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二匹の竜
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チリリリリ♪チリリリリ♪
(うるさいなぁもう…)
ふぁ~あ…
AM5時30分か
(はやく行かないと、ランサーさんに叱られちゃうよ…)
俺はすぐに装備を整えた。
お父さんは夜間防衛の順番がまわってきたって言ってたから、お昼頃まで帰ってこないだろう。
「いってきまーす」
(…て言ってもお母さんはまだ寝てるか…)
ガチャッ
「 ‼ 」
外の景色を見て俺は混乱した。
おい、なんで上に…
「“雲”がある………」
雲は島の下にしかないはず。それなのになぜ…
「そうだ!早く本部にむかわなければ!」
俺は必死に走って本部へ駆け込んだ。
「ランサーさん、ランサーさん居ますか!」
「おはようレイン、その様子から察するに、頭上の雲を見たな。」
「はい、ランサーさん、なんでそんなに落ち着いてるんですか…?……ハァハァ」
「俺も驚いた。しかし、俺たちは兵士だ。俺たちが動揺していてはまずいだろ。」
「今は落ち着いて本部からの指示を待て。飯は食ってきたか?食堂でゆっくりしてきなよ。」
「ただし、命令が出たらすぐに動いて貰うからな。たとえ大好きなハニートーストを食べていたとしても。」
ランサーさんの言葉で少し落ち着いた。
(アレ?俺トーストが好きってランサーさんには言ってない気が…まぁいいか。)
俺は食堂に入って席に座り、深呼吸をした。
(まだ朝早いから街は静かだが、そのうち大混乱になるだろうな…)
俺はトーストとコーヒーを食べた。
周りにはちらほらと飛行隊のメンバーが座っているが、全員うかない表情をしている。
誰も話などせず、えらく静かだ。
俺は食堂から出て本部屋上のベンチへ腰かけた。
頭上には依然として分厚い雲が波うっている。
「今までこんなこと、一度も無かったのに、なんで突然…」
空に伝令兵の姿が見えた。
俺はそれを見て、作戦の開始を察した。
「これより、本部からの司令を伝える。」
ランサーさんの声で、全員の目に緊張が走る。
「アクイラ、フローラ、ザギート三国の上空に謎の雲を確認。各部隊は雲の中を調査し、原因解明につとめよ。万が一竜の姿を発見した場合は、戦闘は避け、速やかに報告するように。」
「以上だ。総員、飛行準備に移れ。」
『はい!』
(頼む…ただの自然現象であってくれ…)
第4飛行隊はいつも通りの隊列を組んで飛行する。
「俺たちの部隊はアクイラ上空南東方向を調査する。部隊長に続け。」
第4飛行隊は綺麗な隊列を保ちながら上空の雲めがけて急上昇した。
「一旦止まれ‼」
ランサーさんの指示で速度を落とす。
もう雲ギリギリの位置だ。
「これより、俺一人で雲の中へ入り、雲に有毒性が無いか確認してくる。お前たちは、ここで待機していろ。もし緊急事態が起きたら、部隊長の指示に従うように。」
「待ってください!それではランサーさんが危険です!」
俺の言葉は届かず、ランサーさんは雲の中へ入っていった。
(それに、あなたが居なければ…、部隊長の指示が通りません‼)
暫くたつと、ランサー副部隊長が戻ってきた。
この間こちらでは特に変わったことは起きなかった。
(良かった…)
「この雲は無害だった。しかし、雲の中は非常に視界が悪い。総員ランタンを点火し、調査作業に移れ。」
俺たちは右腰に吊り下げたランタンを点火した。スイッチひとつで火が付き、三時間は燃え続ける。
部隊長を先頭に雲の中へ突入した。
本当に視界が悪い。隣にいる仲間の姿さえ見えないが、ランタンの明かりでかろうじて存在を確認できる。
ランサーさんが何か言っているのは分かるが全く聞き取れない。風の音が凄い…
強烈な風と視界の悪さで隊列が乱れているようだった。
隣にいた仲間の明かりはもう見えない。
少しずつ仲間同士が離れていっている気がした。
「ゥァァァァァ…」
遠くで声がした。何かがおかしい。
(アレ?)落ちていく明かりが幾つか見えた。
やっぱり変だ!何か、良からぬことが起きている!
