* 闇の白虎

慈雨

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09.疑心と信頼

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いつのまにか梅雨は終盤に差し掛かり、夏休みも目前に迫っていた。

あれから澪梨とも良好な関係を築いていて、彰が呼ぶ「みおりん」という愛称もようやく受け入れられて(諦めにも近いが…)きたようだった。


「もう夏休みやなあ」

「彰、夏休み貰えて良かったね」

彰のボヤきに澪梨がクスクス笑いながら水を差す。


「みおりんまで、そんなこと言わんといてよ…」

はは、と乾いた笑いで恥ずかしさを誤魔化す彰。

ギリギリでもなく、平均以上の点数は取っていたのだが、彼の自信のなさからくる自虐発言なのか、予防線を張っている言葉なのか。
恐らくそのどちらかが原因で、人物像が実力より下回って見える事が多い。


そんな彰の内心とは裏腹に、初夏の空は澄み渡って、遠くまで見える。


「…暑いねえ」

少し前に夏服に衣替えした瑞稀は、爽やかな風を肌で感じた。

学園にいるとおろそかになってしまっていた、WGでの雑務や、読んでいない図書館の文献を読破する事など、やりたい事が山積みなのだ。


忙しい夏になりそうだと、笑いながら息を吐いた。


「…慎也」

廊下で瑞稀は慎也を呼び止めた。
彰と澪梨は気付いていないようで、話しながら教室に向かう足を止めない。

昼休みがもうすぐ終わるという、昼下がりの事だった。


「どうした?」

「週末、予定空いてるか? …行きたい所があるんだけど」

慎也の眉がピクッと動いた。
いつになく真剣な表情の瑞稀を見て、何か察したのだろう。


「ああ、空いてる。付き合うよ」

「ありがとう。…ちょっと遠くまで行くから、そのつもりで」

瑞稀は詳しくは言わないし、慎也もそれ以上は聞かなかった。
その日になればわかる事だ。

あの日、瑞稀はリュストルのヒカリと戦って、何を得たのか。
瑞稀は全てを話すつもりなのかーー。


新しく知る事柄に対する期待もあれば、不安や畏れも少なからずある。
ただ、モヤモヤと渦巻く胸の引っ掛かりのようなものを、早く取り払いたい気持ちの方が大きい。


2人は視線を交わした後、澪梨と彰を追いかけて小走りで教室に向かった。
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