【R18】転生先は男女比1:30の貞操逆転世界~ビッチを夢見る三十路の魂~

尾和 ハボレ

文字の大きさ
332 / 437

『餓狼たちの挽歌(3)』

しおりを挟む
『餓狼たちの挽歌(3)』

「金に困っているのか?」

教師の副業は禁止のはずだが、そうでもしないと繋ぎ止められないほど金を払っているという事か?

などと後輩の将来が不安になった瞬間。

「いえ、彼に」
「彼。というと、つまり、貴様の彼氏、か?」

ギチッと拳に力が入った。

よはや私相手に、惚気かつ自慢かつ追い打ちをかけてくるとは、成長したもんだ。

だが、美雪はこうも続けた。

「残念ながら”彼氏”ではないんです」
「……ふむ? であれば、やはり姉活の割り切った関係か?」

握っていた拳を開放する。

どうやら私が明日の朝刊を暴行事件で飾る事はなくなった。

「それも違うんですが。ただこれ、先輩にとっても良い話です」
「まぁ、お前が私を陥れるとかそういう事は考えないだろうからな。だが私にとっても良い話だと?」
「むしろ先輩はきっと私を拝みますよ。一生、私にチャーシュー特盛をおごりたいくらいには」
「ほーう?」

私にとって、そこまでいい話、という事か。

それにしては美雪の顔は浮かないが。

「正直に言います。ぶっちゃけ、私がその子を独り占めしたいのですが状況はそれを許しません。であれば、先輩のような地位と金のある知り合いにバックについて頂いたほうが、見知らぬ女狼(メロウ)にかっさわれるよりも良いと判断しました」
「……」

今。

確かに美雪は。

こう言った。

――その子、と。

「美雪、貴様」
「お察しの通りです。相手は私の受け持ちの高校生です」

コイツ、ついにヤリやがった!

いつかはヤルと思っていたが!

「今から貴様の自首に付き添って、その子のケアをすればいいという事か?」
「違います。信じられないでしょうが、関係を迫ってきたのは彼の方です」
「はぁ?」
「そして彼からの要望で、アルバイトを探していると言われまして。そのあっせん先に先輩の所がどうかな、と」
「待て待て、色々と情報量が多い」

わけがわからん。

「では簡潔に申し上げます。私、教え子と危ない関係に。教え子お金欲しくてバイトしたい。私、先輩にその子を紹介する。以上です」
「まったく説明になっとらんわ! そもそも男子高校生がバイトだと? お前の相手ができるなら姉活でもなんでもすればいいだろうが。手をつなぐだけで時給10万は固いぞ、私なら20は出す、早く紹介しろ!」

つい本音が漏れたが、美雪が首を横に振る。

「彼いわく、女性との交際で金をもらう事はしたくない、との事です。この言葉の意味、おわかりですか?」
「は? 聖書でもそんな言葉はのっとらんぞ。いや、待て、それはつまりお前、とも、そういう、事か?」
「はい。私とその子の間に金銭のやり取りはありません。ですが、私としては目の届かないところで働きでもして、そこで他の女に手を出されたくないですし、お手当をあげるからバイトなんてしないで欲しいと言ったんですが……ンンッ」

急に声色を変えた美雪は。

「お金目的でつき合っていると思われたくないんです。ボクは先生が魅力的だから一緒に過ごしてるんです、と言われ、つい私も、それなら割のいいバイト先を紹介、痛ッ、押忍、ありがとうございます!」

その子の声色を真似してのろけ始めた美雪の横っ面を張り飛ばす。

「事情はわかった。紹介先に私のところを選んだ美雪の心遣いには感謝しよう」
「押忍」

口もとの血を拭う美雪。

だが、本気か?

「その子、私の会社が何を扱っているか理解しているのか?」
「はい。話は通っています。ただ不特定多数に触れるような場は高校生としてアウトという事で、そこは先輩の良識を信用しております。私としては、先輩がいつも愚痴っている発表会やパーティーでの”書類持ち”にどうかな、と。来週、小さめの展示会があると言ってませんでした?」
「……ああ、なるほど、な」

説明はまったく足りんが、色々と合点がいく話だった。

私も美雪も脳筋系だが頭が悪いわけではない。

悪知恵や抜け道を探すという点では、卓越している自負もある。

「その子も先輩の会社の空気を見て良いと感じれば、就職先としても視野に入れたいと言っていましたので、企業見学を兼ねたものと思ってもらえれば」
「色々と理解した。美雪。私はお前のような後輩を持って果報者だ、店主、コイツの丼に厚切りチャーシューと半熟卵を上乗せだ!」
「押忍、ゴチになります」

美雪はカウンターへと自分の丼を捧げ持ち、店主はニコニコと笑いながらチャーシューと卵を投下した。

「ちなみにその子の写真はあるか? ”荷物持ち”となれば、それなりに”説得力”が必要だぞ?」
「当日のお楽しみ、という事で。まず期待外れとは言わせませんから」
「相当な自信だな。そんな子がよくお前のような年上を見初めたものだ。やはり金を出してるんじゃないか? もしくは内申点とか、弱みを握っているとか」

いまいち後輩の言葉が信じられず、邪推するものの。

「あんな子とデートの約束でもしようものなら、教師の安月給では手も握れませんよ。あと先輩、私も今や一人前の教師です。公私混同はしません」
「む、失言だったか。謝罪しよう」

私は自分の丼からチャーシューを一枚、美雪の丼に譲渡する。

むろん私だって、美雪が”自分から”そんな犯罪に手を染めるとは思っていない。

長い付き合いだ。

コイツは先輩や上役には従順で調子がいいし、後輩や年下には見栄っ張りのワリとダメなヤツだと知っている。

だが、他人を不幸にしてまで自分を満たそうとするほど悪辣ではないし、どちらかというと情の厚い女だ。

となると、やっぱりその高校生が特殊性癖なのか、年の差を気にしないほど美雪の内面に惹かれたか。

どちらにしろ、若いのに変わり者だ。

そうなると……私にもチャンスがあるのではないかと思ってしまう。

雇用者と被雇用者の関係から始まる恋だってあるだろう。

だが、どうしても気になる点がある。
しおりを挟む
感想 49

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

貞操逆転世界で出会い系アプリをしたら

普通
恋愛
男性は弱く、女性は強い。この世界ではそれが当たり前。性被害を受けるのは男。そんな世界に生を受けた葉山優は普通に生きてきたが、ある日前世の記憶取り戻す。そこで前世ではこんな風に男女比の偏りもなく、普通に男女が一緒に生活できたことを思い出し、もう一度女性と関わってみようと決意する。 そこで会うのにまだ抵抗がある、優は出会い系アプリを見つける。まずはここでメッセージのやり取りだけでも女性としてから会うことしようと試みるのだった。

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

処理中です...