「グォォォォォォォォオオオ‼‼…」
「うわぁぁあ‼」
なんだ今のは‼目の前を大きな何かが物凄いスピードで通過した。
俺の鳥は少し切り傷をおっていた。
今のは…竜だ…しかし、以前の火竜とは違う容姿だった。
その青い体は金属のように光沢があってゴツゴツしていた。額には青い宝石がついていて、その上に長く鋭い剣のような角が生えていた。
はっきりと見えなかったが、翼にも刀のように鋭い爪がびっしり生えていたように思う。
「…ァァァァァ……」
また悲鳴だ。
まずい、ここに居るのはまずい!
すると、ランタンの明かりらしきものが近づいてきた。
「全員雲の下へ避難しろ‼急げ‼」
ランサーさんの声だ。
雲の中を飛び回り、全員に声をかけてまわっているようだった。
俺は全力で急下降した。
……抜けた…
辺りを見渡すと仲間の兵士が飛んでいた。明らかに数が少ない。
ランサーさんが雲の中から出てきた。
「ダメだ、これ以上見つからない。今ここに飛んでいない隊員は、恐らく…」
全員の表情に恐怖と絶望が見えた。
俺はヴィルゴに声をかけた。
「おい、ヴィルゴ…レティは、どうしたんだ?」
「………」
「おい、お前の隣を飛んでいただろ!どこいったんだよ!」
「……落ちた。」
「竜が目の前を通って…気づいたらもう、竜もレティも居なかった…」
ヴィルゴの声が震えていた。
「地上へ向かうぞ‼」
ランサーさんの指示で地上へ戻った。
フォルナがすすり泣いている。
街を見渡すと、建物は兵士の血に染まり、辺りには鳥や兵士の肉片が転がっていた。
レティの死体は見つからなかったから、きっと雲の下の闇へ落ちていったのだろう。
ランサーさんが点呼をとった。
「32人か…」
第4飛行隊だけでも、18人の命が失われた。
他の部隊にも多数の犠牲者が出たようだった。
フローラ、ザギートでも被害は出ているはずだから、死者は相当な数だろう。
「俺は司令部へ報告に行ってくる。皆は部隊長に続き、一度本部へ戻れ。」
本部へ戻ったが、誰も口を開かない。皆うつむいて、残酷な現実に絶望していた。
暫くして、ランサーさんが帰ってきた。
「司令部へ行ったが、すでに他の部隊が報告を済ませていた。」
「………」
「しっかりしろ、今は泣くときではない!戦う時だ!」
「司令部から新たな命令が出た。」
「上空の雲を、“取り払う”。」
(うるさいなぁもう…)
ふぁ~あ…
AM5時30分か
(はやく行かないと、ランサーさんに叱られちゃうよ…)
俺はすぐに装備を整えた。
お父さんは夜間防衛の順番がまわってきたって言ってたから、お昼頃まで帰ってこないだろう。
「いってきまーす」
(…て言ってもお母さんはまだ寝てるか…)
ガチャッ
「 ‼ 」
外の景色を見て俺は混乱した。
おい、なんで上に…
「“雲”がある………」
雲は島の下にしかないはず。それなのになぜ…
「そうだ!早く本部にむかわなければ!」
俺は必死に走って本部へ駆け込んだ。
「ランサーさん、ランサーさん居ますか!」
「おはようレイン、その様子から察するに、頭上の雲を見たな。」
「はい、ランサーさん、なんでそんなに落ち着いてるんですか…?……ハァハァ」
「俺も驚いた。しかし、俺たちは兵士だ。俺たちが動揺していてはまずいだろ。」
「今は落ち着いて本部からの指示を待て。飯は食ってきたか?食堂でゆっくりしてきなよ。」
「ただし、命令が出たらすぐに動いて貰うからな。たとえ大好きなハニートーストを食べていたとしても。」
ランサーさんの言葉で少し落ち着いた。
(アレ?俺トーストが好きってランサーさんには言ってない気が…まぁいいか。)
俺は食堂に入って席に座り、深呼吸をした。
(まだ朝早いから街は静かだが、そのうち大混乱になるだろうな…)
俺はトーストとコーヒーを食べた。
周りにはちらほらと飛行隊のメンバーが座っているが、全員うかない表情をしている。
誰も話などせず、えらく静かだ。
俺は食堂から出て本部屋上のベンチへ腰かけた。
頭上には依然として分厚い雲が波うっている。
「今までこんなこと、一度も無かったのに、なんで突然…」
空に伝令兵の姿が見えた。
俺はそれを見て、作戦の開始を察した。
「これより、本部からの司令を伝える。」
ランサーさんの声で、全員の目に緊張が走る。
