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『クラスに転入してきた少年は天使だった(冬原interval02)』
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『クラスに転入してきた少年は天使だった(冬原interval02)』
そんな平和が崩れたきっかけは保健室の主、妖怪シジイ山崎の一言からだった。
「冬原先生」
「あ、はい。山崎先生、どうされました?」
職員室でスマホをいじっていたところ後ろから声をかけられた。
とっさに隠したが山崎にはしっかり見られていた。
「職員室で男探しはやめなさい。いつまでも学生気分ではいかんぞ」
「す、すみません」
私たちの会話が聞こえたのか周囲でもスマホをしまう気配があった。
私より年上の先輩同僚たちも必死なのだ。
しかし創立以来からこの学校の養護教諭として保健室に住み着くこの妖怪ジジイには誰も強く出られない。
男子生徒がらみで何かあれば頼りになる存在であるのは間違いなく、だいたい皆、世話になっているのだ。
特に私なんぞ、学生時代のやらかしも色々とあるし下手に出るしかない。
しかしこのジイ様……もとい山崎先生は、今年でいくつになるんだろうか。
私が入学した時からまったく容姿が変わっていないし、威圧感もおとろえることがない。
その上、背が高いくて声も低いから迫力が半端ないのだ。
若いころはさぞかしモテただろう。
子供は何人くらいいるんだろうか?
……あー、子供欲しい。
バンクの冷凍精子じゃなくて、ナマ精子が欲しい。
「聞いていますか? 冬原先生のところに男子生徒が転入してきたと聞きましたが」
「あ、はい。宮城ですね」
「その子は特別授業は受けているのですか?」
「……と、思いますけど」
いわゆる性全般に関する男子だけを集めて行われる、非常に面倒なアレだ。
普通は入学時に行われるものだし、宮城は二年生だ。元の学校で受けているだろう、と思う。
「確認はしていないのですか?」
「ええと……はい」
また小言が始まる、と思って覚悟したものの。
「急な転入だったと聞いておりますし、そういう事もありますか。では念のためという事で改めてこちらでも受けてもらいましょう。二度受けてはいけないというものでもないですが、受けていない可能性があるとそれはよろしくない」
「あ、はい」
怒られないじゃん、ラッキー。
「では、明日の放課後に進路指導室で。もし明日では彼の都合が悪ければ、日を改めましょう」
「わかりました。そのように伝えておきます」
そうして翌日。
私は宮城を呼び出し、山崎先生と三人で進路指導室にて特別授業を行った。
私たちが並んで座る前で、宮城はなんと私の前に座った。
普通、こういった場合の多くは男性教諭の前に座る事が多い為、山崎先生も少し驚いていたようだ。
……案外、私は宮城に好かれているのかもしれない。
って、いかんいかん。私は聖職者たる教師であり、彼は教え子だ。
決して性対象ではない。そういう目で見る事は許されん話だ。
そうして性に関する冊子を渡し、山崎先生がそれに付随する説明などを行う。
もしこのジイ様がいない場合、私がこれを説明しなければならない。
全くもってごめんだ。
男子生徒と二人で教室にいるだけで不審な噂をたてられかねないこのご時世、性に関するアレコレの説明など、セクハラだなんだと言われかねない。
養護教諭の多くが男性職員である理由の一つは、こういう面もあっての事だ。
横で話を聞いていると山崎先生が性交渉という言葉を発した際、宮城は私達が驚くようなリアクションをした。
性交渉とは、つまりセックスの事か、と問い返したのだ。
セックス。
たった四文字の単語だというのに、うら若き美少年が発するとなんと淫らな響きだろうか。
山崎先生も宮城のストレートな物言いに驚いていた。
しかし宮城は大事な話なので言葉の意味の取違いを招かない為だと言うと、私も山崎先生も感心したものだ。
正確な情報を得る為であり、恥ずかしがる素振りすらないというのは、私達を教師として、また大人として信用しているからに違いない。
私もガキの頃は、三十、四十の大人というものはきっと自分たちとは違う、成熟した思考や経験を持っているものだと思っていた。
しかし実際、大人の社会に入り、数年もすれば理解する。
ぶっちゃけ、あまり変わらない。
見た目だけは大人になるが、中身が劇的に立派になるかといったらそうでもないのだ。
立派な大人というのは、ガキの頃から立派なヤツがそのまま大きくなっただけだと思う。
しかし、そんな張りぼてでも、ここでは立派な大人を演じ切らねばならない。
山崎先生の説明が終わり、特別授業も終わりだ。
「では本日はこれにて解散としよう。繰り返すが冊子に目を通しておくように。不明な点な質問があればワシか担任の冬原先生に質問しなさい」
「うむ。宮城。一人で悩む事はないからな。恥ずかしがらず、何かあれば大人に頼れ」
私たちはそんな言葉で結び、退室しようとする宮城と一緒に私も同伴しようとしたが、失言のために居残りで一時間くらい説教された。
そんな平和が崩れたきっかけは保健室の主、妖怪シジイ山崎の一言からだった。
「冬原先生」
「あ、はい。山崎先生、どうされました?」
職員室でスマホをいじっていたところ後ろから声をかけられた。
とっさに隠したが山崎にはしっかり見られていた。
「職員室で男探しはやめなさい。いつまでも学生気分ではいかんぞ」
「す、すみません」
私たちの会話が聞こえたのか周囲でもスマホをしまう気配があった。
私より年上の先輩同僚たちも必死なのだ。
しかし創立以来からこの学校の養護教諭として保健室に住み着くこの妖怪ジジイには誰も強く出られない。
男子生徒がらみで何かあれば頼りになる存在であるのは間違いなく、だいたい皆、世話になっているのだ。
特に私なんぞ、学生時代のやらかしも色々とあるし下手に出るしかない。
しかしこのジイ様……もとい山崎先生は、今年でいくつになるんだろうか。
私が入学した時からまったく容姿が変わっていないし、威圧感もおとろえることがない。
その上、背が高いくて声も低いから迫力が半端ないのだ。
若いころはさぞかしモテただろう。
子供は何人くらいいるんだろうか?
