156 / 437
『幕間:GW編・二日目 夏木青葉の母、涼香(スズカ)の、とある一日(3)』
しおりを挟む
『幕間:GW編・二日目 夏木青葉の母、涼香(スズカ)の、とある一日(3)』
衝撃の事実に青葉が固まっていたので、その尻をひっぱたく。
「痛い!」
「そんな昔の事はどうでもいい、いまは未来を考える時だよ!」
私は今、どれだけのチャンスが降ってわいたかを理解していない愚娘をさとす。
「私らみたいな目に見える恋愛弱者が手段を選んでられるほど世の中甘くないんだよ!」
「え、アタシ、説教されてる?」
「ほら、トーストサンドとコーヒー。あとアンタのカフェオレだ。コーヒーぶっかけるのが出来ないってんなら、ちょっとお話しませんかって言って同席ゴリ押してきな!」
「……そんな事してたら、もう二度来ないんじゃないの?」
「そんな事しなくても二度来ないかもしれないんだから、初回から攻めるんだよ!」
ウチの娘は甘すぎる。
あんな極上のイケメン少年で、胸の大きさを嫌悪しないとか絶対に二度現れない奇跡だ。
悲しいかな、それを理解していない娘の人生経験の浅さよ。
ヤッてしまえばどうにかなるし、ヤラなきゃ次のステージには進めないんだよ!
出来上がったトースト、コーヒー、カフェオレを娘に持たせる。
「アンタは顔は悪くないんだから、あとはイケイケドンドンで押せばワンチャンあるんだよ!」
胸さえなければ私に似て見られる顔なんだ。強みを押し付けていくしかない。
「……母さんに似て美人って事?」
「もうちょっと私に似てればと思うけどねぇ」
「冗談でもその自信だけは尊敬するよ」
もちろん本音だ。
あの人は優しかったけど、あんまりイケメンじゃなかったからね。血の混じりってのは結果に正直だ。
「さ、行ってきな。閉店時間なんか気にしなくていいからね」
「……わかったよ」
しぶしぶという顔で、イケメンの座るボックス席に料理を運んでいく。
そして配膳をしつつ、一言二言と交わして……さらっと娘も席についた。
やるじゃないか! よくやった! と心の中で叫びながらキッチンの中で隠れてガッツポーズをとる。
マジで孫の顔チャンス? 青葉がこの年で産んでくれれば、夢のひ孫チャンスまで視野に入る。
オイオイ、私の人生勝ち組まっしぐらか?
サンドイッチを注文していたが、なんならこの場で親子丼をごちそうしてやってもかまわんぞ!? と一人で盛り上がってしまう私の鼓動をおさえこみ、二人を見守る。
こちらに背を向けている少年の表情はうかがえないが、青葉もまんざらじゃなさそうだ。
時折、笑い声があがったりもして、娘は本当に凄腕のナンパ師じゃないかと感心した。
しばらくすると互いに体を乗り出すほどに会話も盛り上がってきた。
私、今日はこのままマンガ喫茶にでもいって帰ってこない方がいいんじゃないかと思うくらいに和気あいあいだ。
しかし、イケメンは閉店時間五分前になると立ち上がった。
そしてレシートを手にカウンターに立っている私の所へやってくる。
青葉ァ! アンタなにやってんだよ、そこは今日はおごりですからまた寄ってくださいねって言う所だろう!?
そんな胸中を隠し、私はレジへと移動してイケメン君を接客用スマイルで迎える。
彼もまたレシートを差し出しながら、私に向かってニコリと微笑んだ。
え、何、この子、私に気があるの? ホントに親子丼食べていく?
「御馳走様でした。すみません、長居してしまって」
しかも礼儀正しすぎるんですけど。
天然記念物レベルの絶滅危惧種なんですけど。
「こちらこそすみません、おくつろぎの所、ウチのがお邪魔してしまったみたいで」
「いえ、とんでもないです。夏木さん……青葉さんには学校でもとてもお世話になっていまして」
「は?」
娘と知り合い? だと?
「申し遅れました。ボク、宮城京と言います。青葉さんとはクラスメートで席が隣です」
「あら、そうでしたか。青葉がご迷惑おかけしていなければいいんですが……」
私は青葉を見る。
すると目をそらした。
こんな男と知り合いって事を私に内緒にしていた理由は……あとで問い詰めてやるとして。
ふーむ。
すると、だ。
娘のベッドシーツに残っているうっすらとした染み。
まさか青葉に限ってと思っていた者の、やっぱりアレは……血の染みか!
この子とクラスメート、しかも隣の席、さらにこんなに関係良好。
そうなると答えは一つしかない。
衝撃の事実に青葉が固まっていたので、その尻をひっぱたく。
「痛い!」
「そんな昔の事はどうでもいい、いまは未来を考える時だよ!」
私は今、どれだけのチャンスが降ってわいたかを理解していない愚娘をさとす。
「私らみたいな目に見える恋愛弱者が手段を選んでられるほど世の中甘くないんだよ!」
「え、アタシ、説教されてる?」
「ほら、トーストサンドとコーヒー。あとアンタのカフェオレだ。コーヒーぶっかけるのが出来ないってんなら、ちょっとお話しませんかって言って同席ゴリ押してきな!」
「……そんな事してたら、もう二度来ないんじゃないの?」
「そんな事しなくても二度来ないかもしれないんだから、初回から攻めるんだよ!」
ウチの娘は甘すぎる。
あんな極上のイケメン少年で、胸の大きさを嫌悪しないとか絶対に二度現れない奇跡だ。
悲しいかな、それを理解していない娘の人生経験の浅さよ。
ヤッてしまえばどうにかなるし、ヤラなきゃ次のステージには進めないんだよ!
