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『保健室にて、昨日ぶりの再会』
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『保健室にて、昨日ぶりの再会』
保健室をノックしても返事はない。仕方なく勝手に入り、二つあるベッドのうちの一つを借りるべく仕切りのカーテンを引いて中に入る。
山崎先生がいるかと思ったが、まだ出勤していないようだ。それはそれでどうなんだと思うが、保険医の出勤形態は通常の教員と違う可能性もあるし、そもそも山崎先生がいたらいたで、説明が面倒くさい。
どこの男子トイレが壊れていたなどと追及されるとオレも困る。
やがてホームルームが始まるチャイムがなり、しばらくして一限目の授業が始まるチャイムも鳴る。
オレは濡れていた服を全部脱いだ全裸の状態で一枚のバスタオルを腰に巻き、もう一枚を肩にかけた状態でベッドの上に座って先生を待っていた。
一限目の半分くらいの時間が過ぎただろうか。
コンコンと控えめなノックの後。
「失礼します」
と、どこか聞き覚えのある声とともにドアの開く音がした。
「……宮城君、いる?」
「あ、春日井さん?」
そういえばこの声、春日井さんだ。
まださほど親しくないのもあって、顔が見えないと声だけではちょっと誰だかわからない。
「冬原先生に言われて。その、着替え、持ってきたけど……」
おや。
先生からのお使いとは意外だ。
てっきり先生自身が来ると思っていた。
かわいく嫉妬していた春日井さんを近づけたくないと思っていたが、この世界の女性特有の機微的なものがあるんだろうか?
「ありがとう、こっちだよ」
オレはベッドの仕切りのカーテンから顔だけをひょっこりだして、春日井さんを見る。
春日井さんの手には大きめの手提げの紙袋があった。
「こ、これ。先生が着替えなさいって」
「うん」
と、ここでそれを受け取ろうとカーテンの中から手を伸ばした時。
「あ」
肩にかけていたタオルが落ち、開いたカーテンから上半身を晒す事になった。
上半身裸というのは前世の女性とは違って性的な露出ではないとはいえ、自分だけが半裸で相手が制服というのは微妙に恥ずかしいものだ。
「ご、ごめんなさい!」
あわてて後ろを向く春日井さん。
別に彼女は悪くないし、そこまで過剰に反応されるとオレもますます恥ずかしくなってしまう。
というか、春日井さんはここでオレの着替えを待つつもりか。
委員長的な仕事として先生に一緒に連れてこいと言われているのかもしれない。
「ありがとう」
「う、ううん。一限目の先生には事情が伝わってるから、ゆ、ゆっくり着替えて! 私、待ってるから!」
やはりそういう事情だった。
まー、確かに私服でウロウロして他の先生に見つかるたびに事情説明というのもダルい話だ。
少なくとも春日井さんが同伴してくれれば、私服で入り込んだ部外者と思われとしても事なきを得るだろうし助かる。
紙袋のに中にはコンビニの袋も入っていて、そちらには下着……黒の肌着用シャツと黒のボクサーパンツが入っていた。
紙袋の方に直接入っていたのは、ビニールに包まれたままの黒い襟付きカッターシャツ、黒いスラックス、黒の靴下だ。ちなみに黒のベストまで入っている。
スリーピースのスーツで、ジャケットだけがないという組み合わせだ。
紙袋はお安い服屋のものだったが、こんなものが売っている店ではない。という事は冬原先生の私物だろうか? 昔の恋人のもの……いや、先生、処女だったしなぁ。
気になるのでそのへんは後から聞いてみよう。
「しっかし真っ黒だなー」
なんでこんなに真っ黒なんだと思ったが、濡れた学ランの代わりに着ろという事なんだろう。
いかにも私服、という恰好では目立ってしまうし、先生の心遣いに感謝だ。
学生服のズボンからベルドだけ抜いて、黒いシャツやズボンに着替えていく。
薄い布地のすぐそこにクラスメートがいるという状況で、一瞬とはいえ全裸になって着替えるというのはなかなかに刺激的ではある。先日のミス露出狂(年齢的にもミセスではないと思う)もこんな気分だったのだろうか。
そういう趣味はオレにはないはずだが、やはりメジャーな性癖というのはその適正がなくとも感じ入るものはあるというわけだ……いや、そうか?
オレはどうにも自分の感覚がおかしいような、それでいて当然のように、ちょっとした露出プレイ(仕切りあり)を楽しみつつ、着替えを終えて待っていた春日井さんに声をかける。
「おまたせ」
「えっ!? うぅ、んんん!」
ううん、と否定しようとしたっぽいが、オレの姿を見て息を飲む春日井さん。
確かに制服とは違ってシックなカンジだが……やはりイケメンは何を着てもイケメンという事か。
フ、もてる男はツライぜ。
などとバカな事を考えていても春日井さんは動かない。
「どうしたの? ボクの私服姿に見惚れた?」
などと冗談交じりに言ってみる。
「う、うん。昨日も制服だったし、それってスーツ? なのかな? すごくカッコいいと思うわ!」
本気でとられてしまった。
これでは自分の容姿に自信満々なイヤなヤツだと思うのだが、それくらいではなんとも思われないぐらい、この世界の男子生徒の素行がひどいという事か。
「そう? ありがとう。けれど昨日の春日井さん方がオシャレだったよ?」
カアッと顔を赤くかる春日井さん。
昨日のギャルのような恰好は、今のキッチリとした制服姿からは想像できない。
「さ。冗談はこのくらいにして戻ろうか。ごめんね春日井さん、わざわざ抜け出して服を届けてくれて」
「ううん。いいのよ。それに冬原先生からも聞いたけど、副委員長、やってくれるって本当に?」
もう話が通っているらしい。話が早い。
「うん。今朝聞いてみたら、やる気があるならやっていい、って言われたよ」
「ふふ。そう、みんなきっと喜ぶわ」
「そうかな?」
「ええ。だから次の二次限目……」
ふと考える春日井さん。
「いえ、この後教室に戻った後、一限目の終わりの号令、やってみる? サプライズよ」
「……できるかな?」
「ふふ。簡単よ。先生が今日はここまでとか号令とか言われたら、起立、礼って言うだけだから。あ、けど、始まりの号令は起立、礼、着席、ね」
「うん、わかった。じゃあ、早速やってみようかな?」
保健室をノックしても返事はない。仕方なく勝手に入り、二つあるベッドのうちの一つを借りるべく仕切りのカーテンを引いて中に入る。
山崎先生がいるかと思ったが、まだ出勤していないようだ。それはそれでどうなんだと思うが、保険医の出勤形態は通常の教員と違う可能性もあるし、そもそも山崎先生がいたらいたで、説明が面倒くさい。
どこの男子トイレが壊れていたなどと追及されるとオレも困る。
やがてホームルームが始まるチャイムがなり、しばらくして一限目の授業が始まるチャイムも鳴る。
オレは濡れていた服を全部脱いだ全裸の状態で一枚のバスタオルを腰に巻き、もう一枚を肩にかけた状態でベッドの上に座って先生を待っていた。
一限目の半分くらいの時間が過ぎただろうか。
コンコンと控えめなノックの後。
「失礼します」
と、どこか聞き覚えのある声とともにドアの開く音がした。
「……宮城君、いる?」
「あ、春日井さん?」
そういえばこの声、春日井さんだ。
まださほど親しくないのもあって、顔が見えないと声だけではちょっと誰だかわからない。
「冬原先生に言われて。その、着替え、持ってきたけど……」
おや。
先生からのお使いとは意外だ。
てっきり先生自身が来ると思っていた。
かわいく嫉妬していた春日井さんを近づけたくないと思っていたが、この世界の女性特有の機微的なものがあるんだろうか?
