱を吸い取ろうとでもしているかのように、日向の手が幸成の頬を包もうとしていた。
もう我慢ならない。
日向の手を押し退けてやろうと、幸成の腰を支えていた手の一方を離して伸ばしたときだった。
「ん、きもちい、よ」
幸成が、いま頃になって日向の問いに答えた。どうやら意識はまだふわふわとドライの海を揺蕩っているようだ。
舌足らずで酔っ払ったようなその様子に、つい可愛いと、伸ばしかけた手をとめてしまった。幸せそうにゆるゆると笑う幸成に、暢気にも見惚れてしまう。
ああ、ダメだ。いくらドライのあとの幸成が可愛いからって、これじゃ油断に次ぐ失態だ。
だから、ちゃんとわかってる。
日向に頬をひと撫でされた幸成がほぅと甘い溜め息をこぼしたのだって、何を勘違いしたのか、幸成が日向の手のひらに頬をすり寄せたのだって、さっさと止めに入らなかった俺が悪い。
そう自分に言い聞かせて、無理やり納得しようとしてたのに、やっと落ち着いてきたと思ったアナルが、きゅんっだなんて嬉しそうに反応するから……。
そのとき俺は、ブチッと何かが千切れる音を、どこか遠くで聞いた気がした。
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