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第八十一話 騎士の実力

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 マール「そうと分かったならすぐに行動するわよ!!」

 カネリア王女の言葉を受けたマールは元気よく声をかけるとその場にいる全員が頷く

 マール「さっき指名した十人の人は2時間後にビスト王国に向かってもらうわ」

 斉藤「ビスト王国までは遠いですから……それなりに準備が必要になりますもんね」

 海斗「確か馬で5時間くらいかかるんだったよな、2時間まって行くのなら向こうには夜中に着くかんじになるのか」

 マール「何を言ってるの?貴方達には3時間後には向こうに着いてもらうわよ」

 エナ「でも片道で5時間かかるなら間に合わないんじゃ……」

 海斗「そっか!!あんたの転移魔法で向こうに送ってくれるって事だな」

 マール「馬鹿言わないでちょうだい、そんな事したら向こうに着いた瞬間に一網打尽にされるわよ!!(本当は遠すぎて無理なんだけど)」

 海斗「何で反撃されるんだ?」

 斉藤「福田君、考えてください いきなり転移する魔法陣が向こうの国に現れたら警戒されるでしょう?」

 海斗「それもそうだけど……そんなに信用ないのか?」

 エナ「もしかすると魔法陣の中から爆弾とか軍隊が出てくる可能性も向こうは考えるかもしれないから」

 海斗「そうか……もしそうなら相手からの印象が悪くなってしまうか、それなら少し離れた所に転移させれば……」

 海斗の発言に全員がハッとする中マールは汗をかいており色々と察したベルが間にはいる

 ベル「マール様は今からやる事がたくさんありますのでここで体力をつかうわけにはいかないのです」

 海斗「そうなんだ、ベルさんが言うなら仕方ないよね」

 マール「そう言う事よ、こちらで専用の馬車……じゃないけど早く着けるのを準備するから2時間休憩して待ってなさい!!ベル 行くわよ」

 マールは聞こえないほど小さな声でベルにお礼を言い急ぎ足で歩いていった

 ベル「そうだった海斗、貴方は念入りに休んでおきなさい」

 ベルは海斗に向かって一言だけ言い残してマールの後ろに着いていく、海斗にはこの言葉の深い意味が分からなかったがそれは後に分かる事となる


 マールとベルが去っていくと次はカネリア王女が海斗達に向かって話しかける

 カネリア「皆さん本当にありがとうございます!!私達もできる限りの事をしますので頑張ってください」

 海斗「あんたも色々大変だろうけど仲直りの為にお互い頑張ろうぜ」

 サフィア「貴様!!さっきから黙っていれば無礼な口ばかりを!!」

 サフィアが怒りを露わにして海斗に向かっていき目の前に立ちはだかる

 海斗「またあんたかよ……」

 ルビー「もーう……」

 カネリア「サフィア、そんな事は気にしなくていいのよ」

 サフィア「王女様も王女様です!!もっと威厳のある行動をとっていただかないと」

 海斗「でも俺はこんな感じの方が関わりやすくて良いとおもうけどなー」

 ルビー「貴方の言う事分かるわー 私もどっちかといえば堅苦しいのは苦手なのよねー 肩も凝るし」


 海斗「あんたはルビーっていったか? あんたとは気が合いそうだよ」

 エナ「…………」

 ルビー「そうよねー 息抜きはできる時にしとかないと誰かさんみたいに色々と成長できなくなっちゃうわよ 後あなたは色々と発言に気をつけた方がいいんじゃない?」

 ルビーは顔が膨れているエナの視線を感じ取ったので注意をすると海斗もすぐに察してエナを宥めにいく

 サフィア「ルビー!! 失言が多いぞ」

 ルビーがサフィアの胸をチラチラ見ながらからかったので怒っている

 ルビー「あららー ごめんねーでもいつもの事じゃない」

 サフィア「全く……サンドラもルビー何か言ってやれば……っていないし」
 
 ルビー「あの子はうるさいのが苦手だからねー 察してどこかに行ったのでしょ サフィアも時間までゆっくりしといたらー?」

 

 サフィア「いいや私の訓練に付き合ってもらうぞそっちの方が気晴らしができていいからな」

 この言葉にルビーはうんざりした表情を浮かべており見るからに嫌だと言うことが伝わってくる

 ルビー「ええー……」

 サフィア「サンドラはどこかに行ってしまったし相手はお前くらいしかいないだろう」

 ルビー「んー……私じゃなくてこの子……じゃなくて海斗といったかしら?」

 海斗「おう 合ってるよ」

 ルビー「貴方にお願いしたいわー」

 海斗「俺に!? でもマールさんには休んでおけって」

 ルビー「一生のお願いだから ね?」

 工藤(この世界でもこんな言葉を使うんだね)