出来上がったトースト、コーヒー、カフェオレを娘に持たせる。
「アンタは顔は悪くないんだから、あとはイケイケドンドンで押せばワンチャンあるんだよ!」
胸さえなければ私に似て見られる顔なんだ。強みを押し付けていくしかない。
「……母さんに似て美人って事?」
「もうちょっと私に似てればと思うけどねぇ」
「冗談でもその自信だけは尊敬するよ」
もちろん本音だ。
あの人は優しかったけど、あんまりイケメンじゃなかったからね。血の混じりってのは結果に正直だ。
「さ、行ってきな。閉店時間なんか気にしなくていいからね」
「……わかったよ」
しぶしぶという顔で、イケメンの座るボックス席に料理を運んでいく。
そして配膳をしつつ、一言二言と交わして……さらっと娘も席についた。
やるじゃないか! よくやった! と心の中で叫びながらキッチンの中で隠れてガッツポーズをとる。
マジで孫の顔チャンス? 青葉がこの年で産んでくれれば、夢のひ孫チャンスまで視野に入る。
オイオイ、私の人生勝ち組まっしぐらか?
サンドイッチを注文していたが、なんならこの場で親子丼をごちそうしてやってもかまわんぞ!? と一人で盛り上がってしまう私の鼓動をおさえこみ、二人を見守る。
こちらに背を向けている少年の表情はうかがえないが、青葉もまんざらじゃなさそうだ。
時折、笑い声があがったりもして、娘は本当に凄腕のナンパ師じゃないかと感心した。
しばらくすると互いに体を乗り出すほどに会話も盛り上がってきた。
私、今日はこのままマンガ喫茶にでもいって帰ってこない方がいいんじゃないかと思うくらいに和気あいあいだ。
しかし、イケメンは閉店時間五分前になると立ち上がった。
そしてレシートを手にカウンターに立っている私の所へやってくる。
青葉ァ! アンタなにやってんだよ、そこは今日はおごりですからまた寄ってくださいねって言う所だろう!?
そんな胸中を隠し、私はレジへと移動してイケメン君を接客用スマイルで迎える。
彼もまたレシートを差し出しながら、私に向かってニコリと微笑んだ。
え、何、この子、私に気があるの? ホントに親子丼食べていく?
「御馳走様でした。すみません、長居してしまって」
しかも礼儀正しすぎるんですけど。
天然記念物レベルの絶滅危惧種なんですけど。
「こちらこそすみません、おくつろぎの所、ウチのがお邪魔してしまったみたいで」
「いえ、とんでもないです。夏木さん……青葉さんには学校でもとてもお世話になっていまして」
「は?」
娘と知り合い? だと?
「申し遅れました。ボク、宮城京と言います。青葉さんとはクラスメートで席が隣です」
「あら、そうでしたか。青葉がご迷惑おかけしていなければいいんですが……」
私は青葉を見る。
すると目をそらした。
こんな男と知り合いって事を私に内緒にしていた理由は……あとで問い詰めてやるとして。
ふーむ。
すると、だ。
娘のベッドシーツに残っているうっすらとした染み。
まさか青葉に限ってと思っていた者の、やっぱりアレは……血の染みか!
この子とクラスメート、しかも隣の席、さらにこんなに関係良好。
そうなると答えは一つしかない。
33
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
貞操逆転世界で出会い系アプリをしたら
普通
恋愛
男性は弱く、女性は強い。この世界ではそれが当たり前。性被害を受けるのは男。そんな世界に生を受けた葉山優は普通に生きてきたが、ある日前世の記憶取り戻す。そこで前世ではこんな風に男女比の偏りもなく、普通に男女が一緒に生活できたことを思い出し、もう一度女性と関わってみようと決意する。
そこで会うのにまだ抵抗がある、優は出会い系アプリを見つける。まずはここでメッセージのやり取りだけでも女性としてから会うことしようと試みるのだった。
お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?
すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。
お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」
その母は・・迎えにくることは無かった。
代わりに迎えに来た『父』と『兄』。
私の引き取り先は『本当の家』だった。
お父さん「鈴の家だよ?」
鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」
新しい家で始まる生活。
でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。
鈴「うぁ・・・・。」
兄「鈴!?」
倒れることが多くなっていく日々・・・。
そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。
『もう・・妹にみれない・・・。』
『お兄ちゃん・・・。』
「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」
「ーーーーっ!」
※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。
※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。
※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)
クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について
沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。
かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。
しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。
現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。
その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。
「今日から私、あなたのメイドになります!」
なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!?
謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける!
カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる