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今年は仲良くいきましょうね
1-4 明菜
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「クラスにはね、スクールカーストっていって、1軍、2軍、3軍ってグループのタイプごとに優劣が決まるんだよ。あんたは私の妹なんだから、絶対に1軍にはなれると思うよ」
そう言ってネイルをキラキラさせながら自転車通学でもないのに自転車で通学し、校則違反のちょっと網目の大きいダボっとしたセーターを制服の下に着こなす明菜の姉は、中学校の最上学年である3年生の中でも目立つグループに属していた。
「でも、私まだ1年だし…」
「私が1年のときは、夏くらいからもうグループがほとんど出来てて、そのときにはだいたい自分がクラスのどの位置にいるかっていうのが見えたんだよね。まぁ私の友達は可愛い子ばっかり集めてたから、当然1軍だったけど」
「ふうん…」
「興味ないの?まじ3軍とか、冴えないグループにいるのってダサいからね?学校生活死ぬよ?」
「今はまだ、小学校からのメンバーでつるんでるだけだから…」
「それも、中1が終わるときにはバラバラになってるよ。タイプてみんな違うじゃん?いつまでも小学校同士でつるむやつもいるけどさ」
明菜と同じ小学校から来た友達は、もちろん明菜には2つ年上に姉がいることを知っている。
それも、超不良で、小学校からギャル雑誌の読モまでしていた人なのでわりと有名だと思う。
ただ、明菜は服などは姉からおさがりをもらって着ていたから同じように派手に見られていただけで、実際に自分がそういう格好が好きかと言われたら、わからない。
正直、友達もただ気があう子と一緒にいるだけだ。元気で、運動神経が良くて、物事をハッキリ言って冗談が通じるタイプの友達が明菜の周りには多いだけだ。
「1軍とか、とくに興味ないけどな」
そんなことを言っていたのは、本当に中1の夏が終わることまでだった気がする。
夏休みが開けると、部活で一生懸命だった夏休みを過ごしたクラスメイトもいれば、新しく中学で知り合った友達とよく集まり、小学生のころは出来なかったちょっとした遠出を経験し、少しだけ大人に近づいたような気持ちになっている子たちもいた。明菜もそのひとりだった。
そんななか、同じ1年2組のクラスメイトの佐藤紀子ことデメキンは、夏休み中に何かトラブルがあったのか知らないけど、同じグループだったはずの舞と琴乃にあきらかにハブられていた。
小学校のころも女子はいろんないざこざがあったし、グループからハブられる子なんてしょっちゅういた。
だから「仕方ないか」と思いながら、最初は興味もなかった。
助ける義理もないし、気が合うわけでもない、明菜と同じグループで仲の良い韓国と日本のハーフであるヨウキも、女バスのエースらしいあかりも、「かわいそうだよね」とさえ言わなかった。だから明菜も、言わなかった。
ヨウキもあかりも、明菜とは小学校のころから仲良しで、同じミニバスに入っていた。あかりはバスケもうまいのに塾にも通っていて勉強もよくできたから、夏休みの宿題は全部あかりのを写させてもらった。
それでも文句言ってこないところが、明菜にとっては居心地の良い存在でもあった。
姉の言っていた言葉はいまだに理解できないし、明菜にとっては中学からの友達よりも小学校からの付き合いのほうがいまだに濃い存在になっている。このままでもいいと思っている。
だけど、そんなある時。
クラスで1番目立つ、久志に告られた。
久志は身長も高く、スポーツ万能で、サッカー部に所属しているのだが夏前までは小学校のころから付き合っていた彼女がいたはずだ。
どうやら夏休みに別れたらしく、明菜に告ってきたので、とりあえず付き合ってみることにした。
久志はみんなが履いていないナイキのレアなスニーカーを履いていて、髪の毛も少しだけたぶん染めているのに担任からはとくに注意もされないから、同じ中学生には見えないくらい大人っぽい。
そんな久志が彼氏になり、明菜は少しずつ、変わっていった。変わったつもりはないのに、何かが変わったといったほうが正解かもしれない。
中1の11月頃、舞と琴乃にハブられた紀子が、トイレ掃除の時間に1人だけ個室の便器掃除ばかりやらされていて、それを見て明菜が「紀子ばっかりなんで便器掃除してるの?だからちょっといつも臭いの?」と言ったら、それを聞いた同じクラスのみんなが大笑いしたのだ。
自分が言った言葉がこんなにみんなにウケるなんてびっくりで、明菜はみんなより背も高く可愛いし、姉も3年生でいて目立つ先輩だったこともあり、みんなが明菜に少しだけ気を遣っていたことも知っている。