 サフィア「ほう 面白いな、私も異世界の勇者とやらと一度は手合わせ願いたいと思っていたのだ」

 ルビー「ほら!!サフィアも乗り気みたいだし」

 海斗「うーん……分かったよ」

 ルビー「ありがとうー これが終わったらお姉さんと何かいい事をしに行かない?」

 ルビーはエナの方を見てわざとらしく海斗を誘惑する

 海斗「その誘いは断るよ その代わり飯でも奢ってくれよ 勿論二人分のね」

 ルビー「あらら残念 サービスしてあげようと思ったのに……」

 寺山(羨ましいなー 美人な女性騎士に……)

 エナ「ルビーさん からかうのは辞めてください」

 寺山(それに嫉妬する子もアリだな)

 ルビー「ごめんねーつい面白くて調子にのっちゃったわー」

 エナ「本当ですよ……」

 寺山はオタク特有の妄想をしエナはそれに気づく事なくルビーに対抗心を燃やしているところにサフィアが割って入ってくる

 サフィア「はやくしろ そしてお前の実力とやらを見せてみろ」

 海斗「分かったよ あんたと戦ったらいいんだろ?」

 サフィア「分かっているなら かかって来い いつでもいいぞ」

 サフィアは手を掲げると大きな斧が現れそれを手に取って構えている

 海斗「俺の意思に答えろ!!」

 すると海斗も右手を横に突き出すと大型のメイスが一人でに飛んできてそれを掴む

 エナ「あんな事できたんだ」

 ルビー「二人共大きな武器を使うみたいね(面白いじゃないの)」

 そしてこの状況を見ていた斉藤達勇者組はカリータなどにも声をかけてサフィアと海斗を取り囲む結界を生成する

 斉藤「危ないかもしれないですから……」

 海斗「ありがとう斉藤さん」

 衝撃で飛び散るかもしれない破片などを考慮した結界を貼られて後は戦うだけとなったので二人は武器を前にして構えている

 サフィア「貴様も大型の武器を扱うようだな(しかし何だあの武器は……)」

 海斗「あんたも見かけによらずそんなにでかいやつで戦うんだな それと好戦的だという事も分かったよ」

 サフィア「気が変わった こちらから行くぞ!!」

 武器を構えた状態で踏み込んで大地を蹴って海斗に接近し大きな斧を振り下ろす

 海斗はそれを受け止めて弾き返す

 海斗「思ったよりも速いな」

 サフィア「まだまだ!!」

 素早い身のこなしで攻撃を続けるサフィアを海斗は受け止め続けており豪快な金属音が鳴り響いている

 海斗「今だ!!」

 見切った海斗はサフィアの攻撃を弾いて一撃を入れようとしてメイスを振り下ろす

 サフィアはそれをガードするが想像以上に強力な一撃に吹き飛ばされてしまい建物に衝突し大きな音を立ててしまう

 海斗「スピードはあんたが上みたいだけどパワーは俺が勝ってるみたいだね」
 
 サフィア「そのようだな しかしその程度でお前はあの龍を倒したというのか?」

 海斗「どういう事だ」

 サフィア「貴様はその辺の奴よりは強いかもしれん、だが話によると龍と互角に戦ったそうじゃないか」

 海斗「あれは……みんなの助けもあってそれに切羽詰まってたから」

 サフィア「やはりそうか、貴様は無意識に手加減しているな?」

 海斗「そんなつもりはない、いつでもフルパワーだ」

 サフィアは海斗の攻撃を受ける瞬間にこのことを感じとったが無論無意識なので海斗が理解できるはずもないのである

 サフィア「まあ良い 今から本気を出させてやる……シンセティッククルージョン!!」

 サフィアが呪文を唱えると体から青いオーラが溢れ出して全身を包んでいる

 ルビー「あの技を使うなんて相当夢中になってるようね」

 エナ「凄い気迫ですね、海斗は大丈夫なのかな……」

 ルビー「貴方の彼なら大丈夫よ、それは貴方が一番よくわかってるんじゃないの?(こうしとかないとこの子が飛び出しそうで怖いわ)」

 エナ「はい……海斗を信じます」

 ルビーは飛び出しそうなエナを抑えるつもりで言葉かけてその二人の目の前では力を解放したサフィアが圧倒的なスピードとパワーで海斗を圧倒している

 海斗「とんでもなく強くなったな……(恐らくだが魔力を全身に巡らせているみたいだな)」

 サフィア「パワーは貴様が上ではななかったのか?」

 海斗「言ってくれる」

 サフィアの猛攻を凌ぐことが精一杯な海斗はしばらく攻撃を受け流し続けると息が上がってしまい膝を着く

 サフィア「どうした もう終わりか?」

 海斗「まだだ」

 サフィア「ならばさっさと本気を出せ 少しだけ待ってやる」

 海斗「……そうならば」

 そう言われて海斗は目を閉じて集中し全身の魔力を体の内側へと集める

 海斗「行くぞ!!オール……」

 マール「貴方達 何をやっているのかしら?私はゆっくり休めと言ったはずよ」

 しかしそこにタイミングよくマールが現れてしまい全員がそちらに注目し訓練という名の真剣勝負は途中で中断しなくてはならなくなったのであった

 
 
 
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