* 闇の白虎

慈雨

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02.白虎と千里

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「気付いた時から僕と椿は一緒でした。身寄りのない僕には、椿は家族同然なんです」

上手く言えないですけどね、と苦笑して照れ臭そうに瑞稀は頭を掻く。

静かにそれを聞いていた総帥は、ややあって口を開いた。

言葉を選ぶように、雰囲気を壊さぬように。


「…そうか、益々安心したわ。主になら、白虎を任せられる」

「精一杯頑張ります」

瑞稀の力強い言葉に、総帥は満足気に頷いて見せた。


頓て、思い出したように目を見開く。


「ああ、それともう一つ頼みがあるんじゃが」

「なんでしょうか…?」

総帥が控え目に言うので、瑞稀も恐る恐る先を促す。あまり良い予感はしない。


「柳緑学園に、行ってはくれんか?」

「…柳緑学園?確か、この国で一番大規模な魔法学校…ですよね?」

予想外の総帥の言葉に、瑞稀は思わず声を裏返す。

総帥が頷くと、瑞稀は手を口元に持っていき、うーん…と唸った。


「僕は今まで絢音さん以外の人と長く話した事がなくて。学校なんて沢山の人と関わる場所…僕には無理です」

「じゃが、千里とは意気投合していたじゃろう?」

「…それは、そうですが」

人が集まる所はただでさえ苦手だった。

学校というものを想像した事もないが、出来れば勉強なら一人でするし、今までもそうしてきた。

瑞稀には必要だとは思えなかったのだ。


瑞稀が渋っていると、総帥は困ったように腕を組んだ。
暫く考え込んだ後、再び口を開く。


「同年代の友達から学ぶことも多いのじゃよ。世界の片隅を見ると思えばよい」

「それは…ええと」

言い淀むが、はっきりと断る事が出来ない。総帥は念を押すように、和かに一つ頷いた。

瑞稀は、この断れない性格を直さなければと、違う方向に決意を固めたのだった。
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