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第六十四話 競技祭12 勝つ為の戦い方

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 実況「いよいよ魔術競技祭も終盤で最後の個人戦となりました 今のところは開会式の宣言通りEクラスが一歩リードしていますがまだまだ勝負は分かりません!!」

 実況の興奮した声が会場に響き渡り周りから歓声が響き渡っている とうとう魔術競技祭の最後の種目である個人戦が始まろうとしていた

 個人戦はそれぞれのクラスの代表五人がランダムに五人と決闘を行い一番勝利数の多いクラスが勝者となるルールとなっている


 カンナ「つまりはたくさん勝てたら優勝って事だね」

 リナ「そうだよ 私も勝てるように頑張るから」

 カリータ「ランダムに相手が選ばれるので相性などの運要素もありますが全力で頑張りましょう!!」

 グライス「運も実力のうちって言うしな」

 マリア「ここまで来たんだから狙うは優勝だね」

 カリータ「はい!!これが最後ですので全力を尽くしましょう」

 全員が拳を合わせて全力で戦う事を誓うとグランドに向かって歩いていく

 熱気 歓声の圧 緊張感が同時に襲ってくるが臆する事なく進んでいくと対戦相手のクラスが目に入ってくる

 カンナ「分かってはいたけど全員強そうだな」

 リナ「……勇者の人は全員いるしマルク王子とエナだっているね」

 カリータ「相手にとって不足はありませんね」

 最後の種目という事もあってか全クラスが最強の戦力で挑みにきており威圧感を感じている

 実況「それでは最初に戦う十名の人はこちらです!!」

 緊張する全員を他所に実況か高々と声を上げて進行していく グランドの中央には決闘を行う四角いリングが五つあり選ばれた人がそれぞれ戦っていく事となっている

 そして映像が映し出され十人の名前と対戦相手が書かれておりそこにはカンナとグライスの名前があった

 カンナ「早速出番か 相手は……ゼルって奴か グライスの相手はエナみたいだね」

 グライス「氷魔法には注意するよ カンナの相手もAクラスの優秀な奴だから油断しないようにね」

 カンナ「お互いベストを尽くそう」

 そう言い残して応援し見送る三人に背を向けてカンナとグライスの二人は指定の場所へと向かって行く
 
 カンナ(援護も何もない真剣勝負か 負けられんな)

 指定のリングへ上がると先に対戦相手が来ていた

 ゼル「君がカンナって人か……対戦よろしくね」

 カンナ「よろしくな」

 対戦相手のゼルと呼ばれる男はカンナに礼儀正しく挨拶をして構えカンナも後を追うようにして戦闘体制にはいる

 実況「それでは……スタート!!」

 実況の声と同時に鐘が鳴り響き決闘が始まると同時に応援する声もより一層大きくなった

 カンナ「ショックウインド!!」

 開始早々に風魔法で攻撃するがカンナの攻撃は簡単に防がれてしまう

 ゼル「へー 突っ込んでくると思ってたけど普通に魔法も使えるんだね」

 カンナ「まーね 腐ってもこの学園の生徒だから」
 
 ゼルは驚いたような顔でカンナを見つめておりカンナも笑いながら答え両者の決闘は続いていく

 カンナ(こいつの防御はもしかするとサブナックのよりも硬いかもな)

 決闘が続きカンナの得意な接近戦で攻撃するがゼルの防御壁により攻撃を防がれ続けておりカンナは苦戦していた

 ゼル「確かに君は強いけど相手が悪かったね 今の君じゃ僕の防御壁は傷つけられないよ」

 カンナ「そうみたいだね でも負ける気はないから」

 再びカンナは突っ込んでいき脚を大きく上げてゼルに蹴りを入れようとするが防がれてしまう

 しかし大きく脚を上げた為かスカートの中身が丸見えになってしまいゼルの瞳には白いものが写ってしまい気まずそうにしている

 ゼル「…………」

 カンナ(なんだこいつ?さっきから脚の方ばかり見てるな…………成る程そういう事か)

 カンナ「やあああっ!!」

 ゼルの違和感に気付いたカンナは脚を使った攻撃を増やし胸を大きく揺らすように激しく動きゼルの心を揺さぶる作戦に変更する

 カンナ(男の心をもて遊んでるようになるけど勝つためには仕方ないよな)

