* 闇の白虎

慈雨

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02.白虎と千里

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ふぅ、と総帥は一息着いた。二人ともこれまで立ったままだったが、総帥が椅子に座るよう促す。

瑞稀はと言うと考え込んでいるのか、無言で椅子に座るが目はどこを向いているのか定かではない。


「…先程、ギルドへの忠誠心と言いましたね」

無言の時間がどれくらい続いているのか、当人達もわからない。

静かに瑞稀は切り出した。


「僕はノスタルジアには…絢音さんには、返しきれない恩がある。忠誠心はその現れです。
他の場所で、忠誠心を示すかは自分にも分からない。過去にではあるけど恨みがある、WGには尚更です」

ただ心の内を真っ直ぐに話す声は、先程のようには震えてはいなかった。

総帥も時折り頷いて聞いている。


瑞稀の言う事は説得力があった。

まだ取り返しのつく今、はっきりとさせておかなければいけない問題なのだ。


「お主の言う事は最もじゃな。だがな、お主はまだ若い。そして強かである。もっと、この世界を見て欲しいんじゃ」

総帥はそう言うと、左手を上げて空を撫でるようにぐるっと回した。


瑞稀もそこに視線をやると、様々な光景が半透明に浮かんできた。


WG本部の目の前に在る大きな公園。そこではしゃぐ子供やペットの姿。

或いは、大海原の真ん中。鯨が潮を吹いていた。

時には土砂降りの雨の中。それが止むとスローモーションで虹が架かる。

氷の宮殿、オーロラ、山の中の水源。


どれも瑞稀が見たことも想像したこともない映像で、暫く息をするのも忘れるくらい素敵な、奇跡のような光景であった。


「どうじゃ、不思議と心が軽くなるじゃろう?」

もう一度くるっと左手を回して、映像を消す総帥。
これは全て、総帥の見てきた記憶だという。


「どれも儂の宝物じゃよ」

瑞稀はしまったと後悔した。

知らなければ、欲することもない。
文献では、写真では何度か目にした事のある景色だが、それとは臨場感がまるで違う。


世界に少しだけ、興味が湧いてしまったのだ。

「それに瑞稀、お主は先程のように、素直な気持ちをぶつけてくれる。それだけでお主の真の性格がわかるわい。お主は実に良い子供じゃ」
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