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『王様と従者ゲーム、手書きカードを添えて』
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『王様と従者ゲーム、手書きカードを添えて』
さきほどとは違い、場は一転して殺伐としたものになった。
入念にシャッフルするショーコちゃん。
祈りを捧げるようにダイスを手の中に握りしめたエリちゃん、その手をさらに上から包むユリちゃん。
薫ちゃんはオレを視たり、周囲の友人を見たりしながらも、そわそわしたままだ。
「よし! 京君サン、どうぞ!」
仕切り直しといわんばかりに、ショーコちゃんが先ほどと同じようにオレに一番手をゆずってくる。
だが。
オレはここでルールの変更を申し出た。
「ねぇ、ショーコちゃん。カードをめくるのはダイスを振った後にしない?」
「え?」
「サプライズ的にそっちの方が面白いかなと思って。何が出ても皆が書いてある事を実行できるなら、だけど?」
オレは皆を見回す。
何かに気付いた皆がハッとして緊張感が走った。
やはりもともと書いてあるよりも攻めた事を書いているのだろう。
オレとしてはどんなエロい内容でも歓迎だが、目を細めた肉食女子たちは、今、あきらかに共食いを恐れている。
というか、女同士でアクションする可能性を忘れていた、という顔だ。
エロというのは後先を考えなくする。時にそれは己に向かう刃となるのだ。
「だ、大丈夫です、よ? なんだってやって見せます、よ?」
ショーコちゃんがややひきつった笑顔で答える。ナニを書いたのやら。
エリちゃんのユリちゃんも瓜二つの互いの顔を見つめたあと、オレにうなずく。
「薫ちゃんは?」
「だ、大丈夫ッス!」
皆の了解が得られた所でオレはダイスを手にした。
「じゃあ、ゲームを始めようか?」
そしてオレは手の中のダイスをガラステーブルへ落とした。
1回目。
オレの出目は01。ほぼ確定の従者。幸先がいい。
「……ッ!?」
四人が息をのんだ。
薫ちゃんはまだオレの唇の感触が残っているのか、自分の首筋に手をやって身を縮めてさきほどの快感の余韻に浸っている。
そんな薫ちゃんを見て、次は自分も! とばかりにダイスが奪い合われる。
エリちゃん、05。ソファの上に崩れ落ちる。
ユリちゃん、14。丸イスの上でガッツポーズして転びそうになる。
ショーコちゃん、16。
その数字を見た瞬間ショーコちゃんは「ひゃあああ!」という奇声をあげながらオレに抱き着きそうになったところを、後ろからユリちゃんが「ステイステイ!」と言いながら羽交い絞めにした。
「さ、薫ちゃんの番だよ」
「ッス! 16なんぞ!」
ガラステーブルを転がるダイスにショーコちゃんの視線が突き刺さる。
――16。ショーコちゃんと同数にて一位。
「むっ」
「くっ」
二人の視線が火花を上げ、ショーコちゃんがダイスを手にした。
「カオル、アタシから振る――」
王様決定戦とばかりにショーコちゃんが振ろうとした時。
オレはすでにカードをめくっていた。
『え?』
二人の声がハモる。
オレはそれをあえて無視して、めくったカードを見る。
奇しくもそれは最初に出てきた『誉めながら頭をなでる』というカードだった。
そして今はそこに二重線が引かれ『肩を抱き寄せながら耳たぶを甘噛み』とあった。
なかなか渋い趣味。いいセンスだ。
オレはそれをヒラヒラさせながら。
「こんなエッチなコトを書いた子はダレかなー?」
そう言いながら見回す。
すると、おずおずとユリちゃんが手を挙げた。
「あ、あの。すいません、チョーシに乗りました。やっぱりダメですよね?」
「ふふふ? けど少し恥ずかしいから、照明をもう少し暗くしてくれるならいいよ?」
それを横で聞いていたエリちゃんが風になった。
カラオケルームの証明というのは、だいたい明るさが調整できる種類のものが備え付けられている。
この部屋のものもそうだった。エリちゃんが少しずつ部屋を暗くしていく。
「ありがと、それくらいにしようか。真っ暗だとカードもダイスも見えなくなっちゃうからね。あ、ついでにミラーボールもつけようか?」
「は、はい!」
この部屋にはキラキラした照明でもあるミラーボールがついていた。エリちゃんがスイッチを入れると、
暗くなった部屋に色々とりどりの光の粒が舞い始める。
「さて。おや? 二人ともどうしたの?」
ショーコちゃんと薫ちゃんが『肩を抱き寄せながら耳たぶを甘噛み』というカードを見て固まっていた。
「あ、あの、京君サン、それ、ホントにやるんですか?」
「そんな、いいンスか!? やっぱりそういうのはダメじゃないッスかね!? 男の人はもっと自分を大事にしないと!」
ショーコちゃんが本当に? という顔で。
一方、薫ちゃんはあまり喜んでいなかった。
むしろ止めに入っている。
さっきのキスは喜んでくれたのにね?