 心では申し訳ない気持ちでいっぱいなカンナだが勝つ為には仕方がないと考えてゼルを攻撃し続けた

 色々と初なゼルは明らかに同様してしまい集中する事ができず呪文の詠唱を失敗してしまいその隙をカンナは突いて勝利したのであった

 カンナ「対戦ありがとうな(相手を同様させる事も重要だな それに必死に覚えた奥の手をまだ使わなくて済むな)」

 ゼル「……悔しいけど ありがとう」

 カンナはゼルと握手をしようとするがゼルは照れてしまい握手を拒否してリングから降りて行った

 申し訳ない気持ちを抱えながらも次の対戦相手が決まったのでカンナは次のリングへと向かって行く

 カンナ「次の相手は……リザって人か(またAクラスの人か それにさっきのゼルみたいに色仕掛けは通用しなさそうだな)」

 考えながらリングへ上がると女子生徒が腕を組んで待っているのが見える

 リザ「絶対に勝つわ」

 カンナ「私だって」

 そして女子生徒同士の決闘が始まりカンナは接近して速攻で倒そうと突っ込んでいく

 リザ「あなたならそう来ると思っていたわ」

 リザは分かっていたのか一歩引いて浮遊魔法で宙に浮いてカンナと距離をとる

 カンナ「あくまでも魔法の撃ち合いに持ち込む訳ね」

 リザ「ええそうよ 貴方には近寄らない事が最善ですから」

 カンナ「そうだよな(…………対策されてしまったか)」


 リザは上空から一方的に魔法を打ち続けてきたのでカンナも抵抗して風魔法を打ち返す

 カンナ(空中にいる相手は自分の得意が通用しないからな どうしたものか…………)

 リザ「魔法もそこそこ使えるようだけど私のほうが有利みたいですね」

 カンナ(空中にいる相手……これはいけるか?)

 何かを思いついたカンナは風魔法を唱えてリザを攻撃するがダメージを与えれるほどの威力ではない

 リザ「その威力の風魔法は直撃しても対した事ないわよ?」

 余裕の笑みを浮かべてリザは攻撃を受けるがカンナの狙いは攻撃ではない

 カンナ「今日は水色みたいだな」

 下から風を発生させたのでリザのスカートは浮き上がってしまい水色のものが全員に丸見えとなってしまう

 リザ「ちょっ!? 辞めて 見ないください!!」

 観客席から視線が集まってしまいリザは顔を赤くしながらスカートを両手で抑えて見えないように隠そうとするが

 カンナ「サイクロン!!吹き飛べ!!」

 その隙を突いて強力な風魔法でリザを吹き飛ばして場外に出す事に成功したのでカンナが勝利した

 カンナ(汚い勝ち方だけど取り敢えず二勝できたか……つぎだな)


 怒り気味なリザと握手をして次の場所へと向かうとそこにはよく知る顔がいた

 工藤「次の相手は貴方ですね カンナさん」

 カンナ「工藤さんですね?(工藤さんか……戦いにくいな)」

 相手はクラスメイトの工藤であり一番最初に組んだパーティの一人であるので戦い方や癖などは一応知っているがカンナのしては少し戦いにくい相手である

 カンナ(寺山とか溝上なら容赦なく行けるけど上野君とか工藤さんは元の世界では勉強とか教えてもらってたりしたしな……でも覚悟を決めるしかないか)

 工藤「(何かを考えている?)こちらからいきますよ リーフカッター!!」


 葛藤するも覚悟を決めその後にタイミング良く鐘が鳴り響き工藤が魔法を放ってくる

 カンナ(工藤さんは補助魔法が得意だったけど他には植物、木、風魔法が得意だったね)

 勝ち筋を考えながら工藤の攻撃を回避するとその動きに工藤は何かを感じとる

 工藤「福田……君なの? 気のせいだよね」

 カンナ「…………ブレイズファイア」

 工藤「人違いだよね……福田君は魔法をまともに扱えなかったから」

 動きを間近で見ていた工藤だからこそ気付く場所があり一番カンナの正体に近いたのだが海斗も成長し魔法を扱えるようになった為工藤が感じた違和感は消滅する


 その後も二人の戦いは続いていくが先ほどの勝負と違い仲間の助けも無いのでカンナは工藤と正々堂々と勝負をしても徐々に押されはじめ最終的には負けてしまったのだった

 カンナ(流石にインチキ無しの怠慢勝負じゃ厳しいか……)

 工藤「ありがとうございました」

 カンナの負けという形で決着がつき二人は握手をして離れようとするが最後にカンナは工藤に話しかける

 カンナ「私は誰かに似てるのですか?」

 工藤「……はい カンナさんは私の元の世界のクラスメイトに少しだけ似ています」

 カンナ「そうなんですか……その人は今どこに?」

 工藤「その人は今生きてるのかわかりません……だから1秒でも早く私達が世界を平和にしてその人を助けたいんです」

 カンナ「フッ……きっと大丈夫だと思いますよ 私に似てるのでしたら相当根性がある人だと思いますので今日もどこかで元気に生きてるはずです」

 工藤「はい そう信じて今も頑張ってます……カンナさんは不思議ですね本当に福田君の生まれ変わりのような……」

 カンナ「そんな事よりもまだ決闘が残ってますから次に集中しましょうよ(工藤さん涙目じゃん 早く切り上げないと)」

 溢れそうな涙を抑えた工藤は返事をして次の場所へと向かっていきその後ろ姿からは悲しさを感じられる

 カンナ(工藤さん……その気持ちだけでも充分だよ)