「アクイラ、フローラ、ザギート三国の上空に謎の雲を確認。各部隊は雲の中を調査し、原因解明につとめよ。万が一竜の姿を発見した場合は、戦闘は避け、速やかに報告するように。」
「以上だ。総員、飛行準備に移れ。」
『はい!』
(頼む…ただの自然現象であってくれ…)
第4飛行隊はいつも通りの隊列を組んで飛行する。
「俺たちの部隊はアクイラ上空南東方向を調査する。部隊長に続け。」
第4飛行隊は綺麗な隊列を保ちながら上空の雲めがけて急上昇した。
「一旦止まれ‼」
ランサーさんの指示で速度を落とす。
もう雲ギリギリの位置だ。
「これより、俺一人で雲の中へ入り、雲に有毒性が無いか確認してくる。お前たちは、ここで待機していろ。もし緊急事態が起きたら、部隊長の指示に従うように。」
「待ってください!それではランサーさんが危険です!」
俺の言葉は届かず、ランサーさんは雲の中へ入っていった。
(それに、あなたが居なければ…、部隊長の指示が通りません‼)
暫くたつと、ランサー副部隊長が戻ってきた。
この間こちらでは特に変わったことは起きなかった。
(良かった…)
「この雲は無害だった。しかし、雲の中は非常に視界が悪い。総員ランタンを点火し、調査作業に移れ。」
俺たちは右腰に吊り下げたランタンを点火した。スイッチひとつで火が付き、三時間は燃え続ける。
部隊長を先頭に雲の中へ突入した。
本当に視界が悪い。隣にいる仲間の姿さえ見えないが、ランタンの明かりでかろうじて存在を確認できる。
ランサーさんが何か言っているのは分かるが全く聞き取れない。風の音が凄い…
強烈な風と視界の悪さで隊列が乱れているようだった。
隣にいた仲間の明かりはもう見えない。
少しずつ仲間同士が離れていっている気がした。
「ゥァァァァァ…」
遠くで声がした。何かがおかしい。
(アレ?)落ちていく明かりが幾つか見えた。
やっぱり変だ!何か、良からぬことが起きている!
「グォォォォォォォォオオオ‼‼…」
「うわぁぁあ‼」
なんだ今のは‼目の前を大きな何かが物凄いスピードで通過した。
俺の鳥は少し切り傷をおっていた。
今のは…竜だ…しかし、以前の火竜とは違う容姿だった。
その青い体は金属のように光沢があってゴツゴツしていた。額には青い宝石がついていて、その上に長く鋭い剣のような角が生えていた。
はっきりと見えなかったが、翼にも刀のように鋭い爪がびっしり生えていたように思う。
「…ァァァァァ……」
また悲鳴だ。
まずい、ここに居るのはまずい!
すると、ランタンの明かりらしきものが近づいてきた。
「全員雲の下へ避難しろ‼急げ‼」
ランサーさんの声だ。
雲の中を飛び回り、全員に声をかけてまわっているようだった。
俺は全力で急下降した。
……抜けた…
辺りを見渡すと仲間の兵士が飛んでいた。明らかに数が少ない。
ランサーさんが雲の中から出てきた。
「ダメだ、これ以上見つからない。今ここに飛んでいない隊員は、恐らく…」
全員の表情に恐怖と絶望が見えた。
俺はヴィルゴに声をかけた。
「おい、ヴィルゴ…レティは、どうしたんだ?」
「………」
「おい、お前の隣を飛んでいただろ!どこいったんだよ!」
「……落ちた。」
「竜が目の前を通って…気づいたらもう、竜もレティも居なかった…」
ヴィルゴの声が震えていた。
「地上へ向かうぞ‼」
ランサーさんの指示で地上へ戻った。
フォルナがすすり泣いている。
街を見渡すと、建物は兵士の血に染まり、辺りには鳥や兵士の肉片が転がっていた。
レティの死体は見つからなかったから、きっと雲の下の闇へ落ちていったのだろう。
ランサーさんが点呼をとった。
「32人か…」
第4飛行隊だけでも、18人の命が失われた。
他の部隊にも多数の犠牲者が出たようだった。
フローラ、ザギートでも被害は出ているはずだから、死者は相当な数だろう。
「俺は司令部へ報告に行ってくる。皆は部隊長に続き、一度本部へ戻れ。」
本部へ戻ったが、誰も口を開かない。皆うつむいて、残酷な現実に絶望していた。
暫くして、ランサーさんが帰ってきた。
「司令部へ行ったが、すでに他の部隊が報告を済ませていた。」
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「上空の雲を、“取り払う”。」
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