* 闇の白虎

慈雨

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02.白虎と千里

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「いやさ、ギルドからの白虎への昇格って過去に前例がないだろ?」

千里はまず訴え掛けるように総帥を見た後、心配そうに瑞稀に目を向けた。


「それは、僕自身も同感です」

瑞稀だって、同じ気持ちである。まだ何も説明がなく、ただこの日にWG本部に来るようにと通達があっただけで。

一番当事者で、一番知りたいのは瑞稀なのだ。


「その通り、今回の白虎任命は異例である故、少々時間が掛かってしもうたわ」

二人を説得するように、総帥は話し始めた。


「お主には申し訳ないが、いろいろ調べさせて貰った。戦闘能力は勿論、ギルドへの貢献度や忠誠心、諸々を考慮して、こんな逸材が地方に潜んでおったとはのう」

瑞稀は内心いい気持ちではなかったが、表情を崩さないよう努めた。嬉しそうに話す総帥には悟られないように。


「WGの団員も、実力を見れば認めざるを得ないであろう。そこは問題ではない」

確かに、千里でさえ悔しくも、その実力は認め始めていた。


総帥の話を聞いた二人は、暫く互いの顔を見合わせ、どちらからともなくニヤリと笑った。


「まだ俺は認めきってはいないけどな。まあ地道に頑張れば、サポートくらいはしてやるよ」

千里は口角を引き上げたまま、瑞稀に手を差し延べる。

若干強がりも含まれるそれに、瑞稀も挑戦的に笑い掛けた。


「頼もしいよ。よろしくな、千里」

その手を取り、ぐっと握る瑞稀。


「さて。千里はもう下がってよい。案内ご苦労じゃった」

総帥はそう言って手を払い、“あっち行け”の動作をした。


「うわ、扱い酷くねぇ?」

笑顔の総帥に対して小さく文句を言いながらも、千里は部屋から出て行く。

暫くの沈黙が、その部屋を包み込んだ。


「白虎…いや、佐倉瑞稀」

沈黙を破ったのは総帥で。
瑞稀は俯いていた顔を上げて総帥を見る。


「ここへ招いた真の理由は、別にある」

瑞稀だって軽い気持ちでここに来たわけではない。心の準備とは、今から話されることに対しての方が大きいに違いない。
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