 かつての仲間が責任を感じている姿に暖かい気持ちになったカンナは工藤の後ろ姿を見守り次の場所へと向かって行った

 次の場所へと向かうとそこにはまた見慣れた顔がいたのである

 カンナ「連続で勇者の人と当たるなんてついてないな(相手は上野君か)」

 上野「そうなんだ……だからと言って手を抜くつもりはないよ」

 カンナ(上野君は多分だけど工藤さんよりも強いだろうな だってAクラスにいるしというか団体戦で勝てたのが奇跡だよな)

 鐘が鳴り響き最初にカンナから炎魔法で攻撃を仕掛けるが上野に後出しの炎魔法で簡単にかき消されてしまう

 カンナ「流石上野君だね……魔法の勝負は相手にならないや(詠唱速度も威力も勝ち目がねーや)」

 上野「君は接近戦が得意なんだろ?その距離でどうやって戦っていくんだい?(この人とはほぼ初対面だよな?)」

 カンナ「なら奥の手を使うしかないか……(多分上野君には効果抜群かもね)」

 勝てない判断したカンナは早々に諦めて賭けにでる事にする

 カンナ「(賭けになるけど)インセクト ファンタジア!!」

 カンナが唱えた魔法は幻聴魔法であり相手の耳に不快な音を聴こえさせるというものでありカンナの場合は蚊や鉢などの虫がまるで近くにいるかのように感じてしまうほどの音を上野に向けて放ったのだ

 上野「うああっ!? 何だ 辞めろ 虫は苦手なんだ!!」

 この魔法を習得した経緯としてこの魔術学園にいる勇者の人は全員虫が苦手という事は過去の生活から知っていたのでカンナは苦し紛れの対策としてこの魔法を必死に覚えたのだが上野に対して絶大な効果を発揮し中々見ない姿に少し笑ってしまう

 カンナ(まさかこんなに効くとは思わなかったし笑ってしまったよ……本当にゴメンね上野君 元に戻ったら上野君を頼らなくていいように真面目になるから 許して欲しい)

 同様し呪文を上手く唱えられない上野を場外に突き飛ばして勝利し気まずい状態で握手をしその場を離れていった

 カンナ(次でラストか敵の痛い所を突きまくって何とか三勝はできたけど最後くらいは勝ちたいかな)

 次の決闘で最後となり最後の戦いをしようとリングへ上がると

 カンナ「あんたは寺山って人か……勇者と三連戦もするなんて聞いてないんだけどな(寺山なら容赦なくいけるな)」

 寺山「そうですか(なんか馴れ馴れしいやつだな)」

 寺山はカンナを不審に思いつつも決闘が始まったので攻撃を開始する

 カンナ(そりゃ魔法勝負じゃ俺は話にならんよな)

 寺山「こいつ……高速の光魔法を回避してるのか?」

 カンナ(ほとんど勘だよ馬鹿野郎め 滅茶苦茶な魔法を放ってきやがって)

 寺山は弾速の速い光の球体をカンナに向かって発射しカンナは回避するので精一杯となっている

 カンナ「うああっ!?」

 回避し続けていたがその内の一つをもろに喰らってしまい悲鳴をあげて倒れる

 寺山「少しやりすぎたか(制御が難しいな)」

 勝ったと確信した寺山はゆっくりと近づいていくがカンナは立ち上がる

 カンナ「まだ……負けてないよ(いい感じに服がボロボロになったな)」

 いい感じに被弾したカンナはボロボロになり下着が見えてしまっている状態で寺山に話しかける

 寺山「君は僕には勝てない 大人しく降参すれば痛い目に逢わずに済むよ?(一回これを言ってみたかった)」

 カンナ(このセリフは!!)

 しかしカンナはこのセリフには聞き覚えがあった それは恋愛RPGゲームで敵キャラがヒロインに対して言うセリフである

 カンナ(確かここのシーンは寺山が大好きでアニメとかも散々見せられた記憶があるな)

 カンナ「わたしはちっぽけで、泣き虫で、魔法が使えても、きっと何にもできないって思ってた。だけど、勝ちたい…大切な人たちの為に!!その為なら私は何度だって立ち上がれるの!!(このヒロインが一番の推しだと言ってたよな)」

 何回も見せられた結果カンナはこのシーンだけを覚えておりセリフを上手いこと改変して今の状態に当てはめて言い換える

 寺山「何故 そのセリフを!?」

 改変したセリフだが寺山は明らかに同様しておりカンナはその隙を突いて寺山に幻聴魔法をかけて更に同様をさせて蹴り飛ばし場外となりカンナが勝利となった

 寺山「……まさか君はモエモエwarsのヒロインのベス……」

 カンナ「ありがとうございました!!(これ以上は面倒な事になりそうだな)」

 面倒事を避けたかったカンナはいち早く会話を切り上げてその場を後にしたのであった
 

 
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