「ありがとう、こっちだよ」
オレはベッドの仕切りのカーテンから顔だけをひょっこりだして、春日井さんを見る。
春日井さんの手には大きめの手提げの紙袋があった。
「こ、これ。先生が着替えなさいって」
「うん」
と、ここでそれを受け取ろうとカーテンの中から手を伸ばした時。
「あ」
肩にかけていたタオルが落ち、開いたカーテンから上半身を晒す事になった。
上半身裸というのは前世の女性とは違って性的な露出ではないとはいえ、自分だけが半裸で相手が制服というのは微妙に恥ずかしいものだ。
「ご、ごめんなさい!」
あわてて後ろを向く春日井さん。
別に彼女は悪くないし、そこまで過剰に反応されるとオレもますます恥ずかしくなってしまう。
というか、春日井さんはここでオレの着替えを待つつもりか。
委員長的な仕事として先生に一緒に連れてこいと言われているのかもしれない。
「ありがとう」
「う、ううん。一限目の先生には事情が伝わってるから、ゆ、ゆっくり着替えて! 私、待ってるから!」
やはりそういう事情だった。
まー、確かに私服でウロウロして他の先生に見つかるたびに事情説明というのもダルい話だ。
少なくとも春日井さんが同伴してくれれば、私服で入り込んだ部外者と思われとしても事なきを得るだろうし助かる。
紙袋のに中にはコンビニの袋も入っていて、そちらには下着……黒の肌着用シャツと黒のボクサーパンツが入っていた。
紙袋の方に直接入っていたのは、ビニールに包まれたままの黒い襟付きカッターシャツ、黒いスラックス、黒の靴下だ。ちなみに黒のベストまで入っている。
スリーピースのスーツで、ジャケットだけがないという組み合わせだ。
紙袋はお安い服屋のものだったが、こんなものが売っている店ではない。という事は冬原先生の私物だろうか? 昔の恋人のもの……いや、先生、処女だったしなぁ。
気になるのでそのへんは後から聞いてみよう。
「しっかし真っ黒だなー」
なんでこんなに真っ黒なんだと思ったが、濡れた学ランの代わりに着ろという事なんだろう。
いかにも私服、という恰好では目立ってしまうし、先生の心遣いに感謝だ。
学生服のズボンからベルドだけ抜いて、黒いシャツやズボンに着替えていく。
薄い布地のすぐそこにクラスメートがいるという状況で、一瞬とはいえ全裸になって着替えるというのはなかなかに刺激的ではある。先日のミス露出狂(年齢的にもミセスではないと思う)もこんな気分だったのだろうか。
そういう趣味はオレにはないはずだが、やはりメジャーな性癖というのはその適正がなくとも感じ入るものはあるというわけだ……いや、そうか?
オレはどうにも自分の感覚がおかしいような、それでいて当然のように、ちょっとした露出プレイ(仕切りあり)を楽しみつつ、着替えを終えて待っていた春日井さんに声をかける。
「おまたせ」
「えっ!? うぅ、んんん!」
ううん、と否定しようとしたっぽいが、オレの姿を見て息を飲む春日井さん。
確かに制服とは違ってシックなカンジだが……やはりイケメンは何を着てもイケメンという事か。
フ、もてる男はツライぜ。
などとバカな事を考えていても春日井さんは動かない。
「どうしたの? ボクの私服姿に見惚れた?」
などと冗談交じりに言ってみる。
「う、うん。昨日も制服だったし、それってスーツ? なのかな? すごくカッコいいと思うわ!」
本気でとられてしまった。
これでは自分の容姿に自信満々なイヤなヤツだと思うのだが、それくらいではなんとも思われないぐらい、この世界の男子生徒の素行がひどいという事か。
「そう? ありがとう。けれど昨日の春日井さん方がオシャレだったよ?」
カアッと顔を赤くかる春日井さん。
昨日のギャルのような恰好は、今のキッチリとした制服姿からは想像できない。
「さ。冗談はこのくらいにして戻ろうか。ごめんね春日井さん、わざわざ抜け出して服を届けてくれて」
「ううん。いいのよ。それに冬原先生からも聞いたけど、副委員長、やってくれるって本当に?」
もう話が通っているらしい。話が早い。
「うん。今朝聞いてみたら、やる気があるならやっていい、って言われたよ」
「ふふ。そう、みんなきっと喜ぶわ」
「そうかな?」
「ええ。だから次の二次限目……」
ふと考える春日井さん。
「いえ、この後教室に戻った後、一限目の終わりの号令、やってみる? サプライズよ」
「……できるかな?」
「ふふ。簡単よ。先生が今日はここまでとか号令とか言われたら、起立、礼って言うだけだから。あ、けど、始まりの号令は起立、礼、着席、ね」
「うん、わかった。じゃあ、早速やってみようかな?」
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