【R18】転生先は男女比1:30の貞操逆転世界~ビッチを夢見る三十路の魂~

尾和 ハボレ

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『反省会という建前の二次会』

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『反省会という建前の二次会』

「宮城君は何か食べたいものはあるかな?」

ハンドルを大きく切りながら、氷雨社長がオレにたずねかける。

バックミラーの中で遠ざかっていく母校の校舎を眺めながらオレは考える。

こういった場合、年上の女性に対して、高校生のオレの体は成長期。それらしく大食い方面であざとさ? を出すべきだろうか。

それともオシャンティーな喫茶を品よく望むべきだろうか? 実際、氷雨社長と面接をしたホテルのラウンジではケーキをすすめられた。しかし冬原先生とのデートでは焼肉やら食べ放題やらボリュームある店がメインだ。

うーむ、難しい。

この異世界にきて、オレは前世よりはるかに多くの女性経験を積んだ。

同級生の不良少女、年上だけど肉食系、同級生のムッツリ委員長、一つ下のワンコ系後輩という輝かしい女性遍歴と経験値を得ている。

しかしクールな年上女性に対し、小悪魔なオトコを演じられる技量も経験も知識もない。

本来であれば冬原先生が年上クール美女枠だったのだが、残念ながらそうはならなかった。

というわけで。

「氷雨社長のおなか具合はどうですか? ボクは何でも大丈夫ですけれど……」

お相手に合わせることにした。しかし。

「こういう時、大人の女は男の子の好みに合わせるものでね。よければ私に見栄を張らせてもらえると有難い。それに反省会とはいえ、かしこまった仕事の時間は終わりだ。もっとラクにしてくれると嬉しいかな」

微笑みとともにカッコよく選択権を返されてしまった。

だが……これだ。こういうクールで大人な返しをオレは期待していたのだ。

冬原先いわく、氷雨社長も処女をこじらせたご同類だと聞かされていたが、それに関しては半信半疑だ。

保健室からコンドーム拝借していたとか、ブラックサンダーの前オーナーだとか、そういった事実はあったとしても学生時代の話。

今の氷雨さんはクールな女社長。

そしてオレはそういったお相手に対して、小悪魔を演じてエチエチな駆け引きを楽しみたい。

ラクにしてくれという言葉も頂いたわけだし、オレは不自然にならないよう、失礼しますと言いながら学生服の襟のホックを外して楽な姿勢になってからこう告げた。

「でしたら、ゆっくりお話しできる個室のあるお店がいいですね」
「こ、個室……」

氷雨社長の視線がオレの襟元に向けられる。下にはカッターシャツを着ているから素肌は見えないが現役男子高校生が隣で制服をゆるめるシチュエーションは視覚情報以上の興奮をもたらすのだろう。

「はい。落ち着いてお話できる場所が良いかなと」
「そうだね。他の客声が聞こえると真面目な話には集中できないから、君の言う通りだ」

口調こそ落ち着いているが、氷雨社長の視線が急にそわそわと車中をさまよい始める。

きっと彼女の頭の中ではこの瞬間にも個室のある喫茶やレストラン、ホテルのロビーやラウンジなどがリストアップされては消されているのだろう。

ここで氷雨社長の自宅なりマンションなりに誘ってもらえればオレとしても話は早いが、これまでの氷雨社長の動向からそんな急展開は高望みだろう。

さてさて、それでは氷雨社長はどの程度まで踏み込んできてくれるだろうかと、期待と不安を胸に言葉を待つオレ。

氷雨社長のさまよっていた視線が定まり、オレをちらりと見る。

「だったら……ウチの社屋はどうかな? 今日の水着以外にもサンプルはそろっている。人様に出せるほど豆を上手く挽く自信はないから、道すがらコーヒーのテイクアウトをしていくことになるけれど、ええと……どうだろう?」

おお。自宅とはまではいかないが、ずいぶんと踏み込んでもらえた。しかし言葉尻が微妙に気弱だ。オレが返事を詰まらせると撤回されそうな雰囲気すらある。

オレは即座に是と返しつつ、控えめで常識的な回答を口にした。

「お休み中の会社にお邪魔してもよろしいのですか? それに部外者の立ち入りなどは……」

それを聞いてパッと笑顔になった氷雨社長。

「ふふ、何を言うんだい。宮城君と私はすでに契約を交わした雇用関係にある。立派な関係者だよ?」
「そうですか? それでしたらボクも興味がありますし、お邪魔してよろしいですか?」
「良し、話は決まった。軽くつまめる甘いものも買っていこうか! おっと、失礼」

クンッと車が加速し、すぐにスピードをゆるめる氷雨社長。

途中、ちょっとお高めのコーヒーショップのドライブスルーで大きめのコーヒーを二つ、そしてドーナツなんかをドカドカと頼む氷雨社長。一つ二つで十分なのだが、テンションがあがっているらしい。

だが、わからんこともない。

オレも立場が逆なら今の氷雨社長のように一番お高いコーヒーと、見た目の良さそうなドーナツを全部オーダーするだろう。

「すまないね。持っていてくれるかな……しまった、少し買い込みすぎたか」
「はい。ありがとうございます。ああ、いい香りですね」

運転席でコーヒーの乗ったトレイを受け取った氷雨社長から、さらにオレがそれを受け取りヒザの上に乗せる。そこでようやく調子に乗ってやらかしたと自覚した氷雨社長のフォローがてらコーヒーの香りを堪能して見せる。

「そ、そうだね。私もコーヒーの香りが好きなんだ。好みが合って何よりだ」

仕事は辣腕のようだが、男相手には素直で可愛らしい人である。ビッチのオレにとって実に良いお相手だ。

と、そんなこんなで、かぐわしいコーヒーの香りに満ちた車は、やがてオシャレなデザイナービルの地下駐車場へと潜っていった。

「ここの最上階が私のオフィス兼社屋だよ。地下からエレベーターで向かう」
「オシャレなビルですね」
「ふふ、外観相応に家賃もオシャレだよ。私としては無駄とも思えるが……見栄の張りどころでもある。ファッション関係の仕事をしている以上は必要経費だね」

27と書かれた駐車スペース場に車が停まる。

「着いたよ。お疲れ様」
「お疲れ様です」
「トランクの荷物はそのままでいいから、それをもらうよ」

大荷物はそのまま車に残し、氷雨社長はオレが抱えていたコーヒーのトレイを持つ。

「ありがとうございます」

オレが持ったままでも構わないのだが、それでは氷雨社長が落ち着かないだろう。甘えてトレイを渡す。

「まず地下専用のエレベーターから一階のロビーに上がる。警備上の理由で、エレベーターの乗り継ぎさ」

乗り込むとB1と1Fのボタンしかないエレベーターだった。

エレベーターが昇っていき、扉が開くとコンクリート壁だった地下駐車場から、いかにもビジネスの拠点ですといった、白い壁とガラスの張り巡らされたビルの一階が現れる。

「ついてきてくれ」
「はい」

エレベーターを降りてすぐ両開きのガラス扉があり、その壁に据えられたスキャナーへ首から掛けていたパスをかざす氷雨社長。

ピッという音とともにガラス扉がゆっくりと左右に開いた。

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