だけどこの瞬間、クラスメイトのみんなが初めて明菜に親近感を抱いたのを明菜は見逃さなかった。
だから、明菜はその感覚を忘れてほしくなくて、次の日も、その次の日も、紀子を使ってその感覚を繰り返し味わった。
それが、中1の11月から、中2の夏休みまで続いたのだった。
そう言ってネイルをキラキラさせながら自転車通学でもないのに自転車で通学し、校則違反のちょっと網目の大きいダボっとしたセーターを制服の下に着こなす明菜の姉は、中学校の最上学年である3年生の中でも目立つグループに属していた。
「でも、私まだ1年だし…」
「私が1年のときは、夏くらいからもうグループがほとんど出来てて、そのときにはだいたい自分がクラスのどの位置にいるかっていうのが見えたんだよね。まぁ私の友達は可愛い子ばっかり集めてたから、当然1軍だったけど」
「ふうん…」
「興味ないの?まじ3軍とか、冴えないグループにいるのってダサいからね?学校生活死ぬよ?」
「今はまだ、小学校からのメンバーでつるんでるだけだから…」
「それも、中1が終わるときにはバラバラになってるよ。タイプてみんな違うじゃん?いつまでも小学校同士でつるむやつもいるけどさ」
明菜と同じ小学校から来た友達は、もちろん明菜には2つ年上に姉がいることを知っている。
それも、超不良で、小学校からギャル雑誌の読モまでしていた人なのでわりと有名だと思う。
ただ、明菜は服などは姉からおさがりをもらって着ていたから同じように派手に見られていただけで、実際に自分がそういう格好が好きかと言われたら、わからない。
正直、友達もただ気があう子と一緒にいるだけだ。元気で、運動神経が良くて、物事をハッキリ言って冗談が通じるタイプの友達が明菜の周りには多いだけだ。
「1軍とか、とくに興味ないけどな」
そんなことを言っていたのは、本当に中1の夏が終わることまでだった気がする。
夏休みが開けると、部活で一生懸命だった夏休みを過ごしたクラスメイトもいれば、新しく中学で知り合った友達とよく集まり、小学生のころは出来なかったちょっとした遠出を経験し、少しだけ大人に近づいたような気持ちになっている子たちもいた。明菜もそのひとりだった。
そんななか、同じ1年2組のクラスメイトの佐藤紀子ことデメキンは、夏休み中に何かトラブルがあったのか知らないけど、同じグループだったはずの舞と琴乃にあきらかにハブられていた。
小学校のころも女子はいろんないざこざがあったし、グループからハブられる子なんてしょっちゅういた。
だから「仕方ないか」と思いながら、最初は興味もなかった。
助ける義理もないし、気が合うわけでもない、明菜と同じグループで仲の良い韓国と日本のハーフであるヨウキも、女バスのエースらしいあかりも、「かわいそうだよね」とさえ言わなかった。だから明菜も、言わなかった。
ヨウキもあかりも、明菜とは小学校のころから仲良しで、同じミニバスに入っていた。あかりはバスケもうまいのに塾にも通っていて勉強もよくできたから、夏休みの宿題は全部あかりのを写させてもらった。
それでも文句言ってこないところが、明菜にとっては居心地の良い存在でもあった。
姉の言っていた言葉はいまだに理解できないし、明菜にとっては中学からの友達よりも小学校からの付き合いのほうがいまだに濃い存在になっている。このままでもいいと思っている。
だけど、そんなある時。
クラスで1番目立つ、久志に告られた。
久志は身長も高く、スポーツ万能で、サッカー部に所属しているのだが夏前までは小学校のころから付き合っていた彼女がいたはずだ。
どうやら夏休みに別れたらしく、明菜に告ってきたので、とりあえず付き合ってみることにした。
久志はみんなが履いていないナイキのレアなスニーカーを履いていて、髪の毛も少しだけたぶん染めているのに担任からはとくに注意もされないから、同じ中学生には見えないくらい大人っぽい。
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自分が言った言葉がこんなにみんなにウケるなんてびっくりで、明菜はみんなより背も高く可愛いし、姉も3年生でいて目立つ先輩だったこともあり、みんなが明菜に少しだけ気を遣っていたことも知っている。
だけどこの瞬間、クラスメイトのみんなが初めて明菜に親近感を抱いたのを明菜は見逃さなかった。
だから、明菜はその感覚を忘れてほしくなくて、次の日も、その次の日も、紀子を使ってその感覚を繰り返し味わった。
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