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4.一変した世界
それからどうなったのかは知らないが、次に目覚めた時、私は自分のベッドの中にいた。3日ほど眠り続けていたそうだ。
私の目が覚めたことを知ると、エドワードは飛んできた。
ひどく叱られるんじゃないかと怯えたが、エドワードは心配したよ無事でよかったと言うだけだった。
あの日のことを色々聞かれたが、頭がぼんやりして、うまく返答できない。
私がそっけなく、頭痛がするから今は休みたいと言うと、エドワードはまだ何か言いたげだったがそのまま帰ってくれた。
侍女たちはいつもと変わらず私の世話をする。
あの会話を聞かれたと思っているのかいないのか、分からないけどいつもと同じ。
微笑を張り付けた顔で、私と会話はしないように、自分の仕事を行う。
ここに来てすぐからずっとお世話になっていて、私は貴族のような扱いを受けたことが無かったから、部屋を整え身支度や食事のサーブまでしてもらえることにすごく感謝していたんだけど。優しくて親切な人たちだなあと思っていたんだけど。
それは仕事で、私が持つ彼女たちへの印象や好意は受け取ってもらうことはないんだと気づくと、心は風のない荒れ地にいるようでひやりと冷たくなった。全部私の空回りだったんだ。
彼女たちの本音は昨日聞いてしまった。護衛たちの考えもよく分かった。
私、嫌われてたんだな。
それはどうしてなんだろう。
私は異世界人だから、ここの人たちとは全然違うだろう。だから嫌なのかな?
でもさ、私だって召喚されて来たんだよ。ここは異国の地で、何もかもが違うんだよ。
そういえば初日に会ったきりの国王は、あの時ずっと困った顔をしていたな。私迷惑だったのかな。
だから、国王の周りの人も私のことを迷惑だなって思うのかな。
エドワードだって、私には歓迎するって言ったけど、あの綺麗な女の人の前では苦難です、耐えてますって顔してたもんね。
エドワードは、私のいないところではああやって、自分は嫌だけど頑張ってる、自分はみんなのために犠牲になるよ、って言ってるのかな。それならあの騎士とか、彼の周りにいる人、彼のことを好きな人は全員私のこと嫌いだよね。憎いだろうね。
さらに私に聖女の力が無いと聞いて、みんな私をどうしていいのか分からないよね。
でもさ、それ私のせいじゃないよね?
私が役に立たなくて困るのも。
エドワードが婚約者と別れたのも。
誰も私を歓迎しない原因も。
全部二人のせいじゃん。国王と王太子が起こしたことじゃん。
折角なら聖女の力がほしいって思ってるんでしょ。自分の欲じゃん。
私がこの部屋に軟禁されて、王太子以外との接触を禁じられているのも。
そのせいで私がこの国で孤独で寂しいのも。
周りの人から疎まれ、迷惑がられ、憎まれるのも。
全部ぜんぶ、あんたたちのせいじゃん。
「うっううっ」
涙がぼろぼろ零れ、私は声を抑えてひいひい泣いた。
自分が哀れで、無力なのが嫌でたまらなくて泣いた。
◇ ◇ ◇
次の日の朝早く、私は泣きすぎてばんばんに腫れた自分の顔を見て途方に暮れていた。
「うわあ~まぶたがひどいことになってる」
さすがに今日は王太子と話をしなければならないだろう。こんな顔じゃあイヤだなあ。
私の顔を見てまた「昨日泣いた?」って言われたら……
想像するとぞわっとした。
「キモッ」
いやだいやだ、そんなこと絶対言われたくない!
「えーん。この顔、治まって!腫れよ引け!!!」
ぎゃあぎゃあ言いながら、まだ早朝で侍女たちがいない中、冷水でバシャバシャ顔を洗う。
洗顔ボウルから顔を上げ、鏡を見ると腫れは引いていた。
あら?
すっきりしたまぶたを見て、私はホッとした。
よかった。これなら大丈夫そう。エドワードに何も言われなくて済むよね。
私の目が覚めたことを知ると、エドワードは飛んできた。
ひどく叱られるんじゃないかと怯えたが、エドワードは心配したよ無事でよかったと言うだけだった。
あの日のことを色々聞かれたが、頭がぼんやりして、うまく返答できない。
私がそっけなく、頭痛がするから今は休みたいと言うと、エドワードはまだ何か言いたげだったがそのまま帰ってくれた。
侍女たちはいつもと変わらず私の世話をする。
あの会話を聞かれたと思っているのかいないのか、分からないけどいつもと同じ。
微笑を張り付けた顔で、私と会話はしないように、自分の仕事を行う。
ここに来てすぐからずっとお世話になっていて、私は貴族のような扱いを受けたことが無かったから、部屋を整え身支度や食事のサーブまでしてもらえることにすごく感謝していたんだけど。優しくて親切な人たちだなあと思っていたんだけど。
それは仕事で、私が持つ彼女たちへの印象や好意は受け取ってもらうことはないんだと気づくと、心は風のない荒れ地にいるようでひやりと冷たくなった。全部私の空回りだったんだ。
彼女たちの本音は昨日聞いてしまった。護衛たちの考えもよく分かった。
私、嫌われてたんだな。
それはどうしてなんだろう。
私は異世界人だから、ここの人たちとは全然違うだろう。だから嫌なのかな?
でもさ、私だって召喚されて来たんだよ。ここは異国の地で、何もかもが違うんだよ。
そういえば初日に会ったきりの国王は、あの時ずっと困った顔をしていたな。私迷惑だったのかな。
だから、国王の周りの人も私のことを迷惑だなって思うのかな。
エドワードだって、私には歓迎するって言ったけど、あの綺麗な女の人の前では苦難です、耐えてますって顔してたもんね。
エドワードは、私のいないところではああやって、自分は嫌だけど頑張ってる、自分はみんなのために犠牲になるよ、って言ってるのかな。それならあの騎士とか、彼の周りにいる人、彼のことを好きな人は全員私のこと嫌いだよね。憎いだろうね。
さらに私に聖女の力が無いと聞いて、みんな私をどうしていいのか分からないよね。
でもさ、それ私のせいじゃないよね?
私が役に立たなくて困るのも。
エドワードが婚約者と別れたのも。
誰も私を歓迎しない原因も。
全部二人のせいじゃん。国王と王太子が起こしたことじゃん。
折角なら聖女の力がほしいって思ってるんでしょ。自分の欲じゃん。
私がこの部屋に軟禁されて、王太子以外との接触を禁じられているのも。
そのせいで私がこの国で孤独で寂しいのも。
周りの人から疎まれ、迷惑がられ、憎まれるのも。
全部ぜんぶ、あんたたちのせいじゃん。
「うっううっ」
涙がぼろぼろ零れ、私は声を抑えてひいひい泣いた。
自分が哀れで、無力なのが嫌でたまらなくて泣いた。
◇ ◇ ◇
次の日の朝早く、私は泣きすぎてばんばんに腫れた自分の顔を見て途方に暮れていた。
「うわあ~まぶたがひどいことになってる」
さすがに今日は王太子と話をしなければならないだろう。こんな顔じゃあイヤだなあ。
私の顔を見てまた「昨日泣いた?」って言われたら……
想像するとぞわっとした。
「キモッ」
いやだいやだ、そんなこと絶対言われたくない!
「えーん。この顔、治まって!腫れよ引け!!!」
ぎゃあぎゃあ言いながら、まだ早朝で侍女たちがいない中、冷水でバシャバシャ顔を洗う。
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あら?
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