と、色々考えてようやく薫ちゃんの様子がおかしかった理由がわかった。
嫉妬だ。
友人達に、オレをとられたくないという感情だろう。
そう考えると色々合点がいく。
自分がエロい事をされるのはいいが、同じ事を他人にされるのは面白くない、と。
あげく、もしかしてオレの事をとられてしまうかも? と、そんな不安に煽られたのだろう。
ふむふむ、いいね、とても可愛らしい。
薫ちゃんの心配は杞憂――少なくとも今日に限っては――であるが、オレは性悪ビッチなので、その可愛らしいジェラシーをもう少し楽しませてもらうつもりだ。
「く、カオル、絶対にここは負けねぇ!」
「ウチのセリフだ!」
再び二人の時間が動き出し、ダイスを振ろうとするショーコちゃん。
オレはそれを止めるように、その手を握りしめた。
さきほどとは違い、場は一転して殺伐としたものになった。
入念にシャッフルするショーコちゃん。
祈りを捧げるようにダイスを手の中に握りしめたエリちゃん、その手をさらに上から包むユリちゃん。
薫ちゃんはオレを視たり、周囲の友人を見たりしながらも、そわそわしたままだ。
「よし! 京君サン、どうぞ!」
仕切り直しといわんばかりに、ショーコちゃんが先ほどと同じようにオレに一番手をゆずってくる。
だが。
オレはここでルールの変更を申し出た。
「ねぇ、ショーコちゃん。カードをめくるのはダイスを振った後にしない?」
「え?」
「サプライズ的にそっちの方が面白いかなと思って。何が出ても皆が書いてある事を実行できるなら、だけど?」
オレは皆を見回す。
何かに気付いた皆がハッとして緊張感が走った。
やはりもともと書いてあるよりも攻めた事を書いているのだろう。
オレとしてはどんなエロい内容でも歓迎だが、目を細めた肉食女子たちは、今、あきらかに共食いを恐れている。
というか、女同士でアクションする可能性を忘れていた、という顔だ。
エロというのは後先を考えなくする。時にそれは己に向かう刃となるのだ。
「だ、大丈夫です、よ? なんだってやって見せます、よ?」
ショーコちゃんがややひきつった笑顔で答える。ナニを書いたのやら。
エリちゃんのユリちゃんも瓜二つの互いの顔を見つめたあと、オレにうなずく。
「薫ちゃんは?」
「だ、大丈夫ッス!」
皆の了解が得られた所でオレはダイスを手にした。
「じゃあ、ゲームを始めようか?」
そしてオレは手の中のダイスをガラステーブルへ落とした。
1回目。
オレの出目は01。ほぼ確定の従者。幸先がいい。
「……ッ!?」
四人が息をのんだ。
薫ちゃんはまだオレの唇の感触が残っているのか、自分の首筋に手をやって身を縮めてさきほどの快感の余韻に浸っている。
そんな薫ちゃんを見て、次は自分も! とばかりにダイスが奪い合われる。
エリちゃん、05。ソファの上に崩れ落ちる。
ユリちゃん、14。丸イスの上でガッツポーズして転びそうになる。
ショーコちゃん、16。
その数字を見た瞬間ショーコちゃんは「ひゃあああ!」という奇声をあげながらオレに抱き着きそうになったところを、後ろからユリちゃんが「ステイステイ!」と言いながら羽交い絞めにした。
「さ、薫ちゃんの番だよ」
