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06.夜の帳が下りる町 1
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ギノがそう言って差し出した鍵を、千里が受け取る。
「じゃあ、いってらっしゃい。幸運を祈っているよ!」
ギノに見送られ、二人は部屋を後にした。
WGの廊下の同じような扉をいくつも通り過ぎ、一度エントランスに出て、西側の通路に進んでいく。
道中、すれ違う団員には物珍しそうな眼差しを送られながら。
「お前は転移の陣の部屋は使ったことないよな?」
「ああ、初めてだよ」
「WGに加盟しているギルドには、WGの転移の陣から何処へでも飛べるんだ。部屋の鍵穴にそれを差し込んだら、陣が書き変わるって仕組みだ」
千里は興味ありげに鍵を見ている白虎に、それを手渡す。受け取った鍵にはラベルが貼ってあり、「1185-324」と表記されていた。
「こういうのってさ、何処で作るんだ?」
「これはWGの研究員が作ってるんじゃなかったか?」
「…へえ」
白虎はまたまじまじと鍵を眺めた。仄かに魔力を感じるその鍵を揺らしてみる。
「本当に魔術が好きなんだな」
「うん、どんな仕組みだろうって思って」
千里は感心半分、呆れ半分の苦笑で返した。
「この部屋だ」
そうしている内に、目的の部屋に着いたようだ。
立ち止まった部屋の扉は、六角形に六芒星が囲われたような図形が彫られており、転移の陣を簡略化させた目印になっていた。
その鍵穴に、白虎が例の鍵を差し込む。
少し光を帯びて、ガチャンと手応えがあった。
鍵を抜き、ドアノブを回して扉を開ける。
その先は、大人が10人も入らない程の小部屋。床には直径1メートル半くらいの陣が書かれていた。
「鍵をそこの穴に差し込んで」
「ここか…あ、」
中に入っていき、奥に見えた鍵穴に再び差し込むと、その鍵はスッと蒸発したように消えた。
なんでも、鍵はコードのようなものみたいで、情報を読み取ると消えてしまうらしい。
「瑞稀、転移するからこっちに」
「この姿の時は名前で呼ぶなよ」
「…あ、ごめん。つい」
無意識に名前を呼んだ千里が、申し訳なさそうに笑う。
床の転移の陣が淡く光り、白虎と千里はそれに包まれるようにしてその場からいなくなった。
「じゃあ、いってらっしゃい。幸運を祈っているよ!」
ギノに見送られ、二人は部屋を後にした。
WGの廊下の同じような扉をいくつも通り過ぎ、一度エントランスに出て、西側の通路に進んでいく。
道中、すれ違う団員には物珍しそうな眼差しを送られながら。
「お前は転移の陣の部屋は使ったことないよな?」
「ああ、初めてだよ」
「WGに加盟しているギルドには、WGの転移の陣から何処へでも飛べるんだ。部屋の鍵穴にそれを差し込んだら、陣が書き変わるって仕組みだ」
千里は興味ありげに鍵を見ている白虎に、それを手渡す。受け取った鍵にはラベルが貼ってあり、「1185-324」と表記されていた。
「こういうのってさ、何処で作るんだ?」
「これはWGの研究員が作ってるんじゃなかったか?」
「…へえ」
白虎はまたまじまじと鍵を眺めた。仄かに魔力を感じるその鍵を揺らしてみる。
「本当に魔術が好きなんだな」
「うん、どんな仕組みだろうって思って」
千里は感心半分、呆れ半分の苦笑で返した。
「この部屋だ」
そうしている内に、目的の部屋に着いたようだ。
立ち止まった部屋の扉は、六角形に六芒星が囲われたような図形が彫られており、転移の陣を簡略化させた目印になっていた。
その鍵穴に、白虎が例の鍵を差し込む。
少し光を帯びて、ガチャンと手応えがあった。
鍵を抜き、ドアノブを回して扉を開ける。
その先は、大人が10人も入らない程の小部屋。床には直径1メートル半くらいの陣が書かれていた。
「鍵をそこの穴に差し込んで」
「ここか…あ、」
中に入っていき、奥に見えた鍵穴に再び差し込むと、その鍵はスッと蒸発したように消えた。
なんでも、鍵はコードのようなものみたいで、情報を読み取ると消えてしまうらしい。
「瑞稀、転移するからこっちに」
「この姿の時は名前で呼ぶなよ」
「…あ、ごめん。つい」
無意識に名前を呼んだ千里が、申し訳なさそうに笑う。
床の転移の陣が淡く光り、白虎と千里はそれに包まれるようにしてその場からいなくなった。
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