……あー、子供欲しい。
バンクの冷凍精子じゃなくて、ナマ精子が欲しい。
「聞いていますか? 冬原先生のところに男子生徒が転入してきたと聞きましたが」
「あ、はい。宮城ですね」
「その子は特別授業は受けているのですか?」
「……と、思いますけど」
いわゆる性全般に関する男子だけを集めて行われる、非常に面倒なアレだ。
普通は入学時に行われるものだし、宮城は二年生だ。元の学校で受けているだろう、と思う。
「確認はしていないのですか?」
「ええと……はい」
また小言が始まる、と思って覚悟したものの。
「急な転入だったと聞いておりますし、そういう事もありますか。では念のためという事で改めてこちらでも受けてもらいましょう。二度受けてはいけないというものでもないですが、受けていない可能性があるとそれはよろしくない」
「あ、はい」
怒られないじゃん、ラッキー。
「では、明日の放課後に進路指導室で。もし明日では彼の都合が悪ければ、日を改めましょう」
「わかりました。そのように伝えておきます」
そうして翌日。
私は宮城を呼び出し、山崎先生と三人で進路指導室にて特別授業を行った。
私たちが並んで座る前で、宮城はなんと私の前に座った。
普通、こういった場合の多くは男性教諭の前に座る事が多い為、山崎先生も少し驚いていたようだ。
……案外、私は宮城に好かれているのかもしれない。
って、いかんいかん。私は聖職者たる教師であり、彼は教え子だ。
決して性対象ではない。そういう目で見る事は許されん話だ。
そうして性に関する冊子を渡し、山崎先生がそれに付随する説明などを行う。
もしこのジイ様がいない場合、私がこれを説明しなければならない。
全くもってごめんだ。
男子生徒と二人で教室にいるだけで不審な噂をたてられかねないこのご時世、性に関するアレコレの説明など、セクハラだなんだと言われかねない。
養護教諭の多くが男性職員である理由の一つは、こういう面もあっての事だ。
横で話を聞いていると山崎先生が性交渉という言葉を発した際、宮城は私達が驚くようなリアクションをした。
性交渉とは、つまりセックスの事か、と問い返したのだ。
セックス。
たった四文字の単語だというのに、うら若き美少年が発するとなんと淫らな響きだろうか。
山崎先生も宮城のストレートな物言いに驚いていた。
しかし宮城は大事な話なので言葉の意味の取違いを招かない為だと言うと、私も山崎先生も感心したものだ。
正確な情報を得る為であり、恥ずかしがる素振りすらないというのは、私達を教師として、また大人として信用しているからに違いない。
私もガキの頃は、三十、四十の大人というものはきっと自分たちとは違う、成熟した思考や経験を持っているものだと思っていた。
しかし実際、大人の社会に入り、数年もすれば理解する。
ぶっちゃけ、あまり変わらない。
見た目だけは大人になるが、中身が劇的に立派になるかといったらそうでもないのだ。
立派な大人というのは、ガキの頃から立派なヤツがそのまま大きくなっただけだと思う。
しかし、そんな張りぼてでも、ここでは立派な大人を演じ切らねばならない。
山崎先生の説明が終わり、特別授業も終わりだ。
「では本日はこれにて解散としよう。繰り返すが冊子に目を通しておくように。不明な点な質問があればワシか担任の冬原先生に質問しなさい」
「うむ。宮城。一人で悩む事はないからな。恥ずかしがらず、何かあれば大人に頼れ」
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