「ッス! 16なんぞ!」
ガラステーブルを転がるダイスにショーコちゃんの視線が突き刺さる。
――16。ショーコちゃんと同数にて一位。
「むっ」
「くっ」
二人の視線が火花を上げ、ショーコちゃんがダイスを手にした。
「カオル、アタシから振る――」
王様決定戦とばかりにショーコちゃんが振ろうとした時。
オレはすでにカードをめくっていた。
『え?』
二人の声がハモる。
オレはそれをあえて無視して、めくったカードを見る。
奇しくもそれは最初に出てきた『誉めながら頭をなでる』というカードだった。
そして今はそこに二重線が引かれ『肩を抱き寄せながら耳たぶを甘噛み』とあった。
なかなか渋い趣味。いいセンスだ。
オレはそれをヒラヒラさせながら。
「こんなエッチなコトを書いた子はダレかなー?」
そう言いながら見回す。
すると、おずおずとユリちゃんが手を挙げた。
「あ、あの。すいません、チョーシに乗りました。やっぱりダメですよね?」
「ふふふ? けど少し恥ずかしいから、照明をもう少し暗くしてくれるならいいよ?」
それを横で聞いていたエリちゃんが風になった。
カラオケルームの証明というのは、だいたい明るさが調整できる種類のものが備え付けられている。
この部屋のものもそうだった。エリちゃんが少しずつ部屋を暗くしていく。
「ありがと、それくらいにしようか。真っ暗だとカードもダイスも見えなくなっちゃうからね。あ、ついでにミラーボールもつけようか?」
「は、はい!」
この部屋にはキラキラした照明でもあるミラーボールがついていた。エリちゃんがスイッチを入れると、
暗くなった部屋に色々とりどりの光の粒が舞い始める。
「さて。おや? 二人ともどうしたの?」
ショーコちゃんと薫ちゃんが『肩を抱き寄せながら耳たぶを甘噛み』というカードを見て固まっていた。
「あ、あの、京君サン、それ、ホントにやるんですか?」
「そんな、いいンスか!? やっぱりそういうのはダメじゃないッスかね!? 男の人はもっと自分を大事にしないと!」
ショーコちゃんが本当に? という顔で。
一方、薫ちゃんはあまり喜んでいなかった。
むしろ止めに入っている。
さっきのキスは喜んでくれたのにね?
と、色々考えてようやく薫ちゃんの様子がおかしかった理由がわかった。
嫉妬だ。
友人達に、オレをとられたくないという感情だろう。
そう考えると色々合点がいく。
自分がエロい事をされるのはいいが、同じ事を他人にされるのは面白くない、と。
あげく、もしかしてオレの事をとられてしまうかも? と、そんな不安に煽られたのだろう。
ふむふむ、いいね、とても可愛らしい。
薫ちゃんの心配は杞憂――少なくとも今日に限っては――であるが、オレは性悪ビッチなので、その可愛らしいジェラシーをもう少し楽しませてもらうつもりだ。
「く、カオル、絶対にここは負けねぇ!」
「ウチのセリフだ!」
再び二人の時間が動き出し、ダイスを振ろうとするショーコちゃん。
オレはそれを止めるように、その手を握りしめた。
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